【施行令改正|留意事項・条例との齟齬問題】
1 施行令改正|留意事項|多数人・共用
この記事が説明しているのは、平成28年3月30日付の通達が示した留意事項です。以下は当時の記録で、引いている通達も当時のものです。いまフロントに何が要るかは、記事の末尾で触れます。
平成28年4月に旅館業法のルールが緩和されています。
これに伴い『衛生管理要領』も改正されました。
(別記事『平成28年4月改正施行令・通達』;リンクは末尾に表示)
これらの改正に関する注意事項が通達で示されています。
まずは簡易宿所営業の定義に関する指摘をまとめます。
<施行令改正|留意事項|多数人・共用>
あ 旅館業法|簡易宿所・定義
『多数人で共用する構造及び設備を主とする施設』
※旅館業法2条3項
い 留意事項
施行令改正によって『あ』の解釈が変更されることはない
※平成28年3月30日施行令改正通達『第3 1』
『多数人・共用』の解釈はちょっと複雑です。
これについては別に説明しています。
(別記事『簡易宿所営業|多数人』;リンクは末尾に表示)
簡易宿所営業の定義(現行)
この法律で「簡易宿所営業」とは、宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、下宿営業以外のものをいう。
※旅館業法2条3項
2 施行令・要領改正×条例との齟齬問題|一般
施行令・衛生管理要領の改正は明確に示されています。
一方で自治体ごとのルールは『条例』として定められています。
ここで『食い違い』が生じるという問題があります。
<施行令・要領改正×条例との齟齬問題|一般>
あ 自治体の対応を要請
ア 対象機関保健所を設置する自治体
イ 政府の要請施行令・改正衛生管理要領と整合しない条例の規定が生じる
→食い違いを解消することを要請する
い 齟齬|確認
小規模な宿泊施設の特性を踏まえて条例の規定を点検する
必要に応じて次の対応を行う
※平成28年3月30日施行令改正通達『第3 3』
法令と条例の齟齬に関する理論は別に説明しています。
(別記事『簡易宿所営業×フロントの要否|衛生管理要領×条例・齟齬問題』;リンクは末尾に表示)
とにかく食い違いについては解消する必要があります。
次に説明します。
3 施行令・要領改正×条例との齟齬問題|解消
施行令や衛生管理要領と条例の齟齬は解消すべきです。
厚生労働省は自治体に向けて、齟齬の解消を呼びかけています。
<施行令・要領改正×条例との齟齬問題|解消>
あ 齟齬|解消の方法
ア 条例の弾力的に運用するイ 条例の改正を行う
い ハリーアップ
施行日前に対応を行うことまでは求めない
可能な限り早期に対応を行うよう要請する
※平成28年3月30日施行令改正通達『第3 3』
齟齬の中で大きな問題が『フロント設置』の基準です。
これについては特に、対応が急がれる事項です。
別に説明しています。
(別記事『簡易宿所営業×フロントの要否』;リンクは末尾に表示)
4 施行令改正|留意事項|許可取得促進アナウンス
規制緩和の趣旨は『許可取得の促進』です。
その目的達成のために、自治体のアナウンスが要請されています。
これについて別に説明しています。
(別記事『施行令改正・趣旨』;リンクは末尾に表示)
5 施行令改正|留意事項|使用権原確認
簡易宿所営業の許可の審査についての留意事項もあります。
<施行令改正|留意事項|使用権原確認>
あ 背景・問題点
民泊サービスで特に懸念されること
=近隣住民等とのトラブル
→これを防止する必要がある
い 使用権原確認
許可の審査に当たって
『使用権原の確認』に努めるよう要請する
例;賃貸借契約・管理規約に反していないことの確認
※平成28年3月30日施行令改正通達『第3 6』
具体的にどのような内容を『確認』するのかは不明確です。
特にマンション管理規約では問題があります。
統一的な公的見解・解釈がほとんどないのです。
標準管理規約×民泊サービス|住居専用規定・貸与規定|大阪地裁判断
また、形式論として法律上の『許可基準』ではないと思えます。
『使用権原』を理由とした不許可処分は違法となる可能性もあるでしょう。
似ているテーマは『建築確認』の判例があります。
建築確認×土地の使用権|使用権・その資料不足を理由にした不適合は違法
6 施行令改正|留意事項|宿泊者名簿記載徹底
『宿泊者名簿』に関する留意事項も規定されています。
内容自体は従前からあるものです。
<施行令改正|留意事項|宿泊者名簿記載徹底>
あ 背景・問題点
宿泊施設は不特定多数の者が利用する
→安全確保のための体制整備は非常に重要である
→不法行為を未然に防止する要請がある
例;国内におけるテロ行為
い 背景・警察庁の要請
民泊の営業者への周知・指導徹底を要請する
※平成28年3月30日警察庁丁国テ発191号・警察庁丁備企発88号
う 周知・指導|内容
宿泊者名簿の記載の徹底など
※平成26年12月19日厚生労働省健康局生活衛生課長健衛発1219第2号
(別記事『旅館業法|宿泊者名簿』;リンクは末尾に表示)
※平成28年3月30日施行令改正通達『第3 7』
7 いまの基準はどこにあるか
この通達が出たあと、旅館業法は平成30年に改正され(平成29年法律第84号・2018年6月15日施行)、ホテル営業と旅館営業は「旅館・ホテル営業」に統合されました。衛生等管理要領も改正が重ねられており、簡易宿所営業について玄関帳場(フロント)に何が求められるかは、いまの要領を見ないと分かりません。その現在地は別の記事で説明しています。
条例による上乗せが有効かどうかも、別の記事で説明しています。
簡易宿所営業×フロントの要否|衛生管理要領×条例・食い違い問題
本記事は一般的な説明です。個別の事案にそのまま当てはまるとは限らず、一見似ている事案でも、事情が異なれば結論は異なります。個別的事情により、法的判断や主張として活かす方法、最適な対応方法は違ってきます。実際に問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。


