1 第1期のIT重説社会実験の期間と対象取引
2 第2期のIT重説社会実験の予定
3 IT重要事項説明の基本的内容
4 IT重説|社会実験|基本ルール|注意
5 IT重説|社会実験|参加事業者登録
6 IT重説における事業者の責務・機器の性能(概要)
7 IT重説|社会実験|ディスカウント禁止
8 IT重説|社会実験|不当表示禁止
9 IT重説ガイドラインのソース

1 第1期のIT重説社会実験の期間と対象取引

国土交通省は,重要事項説明をオンラインで行うことを限定的に認める制度を導入しました。
IT重要事項説明という制度です。
詳しくはこちら|IT重説による非対面の重要事項説明解禁の制度の導入経緯
本記事では,IT重説のガイドラインの全体的な内容を説明します。
IT重説の制度は期間限定での社会実験として導入されました。
当初の期間は賃貸取引と法人間の売買取引の2種類だけが対象とされていました。

<第1期のIT重説社会実験の期間と対象取引>

あ 期間

平成27年8月31日〜平成29年1月31日

い 対象取引

『ア・イ』の2種類だけが社会実験の対象である
ア 賃貸取引
イ 法人間売買取引
『個人が売主or買主である売買取引』は対象外である

2 第2期のIT重説社会実験の予定

第1期の後に,社会実験は継続されることになりました。
そして,賃貸取引については平成29年10月に社会実験から本格運用に移行する予定となっています。

<第2期のIT重説社会実験の予定>

あ 賃貸取引

社会実験を継続する
平成29年10月を目途に社会実験から本格運用に移る

い 法人間売買取引

平成29年8月を目途に社会実験を継続する
※平成29年5月改定ガイドライン『1(1)』

3 IT重要事項説明の基本的内容

IT重説の基本的な内容は,オンラインで重要事項説明を行う,というものです。

<IT重要事項説明の基本的内容>

あ 基本的事項

重要事項説明をオンラインで行う
直接対面せずに行う

い 利用可能な情報ツール

『動画と音声』を同時に,かつ双方向で送受信するシステム
例;テレビ会議・テレビ電話
機器については一定の性能・規格が定められている(後記)

う 法的位置付け

IT重説がガイドラインに基いて実施された場合
→宅建業法35条の『重要事項説明』として位置付ける
詳しくはこちら|重要事項説明義務の基本(説明の相手方・時期・内容)
※平成29年5月改定ガイドライン『2(3)』

法的位置付けは理論的に大きな問題があると思います。
これについては別に詳しく説明しています。
詳しくはこちら|IT重説ガイドライン・不合理性|法的位置付け・理論構成

4 IT重説|社会実験|基本ルール|注意

IT重説を行う上での注意点がガイドラインに示されています。

<IT重説|社会実験|基本ルール|注意>

あ 原則的解釈=IT重説は違法

ガイドラインに基づかない方法で実施した場合
→『重要事項説明』に該当しないと解釈する
=宅建業法違反となる場合がある

い 特例の対象=『非対面』のみ

ガイドラインによって可能となる作業
『非対面』→実現可能となる
『交付書面をオンラインの書面にする』→実現できない

う オンライン化できない書面

ア 重要事項説明書
イ 宅建業法37条1項,2項書面

5 IT重説|社会実験|参加事業者登録

IT重説を行う場合,事前の登録が必要です。

<IT重説|社会実験|参加事業者登録>

あ 参加登録

事業者がIT重説社会実験を行う場合
→予め国土交通省に参加登録申請を行う
登録済事業者は国土交通省のWebサイトで公表される

い 登録要件

ア ITの活用方法
消費者理解の向上に資するよう創意工夫されたものである
様々な取引場面で活用することを想定したものである
例;共同媒介や海外との取引など
イ 政府の調査への協力
登録事業者は国の調査に協力する
録画・録音された情報などを提供する
ウ ルール順守
登録事業者はガイドラインに規定する責務を果たす
内容は後記する

6 IT重説における事業者の責務・機器の性能(概要)

IT重説のガイドラインのルールの中に『事業者の責務』があります。
これは,重要事項説明の前後の具体的・詳細な方法に関するルールです。
使用する機材の性能の基準も定められています。
これについては別に説明をまとめてあります。
詳しくはこちら|IT重説|ガイドライン|事業者の責務

7 IT重説|社会実験|ディスカウント禁止

IT重説に関するルールに『ディスカウント禁止』があります。

<IT重説|社会実験|ディスカウント禁止>

あ 基本的ルール

IT重説を理由として相手方に経済的利益を提供してはならない

い 経済的利益|例

ア 金銭の提供
イ 景品の提供
ウ 手数料を減額させる

このルールは合理性が疑わしいと言えます。
『自由競争』を妨害するものです。
マーケットメカニズムを妨害することはユーザーの損失に直結します。
詳しくはこちら|マーケットメカニズムの基本|自由経済・商品流通の最適化・供給者の新陳代謝
詳しくはこちら|業法・法規制の悪影響|『クオリティ確保』の逆効果|評価システム導入ハードル
IT重説を『社会実験』という性格から例外的なルールを設定したものと思われます。
今後本格運用に移行する際には当然廃止されるはずです。

8 IT重説|社会実験|不当表示禁止

IT重説は『事前登録』の制度があります(前記)。
これが悪用されることについて配慮されています。

<IT重説|社会実験|不当表示禁止>

あ 広告アピール

IT重説登録事業者である旨を事業者の広告に示すこと
→問題ない

い 誤認のおそれ×公正競争規約

次のような誤認のおそれのある表示
→景品表示法や公正競争規約に違反するおそれがある
詳しくはこちら|景品表示法による不動産広告や表示の規制(全体)
詳しくはこちら|不動産の公正競争規約(表示規制と景品規約)(全体)

う 誤認のおそれ|具体例

登録事業者という表示方法により次の誤認発生が考えられる
ア 『国と関係ある事業者が取引の主体となっている』
イ 『国が事業者と共同している』
ウ 『国が事業者を後援している』

9 IT重説ガイドラインのソース

IT重説のガイドラインの最終改定は平成29年5月です(平成29年6月現在)。
このガイドラインの情報のソースをまとめておきます。

<IT重説ガイドラインのソース>

あ 名称

ITを活用した重要事項説明に係る社会実験のためのガイドライン

い 制定・改定時期

平成27年5月制定
平成29年5月31日改定(最終)

う 作成部署

国土交通省 土地・建設産業局 不動産業課

え 本記事での略称

平成29年5月改定ガイドライン

お 情報のソース

外部サイト|国土交通省|IT重要事項説明ガイドライン