1 ロケット,人工衛星のビジネス化
2 ロケットや人工衛星のプロジェクトに関しては多くの法規をクリアする必要がある
3 ロケット,人工衛星プロジェクトの民事的リスク|差止請求
4 ロケット打ち上げ差止請求|実例|JAXA・H2Bロケット事件
5 人工衛星×他国の領空侵害|カーマン・ライン
6 ロケット,人工衛星プロジェクトのミス×損害賠償責任
7 ロケット,人工衛星プロジェクトのミスによる損害賠償請求手続は外交ルートによる
8 宇宙開発の発展×国際問題

1 ロケット,人工衛星のビジネス化

一般の会社や個人が通信用その他の人工衛星をロケットで打ち上げることは法律上可能です。
ロケットを打ち上げることそのものが法律上,明文的に禁止されていることはありません。

ただし,航空機の運行に支障を及ぼすおそれのある行為,として航空法上,通報が必要になる,など,いくつかの法律上の手続きが必要になります。
航空法以外の規制にも,該当するものがいくつかあります。

逆に,それらの手続きをクリアすれば,法律上の規制を受けない状態になります。
ロケットの打ち上げや人工衛星の運用は事業として民間で遂行することが可能なのです。
技術の進歩によって,運用自体のみならず,かつ,組み合わせるサービス(撮影した画像の提供など)のコスト削減・効率アップが革新的に進んでいます。
今後,ロケットの打ち上げ,人工衛星運用という事業は世界でポピュラーとなっていくと思われます。
その場合は,規制(法律)自体がロケット・人工衛星に関するものを集約させるような法改正(制定)されることが望まれます。
次のような悪影響を徹底して排除すべきだと思います。

<法律×科学 の悪い関係>

規制の複雑化・手続きの煩雑化

(日本での)技術開発へのブレーキ

科学の進歩へのブレーキ

(技術(者)の海外流出)

2 ロケットや人工衛星のプロジェクトに関しては多くの法規をクリアする必要がある

ロケット打ち上げ,人工衛星の運用,というプロジェクトについて該当する法律は,次のようなものになります。

(1)航空法

『航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのあるロケットの打上げその他の行為』(航空法99条の2)に該当
 地表または水面から150メートル,または250メートル以上の空域(施行規則209条の3,209条の4)
 →国土交通大臣への通報 によりクリア

(2)消防法

『危険物の貯蔵』,『取り扱い』(消防法10条)に該当
 →消防長(消防署長)の承認 によりクリア

(3)火薬取締法

『火薬類』の『燃焼』,『爆発』(消費)(火薬取締法25条)に該当
 →知事の許可(消費許可) によりクリア
 ・液体燃料等『火薬』(定義→火薬取締法2条)に該当しない推進剤を使用する場合は適用されません。
 ・理化学上の実験,等の公益目的に該当する場合は適用されない(火薬取締役法25条1項但書)
  ただし,現在の運用では,民間による事業,についてはこの例外を適用しない傾向にあります。
  民間でも,科学・技術推進に寄与することが明らかなので,この例外の適用をもっと拡げるべきであると思います。

(4)電波法

『(電波を用いる)無線局の開設』(電波法4条)に該当
 →総務大臣の免許 によりクリア
 ・電波を用いないもの(人工衛星ではなく,ロケット打ち上げのみ(実験)など)では該当しません。
 ・『電波の発射(発信)を直ちに停止できる』ことが必要です(電波法36条の2)。

(5)その他の法規制

<その他該当する可能性がある規制類>

・高圧ガス保安法(昭和26年法律第204号)
・毒物及び劇物取締法(昭和25年法律第303号)
・労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)
・電気事業法(昭和39年法律第170号)
・船舶安全法(昭和8年法律第11号)
・大気汚染防止法
・水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)
・騒音規制法(昭和43年法律第98号)

(6)その他の手続き(参考)

