1 日本でのICOの仮想通貨交換業規制をクリアする方法と外国のICO規制
2 日本でのICOで仮想通貨交換業規制をクリアする方法
3 主な外国・エリアのICO規制
4 国外での販売と日本での登録との関係

1 日本でのICOの仮想通貨交換業規制をクリアする方法と外国のICO規制

現在(平成30年8月),日本には,ICO自体を直接的に規制するルールはありません。
しかし通常のICOで発行するトークンは交換所での取引が行われることが想定されているので,資金決済法上の仮想通貨として仮想通貨交換業の規制の対象となります。なお,利益配当が予定されている場合には金商法の規制の対象となることがあります。
詳しくはこちら|仮想通貨交換所の規制(平成28年改正資金決済法)の全体像
本記事では,日本でICOを行う際に,仮想通貨交換業の規制をクリアする方法を説明します。さらに主な外国でのICOの規制についても紹介します。

2 日本でのICOで仮想通貨交換業規制をクリアする方法

発行するトークンが仮想通貨の定義に該当すると,発行(販売)のためには仮想通貨交換業者登録が必要になります。
トークンの発行者自体が登録を取得する方法と,既に登録済の仮想通貨交換業者にトークンの発行を委託する方法があります。
ただし,日本の仮想通貨交換業者は現在(平成30年8月)はまだ,トークンの発行サービスを行っていません。

<日本でのICOで仮想通貨交換業規制をクリアする方法>

あ 前提(仮想通貨該当性)

発行するトークンが『仮想通貨』の定義に該当するという前提であれば
詳しくはこちら|仮想通貨の定義と該当性判断の方法(改正資金決済法とガイドライン)
→『い』の『ア・イ』のいずれかによって販売する
詳しくはこちら|仮想通貨交換所の規制(平成28年改正資金決済法)の全体像

い 適法化の方法

ア 仮想通貨交換業者の登録の取得
トークンの発行者が仮想通貨交換業者の登録を取得する
イ 仮想通貨交換業者への委託
トークンの発行者が登録済の仮想通貨交換業者に販売を委託する

う トークン発行サービスの受託の実情

現在,仮想通貨交換業者はトークン発行業務の受託をしていない
サービス開始は平成30年の秋・冬以降になると予想されている
※河合健稿『ICOの法規制の動向』(日本仮想通貨事業者協会5月度勉強会資料)2018年5月p3

3 主な外国・エリアのICO規制

前記のように,日本でICOを行うためにはライセンスの問題が高いハードルとなっています。そうすると,外国でトークン発行しようという発想が生まれます。
当然ですが,外国(やエリア)は,それぞれのルール(規制)があります。ICOを全面的に禁止する国もありますし,いろいろな形(内容)で規制する国もあります。

<主な外国・エリアのICO規制>

あ ICOを禁止する国

中国・韓国

い ICOを既存の規制の対象とする国

米国・シンガポール・スイス・ドイツ・オーストラリア・UK・ドバイ

う ICOを新たな規制の対象とする国

フランス・ジブラルタル・アラブ首長国連邦(UAE)・ロシア

え ICOを規制の対象としない国

ベラルーシ
※各国・エリアの公表情報など(平成30年8月時点)

4 国外での販売と日本での登録との関係

通常,ICOでのトークンの販売はインターネットを介して行われます。そうすると,日本国外でICOを行った場合でも,日本からトークンを買えることになります。
基本的に,日本国内の居住者に仮想通貨を販売する場合には日本のライセンス(仮想通貨交換業者登録)が必要となります。
厳密に考えると,日本国内からのアクセスを禁止する措置を取らない限り日本居住者に販売したといえるのか,という問題は残ります。また,仮に日本の登録が必要ということを前提にしても,登録を得ていない事業者をどのように取り締まるのか,という別次元の問題がさらに残ります。
実際の大規模なICOでは日本からのアクセス自体をシャットアウトする傾向が強くなっています。

<国外での販売と日本での登録との関係>

あ 日本の法令の適用の有無

外国の事業者がトークンを『日本居住者に販売』する場合
→日本の法規制(仮想通貨交換業者登録)が適用される

い グレーな領域

外国Xの事業者がX国居住者に向けてトークンの販売をしている
日本からもインターネット上の販売サイトにアクセスできる
事業者は想定していなかったが日本居住者1名にトークンを販売してしまった
→日本の法規制(登録制)の適用の有無についての確定的見解(判例)はない
詳しくはこちら|日本国内居住者向け仮想通貨交換サービス(日本での営業)の判断基準

う 実情

国外でのICOでは『日本居住者へのトークン販売』を行わないようになってきている
(国外の仮想通貨交換業者は『日本居住者による取引』を中止するようになってきている)
日本居住者への『無償配布』により仮想通貨交換業者登録を避ける実例もある
例=オタクコイン
VCによるプレセール→VCがICOで売却(イグジット)するという流れができつつある

本記事では,日本でのICOの仮想通貨交換業規制をクリアする方法と外国のICO規制について説明しました。
実際にはトークンの仕組みや発行の方法によって,規制の適用の有無は違ってきます。
実際にICO(トークンの発行)を検討されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。