1 共有物分割への参加の制度
2 民法260条の条文規定
3 共有物分割への参加ができる者の範囲
4 共有物分割への参加の権限・負担
5 共有物分割の参加権利者への通知・参加請求拒否の効果
6 共有持分の(仮)差押と参加請求の関係(概要)
7 共有物分割が担保権へ及ぼす効果と参加の影響
8 借地権の分割における地主の参加(問題点指摘)

1 共有物分割への参加の制度

一般的には共有物分割は共有者全員で協議・合意して初めて成立します。
この点,一定の関係者が参加する制度があります。本記事では,共有物分割への参加の制度について説明します。

2 民法260条の条文規定

最初に,参加の制度を規定する民法260条の条文を押さえておきます。条文自体はとてもシンプルです。

<民法260条の条文規定>

(共有物の分割への参加)
第二百六十条 共有物について権利を有する者及び各共有者の債権者は,自己の費用で,分割に参加することができる。
2 前項の規定による参加の請求があったにもかかわらず,その請求をした者を参加させないで分割をしたときは,その分割は,その請求をした者に対抗することができない。

3 共有物分割への参加ができる者の範囲

共有物分割への参加ができる者は共有物について権利を有する者だけでなく,共有者(の1人)の債権者も含まれます。

<共有物分割への参加ができる者の範囲>

あ 制度・全体

次の『い・う』に該当する者
→共有物分割に参加できる

い 共有物について権利を有する者

ア 用益物権 地上権者・永小作権者・地役権者
イ 担保物権者 抵当権者・質権者

う 共有者の債権者

ア 賃借人イ 一般的な債権者 ※民法260条1項

え 借地権の共有物分割における地主(概要)

借地権(土地賃借権)を対象とする共有物分割に地主(賃貸人)が参加するということも考えられる(後記※1

4 共有物分割への参加の権限・負担

共有物分割の手続に参加する者の権限や負担について整理します。

<共有物分割への参加の権限・負担>

あ 参加者の権限

分割協議において参加者ができること
→意見を述べるのみ
参加者の意見は共有者・協議を拘束しない
※『新版注釈民法(7)物権(2)』有斐閣p485

い 参加の費用負担

共有物分割に参加する費用について
→参加者自身が負担する
※民法260条2項

5 共有物分割の参加権利者への通知・参加請求拒否の効果

分割への参加について法的効果が生じることもあります。
実質的な参加者の保護についてまとめます。

<共有物分割の参加権利者への通知・参加請求拒否の効果>

あ 参加権利者への通知

共有者から参加権利者への通知について
→義務・必要ではない

い 参加請求の拒否の効果

参加の請求を共有者が拒否した場合
→行われた共有物分割は参加請求者に対抗できない
※民法260条2項

う 詐害行為取消権との関係

詐害行為取消権とは別の制度である
※『新版注釈民法(7)物権(2)』有斐閣p484〜

6 共有持分の(仮)差押と参加請求の関係(概要)

ところで,共有持分に(仮)差押がなされている場合,このことが,共有物分割手続への参加請求にあたるという見解もあります。ちなみにこの場合,共有物分割自体ができるかどうか,ということについても見解は分かれています。これについては別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|共有持分の抵当権・仮差押や共有物の賃貸借が共有物分割に与える影響

7 共有物分割が担保権へ及ぼす効果と参加の影響

担保権については共有物分割の影響が問題となります。
担保権者が分割協議に参加することの影響という問題もあります。
これらの解釈論について整理します。

<共有物分割が担保権へ及ぼす効果と参加の影響>

あ 客観的効果(概要)

持分について抵当権の設定があった
共有物分割が行われた
→共有物全部について持分割合の限度で抵当権は存続する
抵当権設定者の取得部分に限定されるわけではない
詳しくはこちら|共有持分の抵当権・仮差押や共有物の賃貸借が共有物分割に与える影響

い 参加との関係

抵当権者が分割に参加しても同じである
※大判昭和17年4月24日
※大判昭和17年11月19日

8 借地権の分割における地主の参加(問題点指摘)

借地権(土地賃借権)の準共有の場合に,借地権を対象とする共有物分割も(いろんな問題を伴いますが)ありえます。この場合,地主(賃貸人)も参加することができると考えられます。ただし,どのような効果が及ぶか,ということについては解釈の問題が指摘されています。

<借地権の分割における地主の参加(問題点指摘)(※1)

あ 地主の参加の意味

ところで,地主は,当然には,共同借地人間の共有物分割訴訟の判決の効力は受けることがないものとされている(民法260条2項)。
これによると,地主が分割手続に参加の請求をしない限り,分割について拘束されないということになっている。
ここでいう参加ということは何かという問題がある。
共有物分割手続が訴えでされる場合には,当該訴訟に参加することが判決手続によってされる共有物分割に関する判決の効力を受けるということが必要であると解される。

い 参加の効果

この民法の条文は,特に地主等が参加人として共有物分割手続に参加することによって参加による裁判の効力が及ぶことを明らかにしているが,その内容・効力等何も定めていないから,この規定で特別な新たな効力を創設したものと解することは困難のように思われ,むしろ,関係者即ち目的物件の共有者,本件のような共同借地人等共有自体の関係者の他,目的物件の所有者等に,共有物分割の訴訟手続に「参加」しない限り,よきにつけ悪しきにつけ,裁判の効力を受けないということを明確にしたものと解するのが相当のように思われる。
もしそうだとすると,これらの参加による裁判の効力は,関係者の参加の態様に応じての裁判の効力を受けることを意味するにとどまることになる。
即ち,民事訴訟法47条に定める独立当事者参加の要件を具備しての参加であれば判決の既判力を受けるし,補助参加の利益を主張しての補助参加(民事訴訟法42条)であれば,いわゆる参加的効力(民事訴訟法46条)を受けることになると解すべきである。

う 訴訟告知との関係

ここで問題は,共有物分割訴訟の共同借地人が目的物件の所有者に対し訴訟告知(民訴53条)をしたときはどうか。
裁判の効力が及ぶのか(民事訴訟法53条4項)が問題となろう。
民法260条2項はその例外を定めたかどうかということである。
例外的規定と解する余地があるとも思うが断定はできなく,今後の検討に待ちたい。
※奈良次郎稿『共有物分割訴訟をめぐる若干の問題点』/『判例タイムズ879号』1995年8月p64

え 免責宣言

この条文については本来検討をくわえなければならないが,申し訳ないがまだ研究をしていないので,常識的に考えると,こうなるということしかできていない。
したがって,当然のことながら,今後の研究によって変わる可能性の大きいことをお断わりすると共に,問題点でも提供できればと考えている。
※奈良次郎稿『共有物分割訴訟をめぐる若干の問題点』/『判例タイムズ879号』1995年8月p65

お 借地権の共有物分割の問題(参考・概要)

借地権の共有物分割に関してはいろいろな法的問題がある
詳しくはこちら|借地権の共有物分割(現物分割・換価分割に伴う問題)

本記事では,共有物分割への参加の制度について説明しました。
実際には,個別的な事情によって,法的扱いや,最適な解決手段が違ってきます。
実際に共有物(共有不動産)に関する問題に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。