あ 宇宙物体登録条約に基づく登録

・民間の人工衛星運用については,総務省・国土交通省・経済産業省が登録しています(宇宙物体登録条約1条,2条)。

い 民事的な差止請求

・騒音,危険性などを理由とした,ロケット打ち上げの差止請求(仮処分)などのケアが必要になることもあります。

3 ロケット,人工衛星プロジェクトの民事的リスク|差止請求

ロケットを打ち上げるプロジェクトについては,公的な規制以外に,民事的なケアも必要です。

<具体的な民事的問題の例>

あ 差止請求

騒音や危険性を理由とするものです。
仮処分も含みます。

い 損害賠償請求

損害が生じたことを理由とするものです。

具体的な損害が生じなければ,最終的に訴訟に至ったとしても,当然,棄却されることになります。
ただし,差止の仮処分については,事前に損害が生じる可能性だけで発令されることがあります。
プロジェクト遂行における,一種の不意打ち伏兵となります。

4 ロケット打ち上げ差止請求|実例|JAXA・H2Bロケット事件

『仮』ではない『差止請求』の実例を紹介しておきます。

<ロケット打ち上げの差止請求訴訟>

原告 鹿児島県内でホテル・バス事業を行う企業
被告 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
裁判所 鹿児島地方裁判所
請求内容 H2Bロケットの打ち上げ差止・損害賠償
主張概要 ホテルの所有権・営業権の侵害
※西日本新聞経済電子版平成25年1月12日

提訴は行われたようですが,認容されたという情報は見当たりません。
いずれにしても,一般的なリスクとして挙げました。
ロケット打ち上げプロジェクトの際は,当初より一定の配慮をしておくと良いでしょう。

5 人工衛星×他国の領空侵害|カーマン・ライン

人工衛星をロケットで打ち上げる場合,他の国の上空を(軌道が)通ります。
この場合でも,他国(領空)の侵害,には当たりません。外国政府の許認可などは不要です。

(1)宇宙条約よって宇宙空間の『領有』は禁止される

宇宙空間については,宇宙条約において,各国による領有が禁止されています(宇宙条約2条)。
『どの国も排他的に占領できない』ということです。
逆に『占有』以外の使用は禁止されていません。

(2)各国の『領空』は侵入できない

逆に宇宙空間よりも下(地表面・海面に近い)の部分は各国の領空となります。
領空とは,国家の主権,つまり統治権の範囲,という概念です。
結局,宇宙空間と領空の境界がどこか,ということによって侵害に当たるかどうかが決まります。

(3)宇宙空間/領空の境界については,公的ルールはない

この宇宙空間と領空の境界については,国際的な統一的・画一的なルールは現在のところ,ありません。
つまり,多くの国が参加する条約,という形でのルールは存在しない,ということです。
条約未満のルールはあります。

(4)カーマン・ラインによる宇宙空間/領空の境界は100キロメートル上空

参加者(国)が広範で権威があるものがカーマン・ラインと呼ばれるものです。

<カーマン・ラインによる宇宙空間/領空の境界>

海抜高度100キロメートルのラインを宇宙空間と領空の境界とする
(100km Altitude Boundary for Astronautics)
※制定=国際航空連盟

この高度は熱圏の範囲内にあり,地球の大気が非常に希薄な部分です。
航空機の運行が不可能であり,事実上,地表面との関連性がほぼ皆無,と言えます。
そこで,宇宙空間と領空の境界として考えられました。
逆に,一般の航空機が飛行不可能な高度,としては地上高30キロメートル程度です。
ですから,国語辞典レヴェルの説明では,海抜30キロメートル以上を宇宙空間とする例もあります。
このように,一律・画一的なルールはないのです。
その中で,カーマン・ラインは,条約ではないのですが,事実上,多くの国家による機関(NASAなど)で便宜的に定義として適用されています。

6 ロケット,人工衛星プロジェクトのミス×損害賠償責任

ごく一般的な民事的なルールでは,加害者が損害の責任を負うことになっています。
非常にシンプルで,当然の理論です。
しかし,ロケット・人工衛星の打ち上げ・運用上のミスによる損害は非常に大きなものになる可能性を秘めています。
そこで,宇宙損害責任条約というルールが国際的に制定されています。

<宇宙損害責任条約の内容>

・宇宙物体が引き起こした損害については,打上げ国(政府)が無過失責任を負う
 ※宇宙物体責任条約2条
・民間が打ち上げたロケットについても,宇宙物体がその領域から打ち上げられる国が責任を負う
 ※宇宙物体責任条約1条(c)(ii)
・宇宙物体責任条約よりも先行する宇宙条約においても非政府団体の活動も国際責任が生じる
 ※宇宙条約6条,7条
・打ち上げに失敗した場合も同様とする
 ※宇宙物体責任条約1条(b)
・政府から『打ち上げた民間事業者』に対する求償は特に禁じられていない
・打ち上げた国内に生じた損害については,この条約の適用はない
 ※宇宙物体責任条項7条

