近隣との関係や住環境(マンション)の法律問題のすべて|専門弁護士ガイド
1 境界を確定するには?
(1)境界のトラブルの本質
建物建築、売買、相続の際に境界のトラブルが具体化することがあります。
詳しくはこちら|土地の境界(筆界)の確定が必要な状況や確定させる工夫
また相続の事前準備として境界の確定をするニーズもあります。
境界の主張がお隣同士で異なる場合は、両方ともそれなりに理由があるということがほとんどです。
『過去に関係者が納得した境界杭』などはなく、また、現実の境(占有境)も不明確、というような場合です。
公図や登記上の地積から推論しても、このようにしか考えられないという『1つの正解』にたどり着くとは限らないのです。
過去の占有状況というのも重要です。
『昔は◯◯に立っている木を境にしてそれぞれが使っていた』などのことです。
しかしこれについても、証拠や証人があまりないということが多いです。
このようにいろいろな境界の推論(見解)が成り立つという場合には熾烈な境界のトラブルになるわけです。
(2)境界のトラブルの解決方法
境界のトラブルを解決する方法は、大きく3つあります。
<境界トラブルの解決手段>
・交渉
・筆界特定制度
・境界確定訴訟
詳しくはこちら|土地境界のトラブルの原因と解決(境界特定)の全体像
実際には対立の深さ、激しさによって、解決への最短ルートとしてどれが適切かを考えて手段を選択することになります。
詳しくはこちら|土地境界のトラブルの解決手続の種類や方法の全体像
詳しくはこちら|筆界特定制度|基本|特徴・標準処理期間・申請・手続の流れ
実務上、境界の問題から取得時効に発展することもあります。
境界が曖昧だとしても長期間の占有で所有権を取得するということが起きるのです。
この点も注意が必要です。
詳しくはこちら|取得時効の基本(10年と20年時効期間・占有継続の推定)
2 囲繞地とは?
(1)囲繞地通行権
公道に接していない土地を袋地(ふくろぢ)と言います。
当然、通路がないので建物を建てるなどの利用ができないということになります。
もちろん、法律上、救済措置があります。
周囲の土地(=囲繞地)を通行する、ということが認められるのです。
これを囲繞地通行権と言います。
民法上、囲繞地通行権についての例外的ルールは細かい規定があります。
公道に接しない土地の所有者は周囲の土地を通行できる(囲繞地通行権)
しかし、『通路の位置、幅』は最小限度という規定しかなく、また通行料については、特に規定がありません。
詳しくはこちら|囲繞地通行権の通路の幅と接道義務・例外許可申請
そこで、『通路の位置、幅、通行料』について見解が対立することがあります。
特に位置や幅については、その内容次第で建築確認が下りない、とか自動車が通れないということになります。
詳しくはこちら|接道義務・接道要件|但し書き道路・協定道路
なお、建築制限については例外許可により救済されることもあります。
これらは交渉でまとまらない場合、裁判所に定めてもらう、ということになります。
公道に接しない土地の所有者は周囲の土地を通行できる(囲繞地通行権)
(2)有利な解決へのプロセス
囲繞地通行権のトラブルを解決する手段は、一般的には交渉→訴訟という流れです。
交渉でも訴訟でも、有利な解決に必須のポイントは同じです。
まず、囲繞地通行権は、条文は曖昧ですが、判例の蓄積により、判断のキーとなる事項が特定されています。
過去の占有状況や一体の土地の利用状況などです。
これらのうち有利な事情とその証拠を的確にピックアップして主張、証拠として組み立てることが有利な結果に結びつきます。
3 上下水の配管を隣地に埋設する方法
袋地の場合、通行だけではなく、上下水道、ガス、電気などのライフライン設置、埋設も、周囲の土地を使う必要があります。
民法上は規定がないですが、下水道法や民法の類推適用で埋設が認められています。
『埋設工事の承諾書にサインがもらえない』という場合でも最終的には訴訟で代用することが可能です。
詳しくはこちら|ライフライン設置権の全体像(トラブル具体例・民法改正・提訴の形式・合意の形式)
4 建築する時の接道義務とは?
土地のトラブルでよくあるのが家を建てられないことが分かったというものです。
更地であれば一見して問題ないと思ってしまいがちです。
しかし、建築基準法の建築確認に合格しないと建築できないのです。
建築制限はいろいろとありますが、見落とされがちなものは接道義務(接道要件)です。
『道路』と2メートル接していることが必要、というものです。
ここでの『道路』として認められるものと認められないものがあるのです。
認められるものについて、種類も多いです。
このようにルールがちょっと複雑なので、誤解が生じやすいのです。
一方、接道義務を含む建築制限については、例外許可により救済されることもあります。
5 日照権侵害
建物などの建築、設置により日影ができます。
住居が日影になってしまう、ということはダメージが大きいです。
日照阻害とか日照権侵害と言います。
日照権侵害|建築基準法などの違反・違法がないと『違法性なし』の傾向が強い
ここで、日影のダメージと建物などの建築のそれぞれが重要です。
すべての日影増加を日照権侵害と言い切ることはできません。
そこで一定の基準があるべきです。
ところが日照権侵害の基準は、判例上の受忍限度論というものです。
日照権侵害|建築基準法などの違反・違法がないと『違法性なし』の傾向が強い
大雑把に言えば建築基準法などに適合した建築については違法性が認められないことが多いです。
日照権侵害|建築基準法などの違反・違法がないと『違法性なし』の傾向が強い
そうは言っても、交渉や訴訟によって、和解として、建築規模の縮小に至ることは多いです。
なお、解決手段としては、ほかに、都道府県の『建築紛争調整』や建築確認に対する審査請求、裁判所の仮処分など多様なものがあります。
事情に応じて、最適な手法を組み合わせることが、有利な解決を獲得するポイントです。
日照権侵害|建築基準法などの違反・違法がないと『違法性なし』の傾向が強い
6 分譲マンションのトラブル
分譲マンションは、法的には区分所有(建物)と言います。
そして、状況によって、建物全体の事項を決める必要が生じます。
共用部分の管理や変更、さらに、建物全体or一部の建替です。
このような事項の決定のためには総会で決議します。
法律上は集会という名称ですが、一般的には総会と呼ばれています。
当然、全員が同一の意見になることはなく、対立が生じることもあります。
特に、現在、30年ほど前のマンション建設ラッシュに建てられた多くのマンションが老朽化を迎えています。
建替のニーズも急増しています。
建替の決議要件の緩和も提唱されているくらいです。
詳しくはこちら|老朽化マンションの急増×対策|建替のハードル緩和の法整備
いずれにしても、建替決議については、特に大きな対立が生じがちです。
本記事は一般的な説明です。個別の事案にそのまま当てはまるとは限らず、一見似ている事案でも、事情が異なれば結論は異なります。個別的事情により、法的判断や主張として活かす方法、最適な対応方法は違ってきます。本記事でご説明したものと同様の問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。
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