【盗品関与罪の客体=『盗品等』の内容(金銭の盗品性など)】
1 盗品関与罪の客体=『盗品等』の内容(金銭の盗品性など)
一定の盗品に関与したことが犯罪(盗品関与罪)になることがあります。
詳しくはこちら|盗品関与罪(盗品譲受・保管・有償処分あっせん罪)の基本
盗品関与罪の中で客体(盗品等)として扱われるものは主に動産・不動産です。
金銭(現金)や、小切手のように金銭に近いものについても盗品に含みます。ただし、理論的な扱いが複雑です。
本記事では、盗品関与罪の客体について説明します。
2 盗品関与罪の客体
盗品関与罪の対象となる盗品(等)の代表的なものは動産と不動産です。利益や債権のような目に見えないものは含まないという解釈が一般的です。
盗品関与罪の客体
あ 動産・不動産
『物(財物)』は有体物を意味する
詳しくはこちら|刑法の『財物』『物』の意味(有体性説・(物理的)管理可能性説)
→動産・不動産が該当する
い 財産上の利益
財産上の利益は『物』に含まれない
※前田雅英著『刑法各論講義 第6版』東京大学出版会2015年p297
う 権利と証券
権利自体は『物』ではないから、盗品となるものではない
権利が化体している証券などは盗品性を有する
※最高裁昭和29年6月1日
※大谷實著『刑法講義各論 新版第4版補訂版』成文堂2015年p341
3 金銭の盗品性
金銭は代替性を有するので、民事的に所有権の対象となりません。つまり、犯人が持っている金銭を盗んだ金銭と一致するとはいいにくいのです。
しかし、刑事的には、盗んだ金銭も盗品として判断します。
盗んだ金銭を犯人が両替すると、犯人が持つ紙幣は盗んだ紙幣とは違うということになります。しかし、実質的には同一のもの(価値)なので、盗品として認められます。盗品以外の金銭と混ざって区別できなくなった場合には、全体が盗品ということになります。
金銭の盗品性
あ 金銭の法的扱い(民事・参考)
金銭は代替性を有する
→所有権の対象とはならない
金額or一定の数量として権利の対象となる
い 両替の影響(盗品性維持)
盗品である金銭を両替して他の金銭に変えても盗品性は失われない
→盗品関与罪の客体に該当する
※大判大正2年3月25日
う 他の現金との混同(盗品性維持)
盗んできた現金を手持ちの現金と混同した(それを他の者に交付した)
→盗品である
※大谷實著『刑法講義各論 新版第4版補訂版』成文堂2015年p343
4 盗品の小切手によって取得した金銭の盗品性
小切手を盗んだ者が、銀行で現金に換えたケースでは、受け取った金銭は小切手と同じという見方をします。結局、この金銭も盗品になります。
なお、別の考え方もありますが、結論として盗品となることに違いはありません。
盗品の小切手によって取得した金銭の盗品性
あ 小切手の特徴(前提)
小切手は取引上金銭とほとんど同一視できる
い 古い判例
盗品である小切手を呈示して現金を取得した
→その現金自体が盗品である
※大判大正11年2月28日
う 反対説
『い』に対する次のような批判もある
現金の取得が新たな詐欺罪である
→この詐欺によって領得された物として、現金は盗品になる
窃取した郵便貯金通帳を利用して郵便局員を欺いて払戻を受けたケースも同様である
※大谷實著『刑法講義各論 新版第4版補訂版』成文堂2015年p343
本記事は一般的な説明です。個別の事案にそのまま当てはまるとは限らず、一見似ている事案でも、事情が異なれば結論は異なります。個別的事情により、法的判断や主張として活かす方法、最適な対応方法は違ってきます。本記事でご説明したものと同様の問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。