条約というのは国際的(国家間)に適用されるルールですから,このようになっています。
国内に加害者・被害者が属している,という場合は,一般的な民事上の損害賠償が適用されます(民法709条等)。
一般的には,政府からの求償,国内の被害者からの損害賠償という責任発生に備え,賠償保険に加入しておくのが通常です。

7 ロケット,人工衛星プロジェクトのミスによる損害賠償請求手続は外交ルートによる

一般的な民事上のルールでは,被害者自身(またはその代理人)が,直接責任を負う者(加害者)に対して,請求を行います。
当然と思われるルールなのですが,ロケット打ち上げミスのような宇宙物体による損害については,別のルールが条約として規定されています。
宇宙損害責任条約により,加害者の属する国(政府)が責任を負うとともに,手続きとしても外交上の経路を通じることとされています(宇宙損害責任条約9条)。
つまり,被害者(個人や法人)は自国の政府に加害国への請求を要請するということになります。

一方,条約上は,外交ルートを使わず,被害者(個人・法人)が直接加害国へ請求するということも認められています(宇宙損害責任条約11条2項)。
ただ,この方法は,手続き遂行の負担が大きいと思われます。
そのような事情を考慮して,外交ルートが用意されているのです。
この点,一般論として民間が外交ルートを利用することについては,補充性が必要とされています。
つまり,直接の手続として利用可能なものをすべて利用し尽くした後で初めて外交ルートの利用が認められるというものです。
この原則どおりだと,手続き遂行の負担があまり軽減されません。
そこで,宇宙損害については,直接の手続をし尽くすことが必要(補充性)という要件が排除されています(宇宙損害責任条約11条1項)。

8 宇宙開発の発展×国際問題

現時点では,各国による宇宙開発によって熾烈な利害対立が生じることはあまりありません。
しかし,科学・技術が大きく進歩しています。
宇宙開発も飛躍的に進むと予想されます。
次のような利害対立,問題発生が想定されます。
宇宙開発の進度に応じて,国際的協議→明確なルール(条約)制定,という整備も進める必要があります。

<将来の国際的な宇宙開発問題>

あ 占有,専用

・静止衛星軌道を特定の国が占拠
 →他国の利用が制限される
ラグランジュ点を特定の国が占拠
 →他国の利用が制限される

い 危険発生

・スペースデブリの発生
 →宇宙空間(静止衛星軌道)の利用が制約される

う 太陽光の照射妨害

・宇宙太陽光発電,太陽光の進路コントロール(地上の太陽光発電パネルに向けた反射)による太陽光横取り

え 地球以外の天体の利用(利益分配)

・例えば,月のヘリウム3をエネルギー源として利用する技術が確立した場合,その運用方法とエネルギー分配方法で利害対立が生じる

お プライバシー侵害,機密侵害

・キャメラの性能(解像度)が躍進的に高度化
 →人工衛星から極度に鮮明な地上の画像が撮影できるようになる

条文

[航空法]
(飛行に影響を及ぼすおそれのある行為)
第九十九条の二  何人も、航空交通管制圏、航空交通情報圏、高度変更禁止空域又は航空交通管制区内の特別管制空域における航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのあるロケットの打上げその他の行為(物件の設置及び植栽を除く。)で国土交通省令で定めるものをしてはならない。ただし、国土交通大臣が、当該行為について、航空機の飛行に影響を及ぼすおそれがないものであると認め、又は公益上必要やむを得ず、かつ、一時的なものであると認めて許可をした場合は、この限りでない。
2  前項の空域以外の空域における航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為(物件の設置及び植栽を除く。)で国土交通省令で定めるものをしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を国土交通大臣に通報しなければならない。

