【換価処分の裁判に対する即時抗告と取消の裁判】

1 換価処分の裁判に対する即時抗告と取消裁判
2 換価処分の裁判に対する即時抗告
3 換価処分の裁判の取消

1 換価処分の裁判に対する即時抗告と取消裁判

遺産分割の審判に伴い,裁判所が遺産の(主に)一部を売却することを決めることができます(換価処分)。
詳しくはこちら|遺産分割審判の中間処分としての換価処分の要件と手続の全体像
換価処分が遂行されると不利になるという状況もあり得ます。
当事者(代理人弁護士)としては,換価処分の裁判に対する不服申立をすることを検討します。
また,状況によっては別の理由で換価処分の裁判が取消となることもあります。
本記事では,換価処分の裁判に対する不服申立(即時抗告)と取消の裁判について説明します。

2 換価処分の裁判に対する即時抗告

換価処分を決めた判断について,相続人が納得できない状況もあり得ます。
これにより結果的に遺産分割が不利に進むことにつながることもあります。
換価処分の裁判に対して不服がある相続人は即時抗告をすることができます。

<換価処分の裁判に対する即時抗告>

あ 即時抗告の申立

換価を命じる裁判に対して
相続人は,即時抗告をすることができる
※家事事件手続法194条5項

い 即時抗告の期限

換価処分の裁判の告知から2週間以内(不変期間)
※家事事件手続法86条

換価処分の裁判がなされた時に,当事者(代理人弁護士)は,短い期間で不当性や影響を考えなくてはなりません。不服である場合はすみやかに即時抗告の申立を行います。

3 換価処分の裁判の取消

換価処分を決めた裁判所の判断の前提となった事情に変化が生じることもあります。
その場合は,換価処分の裁判が生きているものとして換価処分が進められてしまうと不合理です。
そこで,裁判所は換価処分の裁判を取り消すことができます。
事情の変化については,裁判所よりも当事者の方がよく把握できます。そこで,当事者の申立も認めらています。
このようなケースでは,換価処分の裁判(判断)自体は不当ではありません。そこで,即時抗告の対象ではないのです。

<換価処分の裁判の取消>

あ 裁判の取消

換価を命じる裁判が確定した後において
理由の消滅,その他の事情の変更があった場合
→家庭裁判所は換価を命じる裁判を取り消すことができる

い 申立の可否

換価処分の裁判の取消について
相続人が申し立てることができる
裁判所の職権による判断も可能である
※家事事件手続法194条3項

当事者(代理人弁護士)としては,取消が認められるような状況が生じたら,すみやかに取消の申立を行わなくてはなりません。

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