【不動産売買・賃貸の仲介手数料(報酬額)の上限の例外】
1 仲介手数料の法律上の上限と例外(概論)
不動産売買・賃貸の仲介(媒介・代理)の手数料には法律上の上限があります。
詳しくはこちら|不動産売買・賃貸の仲介手数料(報酬額)の上限(基本)
この上限金額には、例外的に加算が認められる費用もあります。
本記事では、このような上限規定の例外について説明します。
2 仲介手数料に追加可能な費用(全体)
仲介手数料の上限には例外もあります(前記)。まずは、例外として追加できる費用の種類全体をまとめます。
仲介手数料に追加可能な費用(全体)
3 『広告の料金』の細かい解釈
『広告の料金』は例外的に仲介手数料に加算できることもあります(前記)。この規定については、さらに細かい解釈があります。これをまとめます。
『広告の料金』の細かい解釈(※1)
あ 判断基準の基本
『い・う』の両方に該当した場合
→『広告料金の加算』が認められる
いずれかでも該当しないと加算は認められない
い 広告の『種類』
ア 基本的事項特別の広告の料金を意味する
イ 『特別の広告』の内容報酬の範囲内で賄うことが相当でない多額の費用を要する
例;大手新聞への広告掲載料など
う 顧客の納得の程度
次の『ア・イ』のいずれかに該当する
ア 事前承諾=原則次の2つについて事前に顧客が承諾した
・特に顧客から広告を行うことの依頼があった
・費用を顧客が負担すること
イ 事後承諾=例外事後的に顧客が次の両方について『全く』異議なく承諾した
・広告を行ったこと
・費用を顧客が負担すること
※東京高裁昭和57年9月28日
4 特別の依頼業務の要件と具体例
仲介手数料に加算できるものとして『特別の依頼業務』もあります(前記)。この解釈についても細かいものがあります。
特別の依頼業務の要件と具体例(※2)
あ 特別の依頼業務の判断基準
次のいずれも満たす場合
→特別の依頼業務の実費として加算できる
ア 特別な依頼があった依頼者の特別な依頼があった
イ 通常業務に含まれない通常の仲介業務では発生しない
ウ 『実費』である支出を要する特別の費用である
エ 依頼者の承諾がある費用を依頼者が負担することについて依頼者の承諾があった
い 特別の依頼業務の実費の具体例
依頼者の特別の依頼により行う
遠隔地における現地調査に要する交通費
※宅建業法46条(以下省略する)
※建設省告示1552号『第7』
※国土交通省『宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方』第46条第1項関係1(6)2
5 特別の依頼業務の適用除外の注意点
前記の『特別の依頼業務』の解釈は、明文として法律・告示に記載されていないという特殊性があります。解釈に一定の不確実なところがあるのです。
特別の依頼業務の適用除外の注意点
あ 適用除外の法的根拠
建設省告示には記載されていない
国交省の見解として示されている
※国土交通省『宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方』第46条第1項関係1(6)2
い 判断リスク
国交省による法解釈は裁判所を拘束しない
→裁判所が『適用除外』を認めない可能性もある
詳しくはこちら|通達の意味・種類・法的性質(国民・企業・裁判所への法的拘束力)
う 広告料との比較
『広告料金』の適用除外については
告示に規定(明記)がある
※建設省告示1552号『第7 1』
さらに裁判例により基準が示されている(前記※1)
6 加算が認められない費用・名目
国交省の解釈としても、加算が認められないものが示されています。
加算が認められない費用・名目
あ 『案内料』
現地案内料など
い 『申込料』
う 一般的な広告費用
依頼者の依頼によらずに行う広告の料金
裁判例でも細かい基準が示されている(前記※1)
※国土交通省『宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方』第46条第1項関係1(6)1
え 優先的に成約させるための料金
不正なセールスをする対価としての費用が横行している
詳しくはこちら|広告費の悪用による暗黙の販売促進費用=タンボー・AD
例えば『広告料』を『当然のように上乗せする』ケースは実務でまだ存在するようです。しかし、このような行為は違法となります。
本記事は一般的な説明です。個別の事案にそのまま当てはまるとは限らず、一見似ている事案でも、事情が異なれば結論は異なります。個別的事情により、法的判断や主張として活かす方法、最適な対応方法は違ってきます。本記事でご説明したものと同様の問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。