[航空法施行規則]
(飛行に影響を及ぼすおそれのある行為)
第二百九条の三  法第九十九条の二第一項 の航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為で国土交通省令で定めるものは、次の各号に掲げる行為とする。
一  ロケット、花火、ロックーンその他の物件を法第九十九条の二第一項 の空域(当該空域が管制圏又は情報圏である場合にあつては、地表又は水面から百五十メートル以上の高さの空域及び進入表面、転移表面若しくは水平表面又は法第五十六条第一項 の規定により国土交通大臣が指定した延長進入表面、円錐表面若しくは外側水平表面の上空の空域に限る。)に打ちあげること。
二  気球(玩具用のもの及びこれに類する構造のものを除く。)を前号の空域に放し、又は浮揚させること。
三  模型航空機を第一号の空域で飛行させること。
四  航空機の集団飛行を第一号の空域で行うこと。
五  ハンググライダー又はパラグライダーの飛行を第一号の空域で行うこと。
2  法第九十九条の二第一項 ただし書の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。
一  氏名、住所及び連絡場所
二  当該行為を行う目的
三  当該行為の内容並びに当該行為を行う日時及び場所
四  その他参考となる事項

第二百九条の四  法第九十九条の二第二項 の航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為で国土交通省令で定めるものは、次の各号に掲げる行為とする。
一  ロケット、花火、ロックーンその他の物件を法第九十九条の二第二項 の空域のうち次に掲げる空域に打ちあげること。
イ 進入表面、転移表面若しくは水平表面又は法第五十六条第一項 の規定により国土交通大臣が指定した延長進入表面、円錐表面若しくは外側水平表面の上空の空域
ロ 航空路内の地表又は水面から百五十メートル以上の高さの空域
ハ 地表又は水面から二百五十メートル以上の高さの空域
二  気球(玩具用のもの及びこれに類する構造のものを除く。)を前号の空域に放し、又は浮揚させること。
三  模型航空機を第一号の空域で飛行させること。
四  航空機の集団飛行を第一号の空域で行うこと。
五  ハンググライダー又はパラグライダーの飛行を第一号イの空域で行うこと。
2  前項の行為を行おうとする者は、あらかじめ、前条第二項第一号、第三号及び第四号に掲げる事項を国土交通大臣に通報しなければならない。

[消防法]
第三章 危険物

第十条  指定数量以上の危険物は、貯蔵所(車両に固定されたタンクにおいて危険物を貯蔵し、又は取り扱う貯蔵所(以下「移動タンク貯蔵所」という。)を含む。以下同じ。)以外の場所でこれを貯蔵し、又は製造所、貯蔵所及び取扱所以外の場所でこれを取り扱つてはならない。ただし、所轄消防長又は消防署長の承認を受けて指定数量以上の危険物を、十日以内の期間、仮に貯蔵し、又は取り扱う場合は、この限りでない。
○2  別表第一に掲げる品名(第十一条の四第一項において単に「品名」という。)又は指定数量を異にする二以上の危険物を同一の場所で貯蔵し、又は取り扱う場合において、当該貯蔵又は取扱いに係るそれぞれの危険物の数量を当該危険物の指定数量で除し、その商の和が一以上となるときは、当該場所は、指定数量以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱つているものとみなす。
○3  製造所、貯蔵所又は取扱所においてする危険物の貯蔵又は取扱は、政令で定める技術上の基準に従つてこれをしなければならない。
○4  製造所、貯蔵所及び取扱所の位置、構造及び設備の技術上の基準は、政令でこれを定める。

