1 死亡事故の損害賠償
2 後遺症の損害賠償
3 後遺症の等級が決まる手続
4 後遺症の等級をしっかり認定してもらうためには?
5 慰謝料相場(傷害,後遺症,死亡事故)
6 脳障害での注意とは?
7 傷害事故の損害賠償

1 死亡事故の損害賠償

交通事故で亡くなった場合は,相続人家族の方が,いろいろな損害賠償を請求することになります。
賠償の対象となる主なものは慰謝料入院関係葬儀関係失った収入です。
本来得るはずだった収入は,休業損害逸失利益と言います。
通常は67歳まで働いたということを前提として計算します。
収入や年齢によっては数億円になります。
慰謝料も2000万円〜3000万円程度が相場です。
この点,保険会社は独自の基準を用いますので,これらの賠償額について大きな差が開くのが通常です。
差額だけで1億円以上になることも少なくないです。
しっかりとした資料を揃え,過去の裁判例などの主張を踏まえて交渉するべきです。
保険会社の態度によっては,訴訟を提起した方が早いです。
最終的に1億円程度の不当な減額を回避しているケースも多いです。
<→死亡事故における損害賠償;慰謝料,請求者,損害の内容

2 後遺症の損害賠償

後遺症というのは,簡単に言えば,治療によって治らない,というものです。
これを症状固定と言います。
当然,その後,不自由な状態が一生続きます。
純粋な苦痛や,収入の減少が伴います。
これらについて,慰謝料逸失利益として賠償できます。
慰謝料逸失利益については,後遺症の等級が1つ違うだけで金額が大きく変わります。
<→慰謝料相場(傷害,後遺症,死亡事故)
<→逸失利益
実際には等級認定の時点で見解の違いが生じることが多いです。
次に説明します。

3 後遺症の等級が決まる手続

(1)最初は料率機構による等級認定

後遺症の等級は,損害賠償額に大きく影響する非常に重要なものです。
後遺症の等級が認定されるのは何段階かのプロセスがあります。
最初に,損害保険料率算出機構が等級認定を行います。
等級認定だけを単独で審査するのではなく,保険金の算定の一環として等級認定を行うのです。
この段階では書面審査のみで簡単です。
だからといって,資料が不足して,低めの等級認定がされてしまうと,その後,これをくつがえすのが大変になります。

(2)等級認定に対する異議申立

この等級認定に不服がある場合は,異議申立をする方法と訴訟提起という2つの方法が主なものです。
異議申立は,保険会社に対して行い,審査は料率機構が再度行います。
この審査では,医師や外部の弁護士も参加します。
異議申立でも,重要なのは,提出する資料です。
症状に関する,新たな診断書が主なものですが,家族の作成した報告書で,日常の様子を証明することが等級の修正につながることもあります。
元の診断書に不利な記載があるような場合は,異議申立の段階でも不当な認定がくつがえらないこともあります。

(3)訴訟提起

最終的には,訴訟を提起するという方法があります。
裁判所が独自に審査,判断することになります。
当然,症状に関する証拠も重要ですし,過去の事例から有利な判断を抽出し,証拠として提出することも効果が大きいです。
<→後遺症の等級認定;手続,異議申立,併合,加重,準用の処理,脳障害における注意

4 後遺症の等級をしっかり認定してもらうためには?

後遺症が軽い等級で認められてしまい,その後の修正で大変な主張,立証が必要になる,というケースが多いです。
後遺症の等級認定,の時点で不当な等級にされないようにすることが非常に重要です。
まずは,治療の際,医師から軽く聞かれた質問に,慎重に応えることが重要です。
交渉でも裁判でもないので,不用意に答えたことが原因で,不当に低い等級認定につながることがあります。
最終的には,医師が後遺障害診断書を作成します。
ここに書かれたことは,その後簡単にくつがえせなくなるので超要注意です。
この時点から弁護士が介入して,医師と折衝しながら診断書を作成してもらうとベストです。
<→後遺症の事故においては症状固定の判断,後遺障害診断書の作成が非常に重要

5 慰謝料相場(傷害,後遺症,死亡事故)

交通事故での被害については,純粋な精神的な苦痛を伴います。
これも精神的な損害になります。
慰謝料と呼びます。
慰謝料の金額は,当然,被害の程度で違ってきます。
傷害の場合は,通院日数入院日数で慰謝料額を決めることになります。
<→傷害事故における慰謝料相場の基準表
後遺症については等級によって慰謝料額が決まります。
<→後遺障害等級表(慰謝料額,労働能力喪失率)
死亡事故の場合は,家族における立場によって慰謝料額の相場が決まっています。
<→死亡事故の慰謝料は『一家の支柱』かどうかで違う

6 脳障害での注意とは?

脳障害の場合は,目に見えないという大きな特徴があります。
等級の認定は,コミュニケーション能力社会行動の能力などの基準を使います。
当然,曖昧な部分もあります。
保険会社と見解が相違し,主張する損害賠償の金額が大きく離れる,ということも多いです。
実際の等級認定では,客観的なデータも用います。

<脳障害の等級認定で使われる客観的データ>

・意識障害の継続時間
・CTやMRIの画像所見

これらは,事故発生直後から,病院と連携を取り,適切な検査,診療をすることを要請するところが重要です。
証拠にするという意味もありますが,純粋にベストの治療を極めることにもつながる,非常に重要なことです。

このような客観的データに加えて,家族などの1番近くにいる方報告書も重要です。
観察したことをリアルタイムで記載することも重要ですが,さらに,写真(画像),動画,録音など,IT機器をフル活用すると,報告書も説得的なものになります。
<→脳障害では,4つの判断要素で等級を決める

7 傷害事故の損害賠償

交通事故でケガをした場合,傷害事故と言います。
賠償される内容は,通院関係収入が減った分慰謝料が主なものです。
仕事を休んで収入が減った分は休業損害と呼ばれます。
慰謝料については,通院日数と入院日数で決まります。
ただし,ケガの内容によっては,低めの慰謝料基準を使います。
『表2』とされているものです。
実務上,保険会社と見解が分かれることが多いのは次の2つです。

<対立が生じやすいポイント>

・慰謝料の基準で,『表1』と『表2』のどちらを使うべきか
入院通院の日数
 つまり,『過剰(日数が水増し気味)』と,保険会社が主張することです。

<→傷害事故における損害算定;損害内容,慰謝料相場