1 共有物分割の完了後における登記の方法
2 現物分割の登記の方法(全体)
3 現物分割による分筆登記の代位申請(概要)
4 現物分割の登記と登録免許税(概要)
5 全面的価格賠償の登記の方法
6 共有物分割の登記の登記原因

1 共有物分割の完了後における登記の方法

共有不動産について共有物分割が完了した時には登記をすることになります。換価分割における形式的競売では,執行裁判所の嘱託による移転登記が行われます。現物分割,価格賠償の場合,当事者が登記申請をすることになります。
本記事では,現物分割,価格賠償の場合の登記申請手続について説明します。

2 現物分割の登記の方法(全体)

まず,現物分割が行われた時の登記についてまとめます。

<現物分割の登記の方法(全体)>

あ 共有物分割の法的性質

共有物の分割は,共有者相互間において,共有物の各部分につき,その有する持分の交換又は売買が行われることである(民法249条,261条参照)
各共有者がその取得部分について単独所有権を原始的に取得するものではない

い 適法な登記方法

次の2段階の登記を行う
ア 分筆の登記
イ 権利の一部移転の登記(※1)
各土地についての共有持分移転である

う 不適法な登記方法

裁判上の和解自体を登記原因として単独で行った所有権取得登記申請は不適法である
※最高裁昭和42年8月25日

3 現物分割による分筆登記の代位申請(概要)

土地の現物分割では,分筆登記が必要になります。

<現物分割による分筆登記の代位申請(概要)>

あ 表示登記の原則(前提)

表示登記は原則として(申請とは別に)職権により行うこともできる

い 分筆登記の例外的扱い

土地の分筆登記は登記上の所有者による申請が必要である
※不動産登記法39条1項参照

う 現物分割の登記の代位申請

表示登記は共同申請の原則が適用されないので登記請求権を観念することができない
→現物分割がなされた場合,対象土地の取得者が分筆登記の代位申請をすることができる
被保全権利=分筆後の土地についての持分移転登記請求権
※平成6年1月5日民三第265号民事局第三課長回答;共有物分割について
詳しくはこちら|表示の登記の職権/申請の分類(分筆・合筆登記の例外扱い)

4 現物分割の登記と登録免許税(概要)

現物分割を行った時の登記では注意が必要です。
事務的・形式的な方法で税金に大きな違いが生じるのです。

<現物分割の登記と登録免許税(概要)>

あ 前提事情

現物分割により権利の移転登記を行う(前記※1)

い 登録免許税|概要

登記申請の具体的方法により税率が異なることがある
例;合意の時の書面や登記申請書
詳しくはこちら|共有物分割の登記の登録免許税

5 全面的価格賠償の登記の方法

全面的価格賠償が行われた時の登記についてまとめます。

<全面的価格賠償の登記の方法>

価格賠償の共有物分割が完了した場合
→取得者以外の共有者について
→持分移転登記の登記義務を負う
※大判大正8年10月20日

6 共有物分割の登記の登記原因

以上で説明した,現物分割や価格賠償の登記申請を行う際の登記原因はどのようになるか,についてまとめます。

<共有物分割の登記の登記原因>

あ 現物分割・価格賠償

登記原因は『◯年◯月◯日共有物分割』である
現物分割・価格賠償で共通である

い 価格賠償における代償財産の移転登記

ア 共有物分割の協議(合意)において
価格賠償の一種として,現金による補償ではなく,他の不動産を給付を合意した
イ 登記原因
他の不動産を給付する(権利を移転する)登記申請について
登記原因は『◯年◯月◯日共有物分割による交換』となる

本記事では,現物分割,価格賠償の場合の登記申請手続について説明しました。
実際には個別的な事情によって扱いが違うこともあります。
実際に共有物(共有不動産)に関する問題に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。