[火薬類取締法]
(定義)
第二条  この法律において「火薬類」とは、左に掲げる火薬、爆薬及び火工品をいう。
一  火薬
イ 黒色火薬その他硝酸塩を主とする火薬
ロ 無煙火薬その他硝酸エステルを主とする火薬
ハ その他イ又はロに掲げる火薬と同等に推進的爆発の用途に供せられる火薬であつて経済産業省令で定めるもの
二  爆薬
イ 雷こう、アジ化鉛その他の起爆薬
ロ 硝安爆薬、塩素酸カリ爆薬、カーリツトその他硝酸塩、塩素酸塩又は過塩素酸塩を主とする爆薬
ハ ニトログリセリン、ニトログリコール及び爆発の用途に供せられるその他の硝酸エステル
ニ ダイナマイトその他の硝酸エステルを主とする爆薬
ホ 爆発の用途に供せられるトリニトロベンゼン、トリニトロトルエン、ピクリン酸、トリニトロクロルベンゼン、テトリル、トリニトロアニソール、ヘキサニトロジフエニルアミン、トリメチレントリニトロアミン、ニトロ基を三以上含むその他のニトロ化合物及びこれらを主とする爆薬
ヘ 液体酸素爆薬その他の液体爆薬
ト その他イからヘまでに掲げる爆薬と同等に破壊的爆発の用途に供せられる爆薬であつて経済産業省令で定めるもの
三  火工品
イ 工業雷管、電気雷管、銃用雷管及び信号雷管
ロ 実包及び空包
ハ 信管及び火管
ニ 導爆線、導火線及び電気導火線
ホ 信号焔管及び信号火せん
ヘ 煙火その他前二号に掲げる火薬又は爆薬を使用した火工品(経済産業省令で定めるものを除く。)
2  この法律において「がん具煙火」とは、がん具として用いられる煙火その他のこれに類する煙火であつて、経済産業省令で定めるものをいう。
 
(消費)
第二十五条  火薬類を爆発させ、又は燃焼させようとする者(火薬類を廃棄するため爆発させ、又は燃焼させようとする者を除く。以下「消費者」という。)は、都道府県知事の許可を受けなければならない。但し、理化学上の実験、鳥獣の捕獲若しくは駆除、射的練習、信号、観賞その他経済産業省令で定めるものの用に供するため経済産業省令で定める数量以下の火薬類を消費する場合、法令に基きその事務又は事業のために火薬類を消費する場合及び非常災害に際し緊急の措置をとるため必要な火薬類を消費する場合は、この限りでない。
2~(略)

[電波法]
(無線局の開設)
第四条 無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。ただし、次の各号に掲げる無線局については、この限りでない。
一 発射する電波が著しく微弱な無線局で総務省令で定めるもの
二 二十六・九メガヘルツから二十七・二メガヘルツまでの周波数の電波を使用し、かつ、空中線電力が〇・五ワット以下である無線局のうち総務省令で定めるものであつて、第三十八条の七第一項(第三十八条の三十一第四項において準用する場合を含む。)、第三十八条の二十六(第三十八条の三十一第六項において準用する場合を含む。)又は第三十八条の三十五の規定により表示が付されている無線設備(第三十八条の二十三第一項(第三十八条の二十九、第三十八条の三十一第四項及び第六項並びに第三十八条の三十八において準用する場合を含む。)の規定により表示が付されていないものとみなされたものを除く。以下「適合表示無線設備」という。)のみを使用するもの
三 空中線電力が一ワット以下である無線局のうち総務省令で定めるものであつて、次条の規定により指定された呼出符号又は呼出名称を自動的に送信し、又は受信する機能その他総務省令で定める機能を有することにより他の無線局にその運用を阻害するような混信その他の妨害を与えないように運用することができるもので、かつ、適合表示無線設備のみを使用するもの
四 第二十七条の十八第一項の登録を受けて開設する無線局(以下「登録局」という。)

(人工衛星局の条件)
第三十六条の二 人工衛星局の無線設備は、遠隔操作により電波の発射を直ちに停止することのできるものでなければならない。
2 人工衛星局は、その無線設備の設置場所を遠隔操作により変更することができるものでなければならない。ただし、総務省令で定める人工衛星局については、この限りでない。

[宇宙物体登録条約(宇宙空間に打ち上げられた物体の登録に関する条約;第29会期国際連合総会決議3235(第2回会期)号、1974年11月12日採択、1976年9月5日発効)]
第1条 この条約の適用上、
(a) 「打上げ国」とは、次の国をいう。
(i) 宇宙物体の打上げを行い、又は行わせる国
(ii) 宇宙物体が、その領域又は施設から打ち上げられる国
(b) 「宇宙物体」とは、宇宙物体の構成部分並びに打上げ機及びその部品を含む。
(c) 「登録国」とは、次条の規定により宇宙物体が登録されている打上げ国をいう。
第2条
1. 宇宙物体が地球を回る軌道又は地球を回る軌道の外に打ち上げられたときは、打上げ国は、その保管する適当な登録簿に記入することにより当該宇宙物体を登録する。打上げ国は、国際連合事務総長に登録簿の設置を通報する。
2. 地球を回る軌道又は地球を回る軌道の外に打ち上げられた宇宙物体について打上げ国が2以上ある場合には、これらの打上げ国は、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約第8条の規定に留意し、宇宙物体及びその乗員に対する管轄権及び管理の権限に関して当該打上げ国の間で既に締結された又は将来締結される適当な取極を妨げることなく、1の規定により、当該宇宙物体を登録するいずれか1の国を共同して決定する。
3. 各登録簿の内容及び保管の条件は、登録国が決定する。



