1 父母間の養育費と子供自身による扶養料請求の関係
2 養育費と扶養料(請求)の関係(基本)
3 養育費の終期後の子供自身による扶養料請求

1 父母間の養育費と子供自身による扶養料請求の関係

もともと夫婦であった父・母の間で,養育費の請求(や支払)が行われることがあります。これとは別に,一般的な扶養の請求として,子供自身が父または母に対して扶養料を請求することもありえます。この2つは実質的に重複します。
本記事では,養育費と(子供自身による)扶養料請求の関係を説明します。

2 養育費と扶養料(請求)の関係(基本)

養育費は,未成熟の子の生活費の負担について,2人の親の間で負担を分担するものです。そこで基本的に成熟(子)に達したら,養育費の請求(支払義務)はなくなることになります。その代わりに子供自身が父(または母)に対して扶養料請求をすることになります。

<養育費と扶養料(請求)の関係(基本)>

あ 一般的な関係性

養育費(民法766条1項)も,扶養料(民法877条1項)も,どちらも親の子に対する生活保持義務という点で共通のもの
生活保持義務の意味=子に対し父母と同等程度の生活水準を維持させる義務
※島津一郎ほか編『新版注釈民法(22)親族(2)』有斐閣p149〜152

い 2つの請求の関係性

養育費分担の終期到来後は,養育費として請求することはできない
本人が扶養料として請求すべきである
※松本哲泓著『婚姻費用・養育費の算定』新日本法規出版2018年p15

3 養育費の終期後の子供自身による扶養料請求

成熟(子)に達したら養育費は請求できなくなります(前記)。
では逆に未成熟の子であったら扶養料請求ができないかというと,そうではありません。
また,実際には,未成熟(子)は何歳までか,ということは決まっていません。判断には曖昧なところがあります。
詳しくはこちら|養育費の支払の終期(未成熟子の意味と持病・障害・大学進学による影響)
現実に養育費扶養料(請求)の関係を意識する場面は決まっています。
すでに決まった養育費の支払が完了した後です。この時点ではもう父と母との間で養育費を請求することはできなくなっています。その一方で,子供自身が父または母に対して扶養料を請求することは可能なのです。もちろん,一般的な扶養義務があることが前提です。
子供が成人(20歳)となったが大学生であり経済的に独立していないケースで,子供自身による扶養料請求が認められるというのが典型例です。

<養育費の終期後の子供自身による扶養料請求>

あ 事案

父・母の間の養育費が合意(調停)or審判(確定)により決定した
決定した養育費の支払の履行が終了した(期間が満了した)
その後,子供自身が扶養料として請求した

い 考え方

父・母間の養育費と子自身による扶養料請求は別のものである
養育費に関する決定(合意・審判)は扶養料請求を拘束しない(影響しない)

う 結論(裁判所の判断)

子自身による扶養料請求は認められる
=単純に扶養義務の有無の判断となる
※東京高裁平成12年12月5日
詳しくはこちら|子供の大学進学における養育費・婚姻費用・扶養料を判断した裁判例の集約

本記事では,父母間の養育費と子供自身による扶養料請求との関係を説明しました。
実際には個別的事情や主張・立証のやり方次第で結論は違ってきます。
実際に養育費や扶養料請求(生活費の支払請求)に関する問題に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。