1 遺留分減殺請求の理論的な行使方法
2 遺留分減殺請求の実務的な通知方法
3 不動産×遺留分減殺請求|法定相続登記or処分禁止の仮処分が有用
4 遺留分減殺請求の書式の参考情報

本記事では『遺留分減殺請求の行使』について説明します。
行使以前の『遺留分』という制度の趣旨や計算方法などは別記事にて説明しています。
詳しくはこちら|遺留分の趣旨と遺留分権利者や算定方法のまとめ

1 遺留分減殺請求の理論的な行使方法

遺留分減殺請求の『行使』の方法は意思表示,つまり通知です。まずは理論的な方法と不都合なことをまとめます。

<遺留分減殺請求の理論的な行使方法>

あ 民法上の規定

遺留分減殺請求は『意思表示』によって効果を生じる
※民法1031条

い 意思表示の方法

意思表示の方法について
→民法上に規定はない

う 記録が不完全であることのリスク

理論上は『口頭』でも可能である
しかし,記録が不完全である
→事後的に次のようなリスクが生じる
ア 『意思表示をしたこと』が否定される
イ 時効により遺留分減殺請求ができないと主張・判断される
時効期間は1年である=とても短い
意思表示により時効を回避できる(※1)
※1042条
詳しくはこちら|遺留分の時効・時間制限と対策・取得時効との関係

ただ,後から『請求した,請求されていない』という争いになる可能性があります。
特に,時効期間が短いので,請求の意思表示の時点が,後から重要になります。
『内容証明郵便+配達記録』を用いて請求したことを証拠化しておくと良いです。

2 遺留分減殺請求の実務的な通知方法

遺留分減殺請求の通知は記録・証拠にしておかないと大きなリスクを負います(前記)。実務的なベストの通知の具体的方法についてまとめます。

<遺留分減殺請求の実務的な通知方法>

あ 通知の重要性

遺留分減殺請求権の行使について
→『時効を回避する』効果がある(前記※1)

い 内容証明郵便の使用

遺留分減殺請求の通知は記録化しておくことが望ましい
→実務では通常『内容証明郵便+配達記録』を用いる
→『請求したこと+請求した時点』が記録・証拠になる

う 通知内容

遺留分減殺請求の通知の内容について
→『遺留分の金額,内容』まで記載する必要はない

え 通知|実務的典型例

『時効完成』が近い場合
→簡素な内容の書面を内容証明郵便で送付する
内容=『遺留分減殺請求をする』旨だけ

3 不動産×遺留分減殺請求|法定相続登記or処分禁止の仮処分が有用

遺留分減殺請求の対象財産として不動産が含まれるケースは多いです。
この場合『法定相続登記』を先行して行うと実務的に有利になります。
相手が『遺言による登記』を行ってしまうと,その後にはできません。
『遺言による登記』がなされてしまった後も登記がそのままだとリスクがあります。
『処分禁止の仮処分』を行っておくのが望ましいです。
これらはちょっと複雑な法的理論・手続が背景にあります。
別記事で詳しく説明しています。
詳しくはこちら|相続と登記|実務|リスク・申請タイミング|遺留分・遺言・遺産分割

4 遺留分減殺請求の書式の参考情報

遺留分減殺請求の通知を作成する時に参考となる資料を紹介します。具体的なサンプルなどがまとめられているものです。

<遺留分減殺請求の書式の参考情報>

あ 内容

通知書
計算シートなどの書式

い 執筆・作成

東京地方裁判所民事部プラクティス委員会第3小委員会
平成22年度研究
※松本光一郎ほか『遺留分減殺請求訴訟における遺留分算定について』判タ1345号p34