【電波・周波数の割当の制度(割当計画や公開原則と国際的ルール)】

1 周波数の割当の趣旨・趣旨

電波は非常に大きなメリットを持ちます。経済的な価値としてはとてつもなく大きな金額に相当するものです。そこで公共性があるのです。
この点、複数の者が同一の周波数の電波を用いると、相互に障害が生じます。通信における混信という状況です。そこで、電波の使用を周波数というファクターによって分類して管理する必要性があります。
周波数による管理の内容は『周波数を政府が割り当てる』というシステムです。この制度の趣旨と目的をまとめます。

周波数の割当の趣旨・目的

あ 電波法の趣旨・目的

電波の衡平かつ能率的な利用を確保する
→公共の福祉を増進する
※電波法1条

い 免許制による周波数の割当

無線局の開設には免許を要する
使用する周波数を政府が割り当てる方式となっている
詳しくはこちら|無線局開設の免許制度の基本(趣旨と『無線局・開設』の解釈)

2 周波数割当計画・公開の原則

電波は非常に公共性が高いです(前記)。そこで政府によるコントロールも公平性・透明性が要求されます。そこで公開の原則がとられています。

周波数割当計画・公開の原則

あ 周波数割当計画

総務大臣は周波数の割当に関する表(い)を作成する
公衆の閲覧に供する

い 内容(全体)

ア 割り当てることが可能な周波数イ 既に割り当てた周波数

う 内容(周波数ごと)

ア 無線局の行う無線通信の態様・目的イ 周波数使用の期限・使用条件ウ 『放送』をする無線局の専用or優先的周波数※電波法26条
※電波法施行規則17条〜21条

周波数の割当の制度については、オークション方式にした方が公平・透明でかつ政府の収入にもつながる、という指摘があります。逆に、現在の周波数の割当制度については、官僚統治の弊害が指摘されています。
詳しくはこちら|行政の肥大化・官僚統治|コスト・ブロック現象|小規模事業・大企業

3 基幹放送用周波数使用計画

政府による電波の管理の公共性・透明性の確保の一環として、周波数の使用の計画を作成し公表するというものがあります。

基幹放送用周波数使用計画

あ 基幹放送用周波数使用計画

総務大臣が定める
放送系の数の目標(う)の達成に資するように定める
放送用割当可能周波数の範囲内で定められる
制定、変更した時は遅滞なく公示される
※電波法7条3項、5項
※基幹放送用周波数使用計画;郵政省告示

い 放送普及基本計画

総務大臣が放送普及基本計画を定める
制定、変更した時は遅滞なく公示される
※放送法91条1項、4項、5項
※基幹放送普及計画;郵政省告示

う 放送系の数の目標

放送普及基本計画(い)で定めるものの1つである
放送対象地域ごとの放送系の数の目標である
※放送法91条2項3号

4 電波の使用に関する国際ルール

電波はその強度や周波数(波長)によっては、数千キロメートルの距離を進むことができます。容易に国境を超えるのです。1つの国による管理だけでは不十分です。そこで、国際的なルールが作られています。
国際的な電波利用に関するルール自体として、条約と、条約から独立した規則があります。

電波の使用に関する国際ルール

あ 国際無線電信条約

国際無線電信条約及び同附属業務規則
1906年ベルリンにて制定された

い 無線通信規則(Radio Regulations;RR)

1932年マドリッド会議にて
条約から分離された
→独立した規則として制定(改正)された(後記※1)
※『学習用国際電波法規』財団法人電気通信振興会p47

5 無線通信規則における周波数に関する規定

現在の国際的な電波利用に関する規定は無線通信規則です。いわゆるRRです(前記)。この規則の中でも、日本国内の法律と同様に、周波数による管理が規定されています。
逆に、この規定が前提となって、日本国内のルール(法令)が作られているという構造です。

無線通信規則における周波数に関する規定(※1)

第S2章 周波数
S4.2
連合員は、他国の局が行う業務に有害な混信を生じさせるおそれがある局に周波数を割り当てる場合には、周波数分配表その他の規則の規定に従って割り当を行うことを約束する
(略)
第S4条 周波数の割当及び使用
(略)
※『学習用国際電波法規』財団法人電気通信振興会p72

6 周波数と波長(補足説明)

以上の説明では周波数を電波の分類の要素として用いています。この点、波長によって分類することもできます。誤解がないように補足して説明しておきます。

周波数と波長(補足説明)

あ 物理的な周波数と波長の変換式

λ = c / F
F=電波の周波数
λ=電波の波長
c=光速
※ヘルツ『Ueber die Ausbreitungsgeschwindigkeit der electrodynamischen Wirkungen』/Annalen der Physik270巻7号1888年5月p551〜569

い 数学的な周波数と波長の関係

周波数の逆数が波長である
周波数と波長は1対1対応である

う 社会的・法律的な分類・表記

周波数・波長のいずれで電波を分類・表記できる
法的・社会的には周波数による分類・表記が一般的である
→本サイトでも周波数による分類に統一する

なお、上記のヘルツとは、弁護士を父に持ち、電磁波の研究をしたドイツ人のことです。
※Koertge, Noretta『Dictionary of Scientific Biography』6号2007年p340

本記事は一般的な説明です。個別の事案にそのまま当てはまるとは限らず、一見似ている事案でも、事情が異なれば結論は異なります。個別的事情により、法的判断や主張として活かす方法、最適な対応方法は違ってきます。本記事でご説明したものと同様の問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。

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