代表弁護士三平聡史1 婚約の成立を認めた裁判例
2 2人の約束があるが周囲への紹介がない→婚約成立
3 就学中の男性による結婚意思と両親の黙認→婚約成立
4 長期間の交際と婚約指輪・友人への紹介→婚約成立
5 長期間の同居と婚約者としての葬儀出席→婚約成立

1 婚約の成立を認めた裁判例

婚約成立の判断についての基準・理論はありますが,これだけで具体的事案についてはっきり判断できるわけではありません。
詳しくはこちら|婚約は2人の意思だけで成立するが実務ではイベントが重要(婚約成立の基準)
本記事では,実際の事例について,裁判所が婚約が成立したと判断した裁判例を紹介します。
実際の事案について判断する時にとても役立ちます。
なお,婚約の成立を認めなかった裁判例は別の記事で紹介しています。
詳しくはこちら|婚約の成立を認めなかった多くの裁判例(ベッドの上での契約は無効判決)

2 2人の約束があるが周囲への紹介がない→婚約成立

2人が結婚するという約束をするだけで婚約が成立します。
周囲への説明や紹介は,理論的には不要です。
このような理論どおりの認定がなされた判例です。

<2人の約束があるが周囲への紹介がない→婚約成立>

あ 結婚する約束

男性が求婚した
真実夫婦として共同生活を営む意思で女性が応じた(婚姻を約した)

い 性的関係の状況

男女は,長期間にわたり肉体関係を継続した

う 周囲への紹介・説明(なし)

男女の両方が両親や兄弟に結婚の予定を打ち明けていなかった
結納はなされていなかった
男女は同居(同棲)していなかった

え 婚約成立の判断

男女両方の婚姻の意思が明確である
→婚約は有効である
※最判昭和38年9月5日

3 就学中の男性による結婚意思と両親の黙認→婚約成立

2人が結婚するという約束をして,両親も実際には理解していたというケースです。
男性は,就学中であったため,婚約を否定する主張をしましたが,裁判所はこれを排斥しました。

<就学中の男性による結婚意思と両親の黙認→婚約成立>

あ 結婚する約束と性的関係

男女が,互いに将来夫婦となることを約して肉体関係を結んだ
その後も情交を重ねた

い 両親への周知

男女両方の両親は交際を黙認していた(知っていた)

う 男性の就学状況

男性は,学業を継続しなければならない状態にあった

え 婚約成立の判断

当初,肉体関係を結ぶにあたって,男女は真面目に婚姻予約を締結していた
→婚約は有効である
※最判昭和38年12月20日

4 長期間の交際と婚約指輪・友人への紹介→婚約成立

婚約未満の一般的な男女交際と一般的な婚約の中間的な状態であったケースです。
婚約指輪と家族や友人への紹介がポイントとなって婚約の成立が認められました。

<長期間の交際と婚約指輪・友人への紹介→婚約成立>

あ 長期間の交際

男女には,通常の婚約者にみられるような生活上の目新しい出来事はなかった
長期間にわたって,精神上の交わりが深められ,確かめられてきた

い 婚約指輪・周囲への紹介

エンゲージリングの贈与がなされた
友人らに婚約の公示がなされた
一方の母,姉によって婚約の認容がなされていた

う 婚約成立の判断

男女は,婚約の当事者として誠心誠意交際し将来夫婦となるよう務める義務を負う
→婚約は有効である
※東京高裁昭和43年3月5日

5 長期間の同居と婚約者としての葬儀出席→婚約成立

長期間同居しただけで婚約が成立するわけではありません。
しかし,一方の親族の葬儀に男女が一緒に出席し,婚約者として紹介したことがありました。
これが決め手となり,婚約の成立が認められました。

<長期間の同居と婚約者としての葬儀出席→婚約成立>

あ 長期間の同棲

男女は,高校時代から性的関係をもっていた
その後同居していた

い 周囲への紹介・説明

男女は,婚約者であると周囲に紹介していた
女性が男性の祖母の葬儀に出席した
葬儀の歳,男性は女性のことを婚約者と紹介していた
このような夫婦同然の生活が1年間継続した

う 婚約成立の判断

結婚する意思が明確である
→婚約は有効である
※東京地裁平成6年1月28日

本記事では,婚約の成立を認めた裁判例を紹介しました。
それぞれの判断はとても参考になります。
しかし,実際の裁判では,まったく同じ事情ということはありません。
主張や立証のやり方次第で大きく結論は違ってきます。
もちろん,みずほ中央法律事務所では,最適な裁判例や学説(見解)を厳選して主張や立証を組み立てます。
実際の婚約の成立や慰謝料などの賠償の問題に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。