1 チェンジオブコントロール条項(COC)|概要
2 賃貸借のCOC条項違反における解除の効力の判断
3 COC条項による建物賃貸借解除|判例

1 チェンジオブコントロール条項(COC)|概要

賃貸借契約などの『継続的』な契約については,契約条項の中に『チェンジオブコントロール条項』を入れることがあります。

<チェンジオブコントロール条項(COC)・資本拘束条項>

あ COCの意味

一方の会社の支配権(control)が変わった(change)場合に契約を解消(解除)できると規定する条項
主に『株主』の変更=M&Aを対象とする
このほか,取締役の変更・組織再編(事業譲渡・合併・会社分割)を含めることもある

い COCが用いられる契約の種類|例

一定期間継続する契約で用いられるのが通常
《典型例》
ア 賃貸借契約
イ ライセンス契約
ウ 代理店契約・FC契約

2 賃貸借のCOC条項違反における解除の効力の判断

契約締結後にCOC条項で規定したとおりに株主変更(株式譲渡)などが生じた場合に有効性が問題になります。
COC条項の規定どおりに契約解除が認められるとは限らないのです。
賃貸借契約でも,他の種類の契約でも,解除が『制限』されるのが通常です。
賃貸借契約の場合は『正当事由の判断』と同様といえます。
ここでは,COC条項違反を理由とする賃貸借契約解除の効力に関して,多くの判例が蓄積されています。

<賃貸借のCOC条項違反における解除の効力の判断>

あ 基本的事項

賃借人がCOC条項に違反した
賃貸人は債務不履行による解除を通知した
解除は信頼関係破壊理論によって制限される
詳しくはこちら|信頼関係破壊理論・背信行為論|基本事項|基準・主要な3効果
実質的に『正当事由』と同様の判断となる
詳しくはこちら|建物賃貸借終了の正当事由の内容|基本|必要な場面・各要素の比重

い 解除の効力の判断要素の例

ア 賃料支払の状況が変動する可能性・将来の賃料支払の確実性
イ 建物使用態様の変更の有無
ウ 義務違反の性質
エ 契約上の義務である『承認を求める手続や届出を提出する手続』を直ちにとったか否か
オ 支配権の移転に際し,虚偽事実を述べたか否か
カ 役員・従業員の変更

3 COC条項による建物賃貸借解除|判例

COC条項による賃貸借契約の解除の有効性を判断した判例を紹介します。

<COC条項による賃貸借解除|判例>

あ 解除肯定

ア 東京高裁昭和31年8月7日
イ 東京地裁昭和51年8月23日
ウ 東京地裁平成5年1月26日

い 解除否定

ア 東京地裁平成2年11月13日
イ 東京地裁平成18年5月15日
ウ 東京地裁平成23年5月24日
エ 東京地裁平成23年6月10日

一般的な『正当事由』の判断と同様に,『明渡料』も含めて多くの事情が考慮されるのです。

<参考情報>

『ビジネスロージャーナル2015年3月』p72〜