【プラットフォーム/原サービス販売者の判定と実費の扱いの違い】

1 実費と有償性に関する2つの判断の比較(参考)
2 実費と有償性に関する判断の違い
3 プラットフォームとサービス販売者の判断
4 中間者の法的扱いの判定の枠組み
5 中間者の法的扱いの判定の目安
6 包括的サービスの具体例・実例

1 実費と有償性に関する2つの判断の比較(参考)

いろいろな業法規制で『有償』であることが規制の対象となる条件の1つとなっています。実際に『有償』に該当するかどうかが問題なることも多いです。
『有償』の判断についての行政判断を2つ紹介します。

<実費と有償性に関する2つの判断の比較(参考)>

あ 一般のサービス販売タイプ(※1)

具体例=運送車両法
実費程度の徴収は『有償』には該当しない
※平成18年9月29日自動車交通局旅客課長事務連絡
詳しくはこちら|道路運送法|無償/有償・判断基準|国交省解釈・通達

い マッチングサービス規制タイプ(※2)

具体例=旅行業法
プラットフォーマーの規制である
実費の徴収でも『報酬』に該当する
実費の具体例=外部運送業者へ支払う金銭
※平成17年2月28日国総旅振386号旅行業法施行要領
過剰な規制につながる内容もあり,その後の通達で実質的に修正されている
詳しくはこちら|旅行業法の『報酬』(有償性)に関する解釈(旅行業法施行要領)

要するに,実費の受領について,有償と認める/認めないという2つの判断があるのです。これだけを見ると矛盾しているように感じます。
しかし,これはサービス内容の違いが反映されたものです。

2 実費と有償性に関する判断の違い

実費の受領と有償性の関係について一見,異なる判断があるようにみえます(前記)。この理由についてまとめます。

<実費と有償性に関する判断の違い>

あ 違い=中間者の性格

マッチングサービス(前記※2)について
→これ自体が『中間者』の性格を持っている

い 中間者の性格の内容

実質的に他者の提供するサービスを中間者が販売する
→もともとこのような形態が法規制の対象となっている
一般のサービス販売タイプ(前記※1)では想定されていない

3 プラットフォームとサービス販売者の判断

前記のような『中間者』は,通常いわゆるプラットフォームの提供者です。プラットフォーマーとも呼ばれます。
しかし,具体的なサービスの内容によっては『中間者』ではないと判断されることもあります。これについて,運送・宿泊サービスを前提として整理します。

<プラットフォームとサービス販売者の判断>

あ 当事者の整理

旅行業の規制を前提に具体例を設定する
A=原サービス提供者
運送・宿泊サービスのことである
B=中間者
C=運送・宿泊サービス利用者(エンドユーザー)

い 判断の大枠

中間者Bの法的扱いについて
→販売の方法によって
『ア〜ウ』のいずれかに認定される(後記※1
ア 原サービス提供者イ 『手配旅行』(旅行業)提供者ウ 純粋なマッチングサービス(規制対象外)

4 中間者の法的扱いの判定の枠組み

前記の中間者はサービス形態によって,法的な扱いが異なるのです。
行政刑罰における事業主の判断基準です。
詳しくはこちら|行政刑罰(事業主処罰規定)の『事業主』の判断基準
事業主の判断基準は抽象的で実例についてはっきり判断できないことが多いです。
そこで,以下,具体的な判断の方法を説明します。
まずは法的な扱いの判定の大きな枠組みをまとめます。

<中間者の法的扱いの判定の枠組み(※1)

あ 判定の枠組み

原サービスへの関わりの程度によって判定される
広範な具体的事情が判断材料となる
総合的に判断される
関わりの程度は連続的なものである
→確実に判断できる基準はない

い 判定基準(概要)

3種のそれぞれに整合するサービス態様を整理する(後記※2
判定の目安という程度の基準である

5 中間者の法的扱いの判定の目安

前記の中間者の法的扱いの具体的な判定材料をまとめます。

<中間者の法的扱いの判定の目安(※2)

あ 原サービス提供者

ア 設備・施設の支配権限が強い 占有権原・使用・管理権限を有している
設備・施設=自動車や建物のことである
イ 経済的支配権限が強い 経費の使用・サービスの内容の設定の権限を有している

い 『手配旅行』提供者

原サービス提供者Aが『エンドユーザーCが誰か』を把握できない
原サービス提供者Aは取引の諾否の裁量がない(少ない)
Cは中間者Bから購入したと認識している
Cにとって,支払の相手(A)や金額が明確ではない
例;Bが包括料金を設定している
中間者Bは取引に関する裁量を持っている

う 純粋なマッチングサービス

エンド当事者A・Cが相互に『相手が誰か』を把握できる
エンド当事者A・Cに取引の諾否の判断の裁量がある
Cにとって,支払の相手(A)と金額が明確になっている
中間者Bには取引に関する裁量がない

6 包括的サービスの具体例・実例

『中間者』のはずであっても,サービスが包括的になると法的扱いが異なります。旅行業法や旅館業法の規定対象となることもあるのです。
分かりにくいところなので,具体例を想定して説明します。なお,実際にこれに近いサービスの検挙例もあります。

<包括的サービスの具体例・実例>

あ サービス内容(想定)

Xは民泊のマッチングサービスを提供している
例;airbnb
次のようなサービス形態を運用した
宿泊料金を自社で設定する
ホストに支払う金銭よりも高い金額とする
差額がXの利益となる
ゲストはXに宿泊料金を支払う

い 判定

『手配旅行』提供者or宿泊サービス提供者となる

う 実例(参考)

『あ』に近い運用方法についての実例がある
業法違反の疑いの対象となった
=原サービス提供者という判定
詳しくはこちら|民泊サービス代行業の検挙事例(平成28年7月ピクセルC事件)

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