【人類の未踏エリアへの進出と領有・帰属のルールの歴史(無主地先占)】

1 人類の未踏エリアへの進出と領有・帰属のルールの歴史
2 日本の現行法の無主物のルール
3 現在の国際法の無主地先占ルール
4 土地の占領・領有に関する世界史上の条約
5 宇宙の領有に関するルール(宇宙条約・概要)
6 未踏エリアへの進出と領有のルールのまとめ

1 人類の未踏エリアへの進出と領有・帰属のルールの歴史

世界の歴史を振り返ると,技術の進化に伴い,人類未踏のエリアへの進出(活動エリアの拡大)が続いてきました。
山地や森林の開発から始まり,大航海時代を経て,現在では宇宙への進出(宇宙開発)と発展してきています。
このような発展の中で,領有に関するいろいろなルールが作られてきました。
本記事では,未領有エリアへの進出の際に,新たなエリアをどのように扱うかというルールについて説明します。

2 日本の現行法の無主物のルール

まず身近な日本の現在の民法をみてみます。
一般論として,まだ誰の所有とも決まっていない物(無主物)の所有権についての規定があります。
動産であれば,最初に占有した者の所有となります。不動産については,国の所有となります。なお,日本の歴史をさかのぼると,最初に土地を開墾した者がその土地の所有権を得るという制度があった時代もあります(三世一身の法・墾田永年私財法)。

<日本の現行法の無主物のルール>

あ 動産(民法239条1項)

最初に占有した者が所有権を獲得する
無主物先占と呼ぶ

い 不動産(民法239条2項)

国(日本政府)に所有権が帰属する
国庫帰属と呼ぶ
詳しくはこちら|無主の不動産→国庫帰属|不動産の所有権放棄は現実的にはできない傾向

3 現在の国際法の無主地先占ルール

大航海時代を中心に,新大陸発見(紹介)や新航路発見による植民地獲得という,国家間の競争・闘争がありました。人類の歴史上の酒用がなかった苦悩といえます。
このような地球全体の規模での未踏の土地の所有(領有)に関して,国際的なルールがあります。
国際法として,明文はないですが無主地先占というルールが存在します。
無主地先占というルールを前提に,どの国が最初に占有したのか(”占有に該当するかどうか)という対立が未だに続いているエリアが地球上に数多くあります。

4 土地の占領・領有に関する世界史上の条約

前記のように,一般的な国際法では無主地先占です。これが原因となって,先を争って領有する(領土・植民地を拡大する)という競争・闘争になってしまいます。
そこで,国同士が協議して占有する対象エリアを決めた(分けた)という取り決めがなされた(条約締結)ことがあります。今になって考えると現地の社会・住人の権利(人権)を無視したとんでもない条約です。

<土地の占領・領有に関する世界史上の条約>

ア トルデシリャス条約(1494年)イ サラゴサ条約(1529年) ※いずれも,ポルトガル・スペイン間の条約

5 宇宙の領有に関するルール(宇宙条約・概要)

現在,人類未踏エリアへの進出は宇宙・天体となっています。つまり宇宙開発です。
ここでは,大航海時代とは違って,そもそも特定の国家の領有自体を禁止するというルールが作られています。
詳しくはこちら|宇宙・天体の利用に関する国際的ルール(宇宙条約・月協定)

6 未踏エリアへの進出と領有のルールのまとめ

以上のように,未踏のエリアへの進出に伴ってだれのものになるかというルールにはいろいろなもの(歴史)があります。
本記事で登場した主なルールを整理しておきます。

<未踏エリアへの進出と領有のルールのまとめ>

あ 日本国内(民法)

ア 動産(民法239条1項) 無主物先占
イ 不動産(民法239条2項) 国庫帰属

い 地球上の土地(国際法)

無主地先占

う 宇宙空間・天体(宇宙条約2条)

特定の国の所有の対象にはならない

本記事では,人類の歴史とともに作られてきた未踏エリアの領有に関するルールを説明しました。
今後進んでゆく宇宙開発では,国際的な協力によって,人類の知的探求や実用的な宇宙の利用が発展することを期待します。

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【宇宙活動による損害の賠償責任(国家への責任集中の原則・外交ルート)】
【売買の代金額や違約金が不当だと無効となる(暴利行為の判断基準)】

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