【災害による業務への支障×雇用関連の対応|一時帰休・休業・整理解雇】

1 災害による業務への支障|雇用関連の対応|全体
2 災害→休業|賃金・休業手当
3 整理解雇|規制|概要
4 災害×整理解雇|合理性|例
5 解雇→失業保険の給付

1 災害による業務への支障|雇用関連の対応|全体

震災などの災害で,事業の運営に支障が生じることがあります。
原材料の仕入れが滞る,計画停電による工場稼働不能などです。
このような支障はある程度継続することもあります。
いずれは関連企業の運営・電力供給の状況は改善・回復されるでしょう。
とにかく一時的に事業として一定の対応が必要となります。
本記事では災害による雇用関連の対応を説明します。
まずは対応の全体的な概要をまとめます。

<災害による業務への支障|雇用関連の対応|全体>

あ 休業

一時的に業務を停止させる
従業員を『休業』にする
賃金支給は不要となる
『休業手当』の支給は必要である
一定の公的助成金の受給を受けられることもある

い 解雇

『整理解雇』の1つとなる
有効性が問題となる
最後の手段である

2 災害→休業|賃金・休業手当

災害時の対応として『一定期間の休業』が適しているシーンも多いです。
『一時帰休』という制度です。
『レイオフ』と呼ばれることもあります。
要するに,人員の必要性が回復するまでの一定期間,休業することです。
この場合,賃金や休業手当の支給が問題となります。
これについては別に説明しています。
詳しくはこちら|一時帰休・休業|賃金・休業手当の支給の有無・金額

3 整理解雇|規制|概要

休業以外には解雇する,という最終手段があります。
これについては強い規制があります。
まずは整理解雇の規制の概要をまとめます。

<整理解雇|規制|概要>

あ 整理解雇×解雇権の濫用|基本

『整理解雇』は合理性がないと解雇権の濫用となる
→無効となる
※労働基準法18条の2
※最高裁判決昭和50年4月25日など多数

い 整理解雇の4要件

合理性は4つの要件で判断する
ア 人員整理の必要性イ 解雇回避努力義務の履行ウ 被解雇者選定の合理性エ 手続の妥当性 詳しくはこちら|整理解雇の4要件|必要性・回避努力義務・選定/手続の合理性

平たく言えば『本当に解雇が避けられないのか,他に対応手段はないのか』という基準です。
災害の際の適用については次に説明します。

4 災害×整理解雇|合理性|例

災害時に整理解雇を行う場合でも有効性が問題となります。
『合理性』は認められやすいことが多いと思われます。
具体例を説明します。

<災害×整理解雇|合理性|例>

計画停電や流通の悪化の継続が長引いた
→当初は休業で対応した
→休業手当の負担に耐えられなくなった
→本当に解雇が避けられない・他の手段がない状態に至った

『一時帰休・休業』という手段は整理解雇にも関係するのです。
つまり,整理解雇の有効性判断要素の中の『他の対応手段』に該当します。
当初は整理解雇を避け,一時帰休でしのぐことが求められるのです。

5 解雇→失業保険の給付

従業員は解雇されるに至った場合,生活に困ることもあります。
そこで,公的なサポートの制度があります。
『失業保険』の制度です。
これについては,別に説明しています。
詳しくはこちら|雇用主が加入する社会保険=健康保険・厚生年金保険・労災保険・雇用保険

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