【借地借家法の借地上建物の滅失・再築による解約の規定と基本的解釈】

1 滅失・再築による解約の規定と基本的解釈(総論)
2 建物の滅失後の借地人の解約
3 建物の滅失後の再築による地主の解約
4 建物の『滅失』の意味・解釈(概要)
5 『更新』・耐用年数の意味・解釈(概要)

1 滅失・再築による解約の規定と基本的解釈(総論)

新法(借地借家法)時代の借地では,更新後(第2ステージ)の建物の滅失や再築により解約ができるという制度があります。
詳しくはこちら|借地借家法の借地上の建物の滅失や再築による解約(全体・趣旨)
本記事では,建物の滅失や再築による解約についての規定の内容や基本的な解釈を説明します。

2 建物の滅失後の借地人の解約

建物の滅失による借地人からの解約に関する規定をまとめます。

<建物の滅失後の借地人の解約>

あ 前提事情(要件)

更新後の期間内において(第2ステージ)
建物が滅失(後記※1)した

い 借地人による解約

借地人は『地上権の放棄or賃貸借の解約申入』をすることができる
※借地借家法8条1項

う 解約申入の効果

『い』の意思表示から3か月が経過した時点において
→借地権は消滅する
※借地借家法8条3項

3 建物の滅失後の再築による地主の解約

建物の再築による地主からの解約に関する規定をまとめます。

<建物の滅失後の再築による地主の解約>

あ 前提事情(再築)

更新後の期間内において(第2ステージ)
建物が滅失(後記※1)した
借地人が地主の承諾を得ないで残存期間を超えて存続する建物を築造した

い 地主による解約

地主は『地上権消滅請求or賃貸借の解約申入』をすることができる
※借地借家法8条2項

う 解約申入の効果

『い』の意思表示から3か月が経過した時点において
→借地権は消滅する
※借地借家法8条3項

4 建物の『滅失』の意味・解釈(概要)

前記の2つの解約に関する要件の中に『建物の滅失』というものがあります(前記)。
ここでの『滅失』の意味に関するいろいろな解釈があります。
実際には『滅失』に該当するかどうかで解約できるかどうかが決まります。
実務では『滅失』の解約や判断について,熾烈な見解の対立が生じることになるはずです。

<建物の『滅失』の意味・解釈(概要;※1)>

あ 『滅失』の意味(概要)

第三者or自然力による,建物の寿命前の消滅である
物理的な建物の効用の喪失である
詳しくはこちら|建物の『滅失』の意味と判断基準(新旧法共通)

い 『滅失』の解釈(概要)

借地人による取壊し(再築)も含む
大規模な増改築も含む
詳しくはこちら|建物の『滅失』と再築(築造)の解釈とバリエーション(新旧法共通)

5 『更新』・耐用年数の意味・解釈(概要)

建物の再築による解約の規定にはほかにも要件が定められています。
『更新』『残存期間を超えて存続する建物』のことです。
これらについての解釈は,別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|建物再築による解約と再築許可に共通する要件(更新・耐用年数)

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【借地上の建物の再築許可の付随的裁判と承諾料の相場】
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