1 『航空機』に該当する場合『耐空証明』が必要
2 『航空機』の定義|『人が乗れる』がポイント
3 飛行マシーンの定義|概要|模型航空機・無操縦者航空機・ハング/パラグライダー
4 飛行マシーンの定義|詳細|ハング/パラグライダー・超軽量動力機・ジャイロプレーン
5 『航空機』の定義まとめ|『大きさ』と『足のはみ出し』
6 『航空機』の定義・解釈|マイナー説|無人機も含む見解
7 『製造許可』の基準=最大離陸重量150kgwが参考となる
8 航空法×ドローン|『航空機』ではない・『模型航空機』である|国交省
9 『模型航空機』|MAX高度が250or150メートル
10 機体が大きい場合→『無操縦者航空機』→許可が必要
11 『無操縦者航空機』|許可の実例はまだ少ない

本記事ではドローンが『航空法』でどのような扱いがなされるのか,について説明します。
主に『航空機』や『模型航空機』などの飛行マシーンの定義を詳しくまとめます。

1 『航空機』に該当する場合『耐空証明』が必要

まず飛行物体が『航空機』に該当する場合は,飛ばすためのハードルがあります。

<『航空機』に該当する場合→耐空証明が必要>

あ 耐空証明を受ける義務

『航空機』を『航空の用に供する』場合
→『耐空証明』を受けなくてはならない
自動車の『車検』に相当する制度である

い 航空従事者の搭乗

技能証明を有する『航空従事者』が搭乗しなくてはならない
自動車の『運転免許』に相当する制度である

う 違反に対する罰則
違反行為 法定刑 航空法
耐空証明なし 懲役3年以下or罰金100万円以下 航空法11条1項,143条1号
航空従事者なし 罰金100万円以下 航空法145条10号

このように『航空機』に該当するかどうかが重要なのです。

2 『航空機』の定義|『人が乗れる』がポイント

『航空機』の定義をまとめます。

<『航空機』の定義>

あ 原則形態

『人が乗って航空の用に供することができる』飛行機・回転翼航空機・滑空機・飛行船

い 政令指定

政令で定める航空の用に供することができる機器
現行法ではこの政令指定はない
※航空法2条

これだけを見ると『人が乗っている/乗っていない』で決まるように思えます。
しかし『無人』でも『航空機』に該当するケースもあります。
『航空機』以外の飛行マシーンの種類の定義も含めて概観すると解釈が見えてきます。

3 飛行マシーンの定義|概要|模型航空機・無操縦者航空機・ハング/パラグライダー

航空法では『航空機』以外に『飛行マシーン』が数種類登場します。
これらをまとめます。

<航空法における『飛行マシーン』の種類・定義>

種類(用語) 『航空機』該当性 根拠 定義
無操縦者航空機 航空法87条 該当する 『操縦者が乗り組まないで飛行することができる装置を有する航空機』
模型航空機 施行規則209条の3第1項3号 該当しない (定義なし)
ハングライダー・パラグライダー 施行規則209条の3第1項5号 該当しない (定義なし)
超軽量動力機・ジャイロプレーン 通達;サーキュラー(後記)1−3−1,1−3−2 該当する (後記)

4 飛行マシーンの定義|詳細|ハング/パラグライダー・超軽量動力機・ジャイロプレーン

ハングラダー・パラグライダーについては航空法施行規則に登場しますが定義がありません。
超軽量動力機・ジャイロプレーンについては航空法・施行規則に規定がありません。
通達で基準が定められています。
以上の飛行マシーンの定義をまとめます。

<『航空機』該当性|『着座+車輪/担ぐ+人足着地』>

あ 『航空機』に該当しないマシーン

ハングライダー・パラグライダー
※航空法施行規則209条の3第1項5号,209条の4第1項5号
→いずれも『航空機(4号)』と並列になっている

い 『航空機』に該当するマシーン

ア 超軽量動力機
操縦者が着座姿勢で飛行を行いうる着陸(水)装置及び動力装置を装備した簡易構造の飛行機
例示;『通称,ウルトラライト機,マイクロライト機及びパラシュートプレーン等といわれるもの』
※通達;サーキュラー(後記)1−3−1
イ ジャイロプレーン
次のいずれにも該当する回転翼航空機
・飛行中は主として空気力の作用によって回転する1個以上の回転翼により揚力を得る
・推進力はプロペラによって得る
※通達;サーキュラー(後記)1−3−2

