1 金銭の生前贈与による節税(名義預金)
2 収益不動産の生前贈与による節税
3 子供が預金や不動産を管理するデメリット

1 金銭の生前贈与による節税(名義預金)

(1)贈与により遺産を減らすと相続税節税の注意点

財産を子供に生前贈与しておくと,相続の際の財産(遺産)が減ります。
相続税はその分少なくなります。
ただし,次の点について注意が必要です。

<相続税節税のための生前贈与の注意点>

あ 贈与税の課税対象となる
い 相続開始前3年間の贈与はみなし相続財産となる

『駆け込み』で『相続財産から逃す』ということはこの範囲で否定される
※相続税法19条

贈与税の課税ルールを踏まえて,相続税の節税策を考えるのは早めに始めると良いのです。

(2)『名義預金』に該当すると『贈与』したことにならない

一般的に,将来の相続税を回避,軽減するために『子供名義の預金』が使われることがあります。
生前に少しずつ,贈与税の非課税限度額内で贈与した,という想定です。
しかし,想定どおりに預金は子供の財産としては認められないことがあります。
名義だけ形式的に子供の預金,という意味で名義預金と呼んでいます。

名義預金(贈与として扱われない=相続財産とみなされる)という典型例は次のとおりです。

<名義預金として相続財産となる場合>

あ 受贈者が知らない

例;子供に知らせないで,子供名義の預金としておいた場合

い 受贈者が管理していない

例;名義だけ受贈者名義にしたが,実際に通帳・印鑑などを贈与者が管理している場合

このような場合,『名目だけダミーとして移した』と扱われるリスクが高いです。

2 収益不動産の生前贈与による節税

収益不動産は,活用次第で,相続税の節税効果が生じます。

<収益不動産を用いた節税方法>

あ 収益不動産を生前に子供に承継させる

→この時に贈与税の対象となる

い その後の賃料収入

そのまま子供が受け取ることになる

仮に遺言を書いておいて,相続時にお子様に相続として承継させる場合と比べると分かりやすいです。
『相続』の方法だと,継続的に得ている収益も,親名義で蓄積されます。
相続財産に含まれることになります。
相続税の課税対象となります。
そこで,生前に収益物件自体を子供に承継させておくことが節税効果につながるのです。

3 子供が預金や不動産を管理するデメリット

子供に生前贈与した金銭(預金)を子供に管理させることに抵抗があるケースも多いです。
不動産を子供の所有にすることについても同様です。
デメリットを整理しておきます。

<親が子供に生前贈与した預金を子供が管理することのデメリット>

あ 子供による処分が可能となる

金銭の消費,不動産などの財産の売却,担保設定などのリスクがある

い 子供の債権者から差押を受ける

仮に子供本人が積極的な行動をしない場合でも,一般論として存在するリスク

このようなデメリットを回避する方法もあります。
別に説明しています。
別項目;遺言代用信託;まとめ

条文

[相続税法]
(相続開始前3年以内に贈与があつた場合の相続税額)
第19条 相続又は遺贈により財産を取得した者が当該相続の開始前3年以内に当該相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合においては、その者については、当該贈与により取得した財産(第21条の2第1項から第3項まで、第21条の3及び第21条の4の規定により当該取得の日の属する年分の贈与税の課税価格計算の基礎に算入されるもの(特定贈与財産を除く。)に限る。以下この条及び第51条第2項において同じ。)の価額を相続税の課税価格に加算した価額を相続税の課税価格とみなし、第15条から前条までの規定を適用して算出した金額(当該贈与により取得した財産の取得につき課せられた贈与税があるときは、当該金額から当該財産に係る贈与税の税額(第21条の8の規定による控除前の税額とし、延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税に相当する税額を除く。)として政令の定めるところにより計算した金額を控除した金額)をもつて、その納付すべき相続税額とする。
【令】第4条
2 前項に規定する特定贈与財産とは、第21条の6第1項に規定する婚姻期間が20年以上である配偶者に該当する被相続人からの贈与により当該被相続人の配偶者が取得した同項に規定する居住用不動産又は金銭で次の各号に掲げる場合に該当するもののうち、当該各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める部分をいう。
一 当該贈与が当該相続の開始の年の前年以前にされた場合で、当該被相続人の配偶者が当該贈与による取得の日の属する年分の贈与税につき第21条の6第1項の規定の適用を受けているとき。 同項の規定により控除された金額に相当する部分
二 当該贈与が当該相続の開始の年においてされた場合で、当該被相続人の配偶者が当該被相続人からの噌与について既に第21条の6第1項の規定の適用を受けた者でないとき(政令で定める場合に限る。)。 同項の規定の適用があるものとした場合に、同項の規定により控除されることとなる金額に相当する部分