[宇宙条約(月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約;1966年12月13日採択、第21会期国際連合総会決議2222号、1967年10月10日発効)]
第2条 月その他の天体を含む宇宙空間は、主権の主張、使用若しくは占拠又はその他のいかなる手段によっても国家による取得の対象とはならない。

第6条 条約の当事国は、月その他の天体を含む宇宙空間における自国の活動について、それが政府機関によって行われるか非政府団体によって行われるかを問わず、国際責任を有し、自国の活動がこの条約の規定に従って行われることを確保する国際的責任を有する。月その他の天体を含む宇宙空間における非政府団体の活動は、条約の関係当事国の許可及び継続的監督を必要とするものとする。国際機関が、月その他の天体を含む宇宙空間において活動を行う場合には、当該国際機関及びこれに参加する条約当事国の双方がこの条約を遵守する責任を有する。
第7条 条約の当事国は、月その他の天体を含む宇宙空間に物体を発射し若しくは発射させる場合又は自国の領域若しくは施設から物体が発射される場合には、その物体又はその構成部分が地球上、大気空間又は月その他の天体を含む宇宙空間において条約の他の当事国又はその自然人若しくは法人に与える損害について国際責任を有する。



[宇宙損害責任条約(宇宙物体により引き起こされる損害についての国際責任に関する条約;第26会期国際連合総会決議2277号、1971年11月29日採択、1972年9月1日発効)]
第1条 この条約の適用上、
(a) 「損害」とは、人の死亡、身体の障害その他の健康の障害又は国、自然人、法人若しくは国際的な政府間機関の財産の減失若しくは損傷をいう。
(b) 「打上げ」には、成功しなかった打上げを含む。
(c) 「打上げ国」とは、次の国をいう。
(i) 宇宙物体を打上げ、又は行わせる国。
(ii) 宇宙物体が、その領域又は施設から打上げられる国。
(d) 「宇宙物体」には、宇宙物体の構成部分並びに宇宙物体の打上げ機及びその部品を含む。
第2条 打上げ国は、自国の宇宙物体が地表において引き起こした損害、又は飛行中の航空機に与えた損害につき無過失責任を負う。

第7条 この条約の規定は、打上げ国の宇宙物体により次の者に対して引き起こされた損害については適用しない。
(a) 打上げ国の国民。
(b) 宇宙物体の運行に参画している外国人(宇宙物体の打上げの時からその落下の時までの間のいずれかの段階で参画しているかを問わない。)又は宇宙物体の打上げ国の招請により打上げ予定地域若しくは回収予定地域に隣接する地域に滞在している外国人。

第9条 損害の賠償についての請求は、外交上の経路を通じて打上げ国に対し行われる。当該打上げ国との間に外交関係のない国は、当該請求を当該打上げ国に提出すること又は他の方法によりこの条約に基づく自国の利益を代表することを他の国に要請することができる。当該打ち上げ国との間に外交関係がない国は、また、国際連合事務総長を通じて自国の請求を提出することができる(請求国及び打上げ国の双方が国際連合の加盟国である場合に限る。)。

第11条
1. この条約に基づき打上げ国に対し損害の賠償についての請求を行う場合には、これに先立ち、請求国又は請求国が代表する自然人若しくは法人が利用することができるすべての国内的な救済措置を尽くすことは必要としない。
2. この条約のいかなる規定も、国又は国により代表されることのある自然人若しくは法人が、打上げ国の裁判所、行政裁判所又は行政機関において損害の賠償についての請求を行うことを妨げるものではない。当該請求が打上げ国の裁判所、行政裁判所若しくは行政機関において又は関係当事国を拘束する他の国際取極に基づいて行われている間は、いずれの国も、当該損害につき、この条約に基づいて請求を行うことはできない。