う 『い』の航空機→試験飛行の許可の要件|抜粋

車輪,そり,フロート等の着陸装置or着水装置を装備したものである
※航空法11条1項但書
※通達;サーキュラー(後記)1−4−1,1−4−2

え 根拠となる通達

国空機第1745号;サーキュラー
平成27年3月20日;国土交通省航空局安全部航空機安全課長

外部サイト|国空機第1745号;サーキュラー;平成27年3月20日

以上の分類からは『航空機』の解釈として『人の足で離陸・着陸するマシーン』は除外されることが分かります。

5 『航空機』の定義まとめ|『大きさ』と『足のはみ出し』

以上で説明した『航空機』の定義・解釈をまとめます。

<『航空機』の定義|解釈まとめ>

あ 『大きさ』

人が搭乗『できる』大きさである

い 人間のリアル搭乗は無関係

実際に飛行させる時に『人が搭乗しない』場合でも変わりはない

う 『足』のはみ出し→『航空機』ではない

離陸・着地が『人の足』の場合は該当しない
《典型例》
ア FantasyZone(SEGA)の自機=オパオパ
イ ドラえもん(藤子不二雄氏)のタケコプター

6 『航空機』の定義・解釈|マイナー説|無人機も含む見解

以上の『航空機』の定義の解釈は一般的な通説です。
これとは違う見解もあります。

<『航空機』の定義・解釈|マイナー説>

あ マイナー説

『航空機』は『政令で指定する機器』も含まれる(前記)
政令で『人が搭乗できない機器』を指定した場合
→これも『航空機』に該当する

い 通説

『人が搭乗できない機器』は政令で指定できない

実際には『航空機として政令で指定した規定』は現在ありません。
そこでこの『見解の対立』は具体的な問題・結果の違いを生じていません。

7 『製造許可』の基準=最大離陸重量150kgwが参考となる

『航空機製造事業法』という法律では『航空機の製造業』に許可を必要としています。
同じ『航空機』という用語ですが,別の法律ですから『定義・解釈』が同じとは限りません。
あくまでも解釈の参考に過ぎませんが,紹介しておきます。

<『航空機製造事業法』の『航空機』|定義>

あ 『航空機』

次のいずれかに該当するものを『航空機』とする

構造 総重量(最大離陸重量)
人が搭乗できる構造 すべて
人が搭乗できない構造 150kgw以上
い 規制内容

『航空機』の製造には経済産業大臣の許可が必要

う 許可なしで製造できる範囲

『人が登場できない構造』+『最大離陸重量150kgw未満』

え 規制緩和

平成26年3月の施行令が改正された
最大離陸重量が変更=緩和された
100kgw→150kgw
※航空機製造事業法2条1項,2条の2,施行令1条

これを流用して『航空法でも質量150kg未満ならば航空機に当たらない』とは断言できません(前述)。

8 航空法×ドローン|『航空機』ではない・『模型航空機』である|国交省

無人ドローンが航空法上,どのような扱いとなるのか,正式な見解はありません。
現時点の現実の運用をまとめます。

<国土交通省の見解|通常→『模型航空機』>

あ 航空法上の扱い

一般の無人ドローンは『模型航空機』として扱う

い 前提事情

ア 最長部分で1メートル程度に収まる
イ 搭載量(総重量)が極端に重い,ということはない

う 該当しない(規模が大きい)場合

『無操縦者航空機』(後述)に該当する方向性
※国土交通省航空局安全部運航安全課からのヒアリング

当然,具体的なドローンの形状・規模によって扱いは異なります。
例えば『人が乗れる程度の大きさ』であれば『(無操縦者)航空機』に該当することもあります。
また『模型航空機』については従来『目で見える範囲で遠隔操作する』という当然の前提がありました。
現在のドローンは自律制御機能が発達し『目視なしでの飛行』も可能です。
そこで解釈論として『模型航空機』に該当するという見解には疑問も生じています。
『航空法制定時の想定』を超えていると言えましょう。

9 『模型航空機』|MAX高度が250or150メートル

ドローンは,航空法では『模型航空機』に該当する見解が一般的です(前述)。
これを前提にすると航空法上『飛行高度の上限』が適用されます。
大雑把に言えば,飛行高度の上限が250または150メートル,というルールです。
これについては別記事で詳しく説明しています。
詳しくはこちら|無人ドローン×法規制・許認可と法律問題|現行法解釈|まとめ

10 機体が大きい場合→『無操縦者航空機』→許可が必要

マシーン(機体)の大きさによっては『模型航空機』ではなく『無操縦者航空機』に該当します(前述)。
この場合の規制内容をまとめます。

<『無操縦者航空機』の規制>

あ 対象となる飛行物体

『人が乗れる大きさ』である場合
※航空法2条1項

い 規制

飛行のためには国土交通大臣の『許可』が必要
※航空法87条

う 違反に対する罰則|法定刑

罰金100万円以下
※航空法65条,66条,87条,145条10号

11 『無操縦者航空機』|許可の実例はまだ少ない

具体例・実績を紹介します。

<『無操縦者航空機』許可の例・実績>

あ プロジェクト概要

通常の『航空機』を改造し『機械運転(無人)』で飛行させる試験的開発プロジェクト
例;ソーラープレーン

い 許可の実態・実績

飛行経路・機体の性能(安全性)を国土交通省が審査する
事情により,申請内容の一部の変更・改良を国土交通省から申請者に要請する
過去に数例許可した実績がある
※国土交通省航空局安全部運航安全課からのヒアリング

外部サイト|無操縦者飛行の許可|国土交通省

<参考情報>

『週刊ダイヤモンド2015年2月14日』p94〜