1 『墓守・遺骨引取』の対立|『相続』とは別|祭祀主宰者の指定
2 葬儀の方式は『喪主』が判断・決定する|祭祀主宰者
3 祭祀主宰者が祭祀供養物を承継する|墓所・遺骨など
4 祭祀主宰者×法律的効果|所有権移転あり・葬儀履行義務なし
5 祭祀主宰者|被相続人による指定|方式・効果のバリエーション
6 家裁が『祭祀主宰者』を決定する手続
7 税務上は『墓所・祭具』は相続税非課税→節税策の工夫もある

1 『墓守・遺骨引取』の対立|『相続』とは別|祭祀主宰者の指定

故人に絡んでトラブルとなるのは『相続=財産承継』だけではありません。
墓所・葬儀に関して,親族間で対立が生じることがあります。

<墓所・葬儀に関するトラブル|典型>

ア 墓所の管理を誰が行うのか
イ 遺骨を誰が承継するのか
ウ 葬儀は誰が行うのか

これらは『遺産分割』などの『相続』とは別に扱われます。
『祭祀主宰者の指定』というものです(後述)。

2 葬儀の方式は『喪主』が判断・決定する|祭祀主宰者

葬儀の内容・方式にはバリエーションがあります。
相続人の間で『希望する方式』についての対立が生じることもあります。
このようなことは葬儀を主宰する者=『喪主』が判断・決定します。
ここで『喪主』を誰が行うかについて対立が生じるケースもあります。
最終的には家裁が決定・指定する方法があります。
『祭祀主宰者の指定』と『喪主』の関係については別記事で説明しています。
(リンクは末尾に表示)。

3 祭祀主宰者が祭祀供養物を承継する|墓所・遺骨など

以上のような墓所・遺骨・葬儀に関しては民法上,一定のルールがあります。
『祭祀供養物』『祭祀主宰者』の扱いについてまとめます。

<祭祀供用物の承継>

あ 『祭祀供養物』の範囲

系譜・祭具・墳墓(墓所)・遺体・遺骨(の所有権)
※最高裁平成元年7月18日
※高知地裁平成8年10月23日

い 『祭祀供養物』の承継者

『祭祀主宰者』が承継する
『相続』には含まれない
※民法897条

う 『祭祀主宰者』の指定|順位

ア 被相続人の指定
イ 慣習
ウ 家庭裁判所が定める(祭祀主宰者指定の調停・審判)
※民法897条
※東京家裁平成12年1月24日

要するに『祭祀主宰者』として指定された者が『墓所・遺骨』を承継します。
原則として『葬儀の方法』を決めることができます。

4 祭祀主宰者×法律的効果|所有権移転あり・葬儀履行義務なし

祭祀主宰者の指定が生じる法律的効果をまとめます。

<祭祀主宰者×法律的効果|所有権・葬儀の履行>

あ 祭祀主宰者指定×所有権

祭祀供養物の所有権を承継する

い 祭祀主宰者指定×その他の義務

所有権移転以外の法律上の効果はない
→『葬儀を主宰・実行する義務』はない
※宇都宮家裁栃木支部昭和43年8月1日

う 祭祀主宰者と『喪主』

別人となることもある(後述)

もちろん,通常は祭祀主宰者と喪主は一致します。
しかし『祭祀主宰者以外が葬儀を行う』というケースもあります。
(別記事『祭祀主宰者と喪主』;リンクは末尾に表示)

5 祭祀主宰者|被相続人による指定|方式・効果のバリエーション

祭祀主宰者の指定の最優先は『被相続人による指定』です。
被相続人による指定は,細かい方式は定められていません。
そこで『指定』として扱われる具体的な方法にはバリエーションがあります。
これに付随して,具体的な『財産の承継』の部分で問題が生じることもあります。
これについては別記事で詳しく説明しています。
(別記事『被相続人による指定』;リンクは末尾に表示)

6 家裁が『祭祀主宰者』を決定する手続

現実に,関係者で『祭祀主宰者』が決められないこともあります。
葬儀の方式や遺骨を引き取る者について話し合いがまとまらない,という状況です。
この場合最終的には家庭裁判所が『祭祀主宰者』を決める手続を利用します。
家裁が『祭祀主宰者』を指定する場合の判断基準については別記事でまとめています。
詳しくはこちら|祭祀主宰者の指定|家裁の判断基準|内縁・家業後継者→優先的

7 税務上は『墓所・祭具』は相続税非課税→節税策の工夫もある

民法上『祭祀主宰者』が『祭祀供養物』を承継することになっています(前述)。
この点,税務上は『墓所や祭具』が相続税の課税対象外となっています。
このルールを利用した節税策も考案されています。
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