1 著作物の例示の条文規定
2 著作物の例示の規定の趣旨と例示以外の著作物
3 著作物の例示の内容
4 プログラムの著作物の例外

1 著作物の例示の条文規定

『著作物』の定義は抽象的で分かりにくいです。
詳しくはこちら|『著作物』の定義(基本)
この点,著作物に該当するものの具体例が著作権法10条にたくさん記載されています。
最初に,この著作権法の『列挙』の性質についてまとめます。

<著作物の例示の条文規定(※1)>

あ 規定の内容

著作物が『例示』されている
※著作権法10条1項

い 『例示』の趣旨

著作物の具体例である
表現形態別に分類して例示したものである
著作物の定義(著作権法2条1項1号)の具体的解釈基準となる
※加戸守行『著作権法逐条講義 6訂新版』著作権情報センター2013年p120

2 著作物の例示の規定の趣旨と例示以外の著作物

前記の著作物の例示は,あくまでも例です。
つまり,例示の規定に記載されていないものでも著作物として認められる可能性があるのです。
しかし,これは理論的なものであり,実際には例示以外の著作物はほとんどありません。

<著作物の例示の規定の趣旨と例示以外の著作物>

あ 例示以外の著作物の存在(理論)

著作物は例示(前記※1)されているものに限定されるわけではない
例示にはないものでも著作物になり得るものがある
※加戸守行『著作権法逐条講義 6訂新版』著作権情報センター2013年p120

い 例示以外の著作物の存在(現実)

例示には立法時に想定されていたものがほぼ網羅されている
これ以外の著作物が認められることは事実上少ない
※中山信弘『著作権法 第2版』有斐閣2014年p84

う 例示/限定列挙の比較(参考)
限定列挙 記載のないものは除外される
例示列挙 記載のないものも認められる

例示されていないものとしては将棋などの棋譜があります。
著作物として認めるかどうかの確定的な見解はありません。
詳しくはこちら|将棋や囲碁の棋譜に著作権(著作物性)はないという傾向である

3 著作物の例示の内容

著作物の例示として著作権法に規定されているものをまとめます。

<著作物の例示の内容>

あ 言語の著作物;10条1項1号

小説・脚本・論文・講演

い 音楽の著作物;10条1項2号
う 舞踊・無言劇の著作物;1項3号
え 美術の著作物;10条1項4号

絵画・版画・彫刻
ビジュアルな作品を広く含む
例;CG
漫画→『言語+美術』が一体化している
美術工芸品を含む;2条2項
応用美術=量産品については『審美性』があるもののみ
詳しくはこちら|アイデア・実用品の『著作物』該当性

お 建築の著作物;10条1項5号
か 図形の著作物;10条1項6号

地図・学術的な性質を有する図面・図表・模型
具体例=地図・設計図

き 映画の著作物;10条1項7号

映画・ビデオグラム・テレビジョン・テレビゲーム・コンピュータなどの画面表示
動画一般が広く含まれる
映画の効果に類似する視覚的・視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され+物に固定されている著作物を含む;2条3項

く 写真の著作物;10条1項8号

写真の製作方法に類似する方法を用いて表現される著作物を含む;2条4号

け プログラムの著作物;10条1項9号

電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したもの;2条1項10号の2
例外とされるものもある(後記※2)

4 プログラムの著作物の例外

プログラムの著作物に関しては,例外的に除外されるものも規定されています。

<プログラムの著作物の例外(※2)>

条文上の規定 内容 具体例
プログラム言語 プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系 PHP,Ruby,JavaScript
規約 特定のプログラムにおける『プログラム言語』の用法についての特別の約束 プロトコル・インターフェース
解法 プログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法 アルゴリズム

※著作権法10条3項

これらはプログラムそのものではないといえるでしょう。
以上の内容を記述した仕様書やプログラム(スクリプト・ソース)は著作物に該当することがあります。