1 キュレーションアプリ・バイラルメディア・まとめサイトの普及→適法性問題
2 『外部サイト情報表示』の適法性のまとめ
3 『外部サイト情報表示』×著作権|フレームリンク・キュレーションアプリ
4 『外部サイト情報表示』×不法行為責任|民法709条
5 『外部サイト情報表示』×氏名権侵害
6 『外部サイト情報表示』×不正競争防止法違反
7 『外部サイト情報表示』×商標法違反
8 『外部サイト情報表示』×児童ポルノ法違反
9 キュレーションアプリ・バイラルメディアの普及×法規制(まとめ)

1 キュレーションアプリ・バイラルメディア・まとめサイトの普及→適法性問題

ITの普及により,『情報流通』が非常に普及しています。
さらに近年,新たなサービスの発展・展開が続いています。
ニュースや商品・サービスといった『ネット上の情報』を『集約』する,という機能をサイトやアプリがこなす,というものです。
Googleの検索サービスの1人勝ちという状態が遂に終わるという予測もされているくらい,大きな『流れの変化』です。
テクノロジーの進化による社会全体のメリット向上なのですが,当然『法律との抵触・ブレーキ』が登場します。
『外部サイトの情報表示』,いわゆる『リンク』についての適法性の問題です。

2 『外部サイト情報表示』の適法性のまとめ

(1)著作権との抵触のまとめ

最初に『外部サイトの情報表示』と著作権との抵触についてまとめます。

<『外部サイトの情報表示』(リンク)と著作権|まとめ>

事項 適法性
リンクの表示(一般) ◯(※1)
リンクの表示(リンク禁止) ◯(※2)
リンクの表示(ディープリンク) ◯(※3)
テキスト・画像の表示
フレームリンク △(※4)

なお,著作権以外の法律との抵触も問題になります。
これも含めて後に説明します。

(2)リンク表示(上記※1)

『リンク』とはインターネット情報の表示ルール(http)におけるURLの表示です。
URLは,いわば『インターネット上の住所』です。
サイト管理者が『創作した』わけではありません。
『著作物』ではないのです。

(3)『リンク禁止』サイトのリンク表示(上記※2)

もともと,リンク先のサイトは『誰でも閲覧できる』という状態です。
『公表』が前提となっているのです。
このことから,『リンク先として表示』しただけで『違法』となる可能性は低いです。
『リンク禁止』は『要請・希望』というレベルにとどまります。
もちろん,可能であれば『承諾を取る』ことはベターです。

(4)ディープリンク(上記※3)

『サイトのトップ』以外のページ(サブベージ)へのリンク,という意味です。

<ディープリンクの問題の所在>

『トップページを介することが前提とされている』という場合,この意図が損なわれる
《例》
ア トップページに『サイト全体を通しての注意事項』が記載されている
イ トップページに広告(アフィリエイト,リスティング)が掲載されている

このような『サイトを創作した者の意図を害する』→著作者人格権侵害,という考え方もあります。
しかし,『元からサブページも直接閲覧できる』という状態であれば,『違法』と判断される可能性は低いです。

(5)フレームリンク(上記※4)

表示部分の一部=『フレーム』に,外部サイトの情報を表示させる方式です。
アプリ上に第三者のサイト情報を表示させる,という場合も同様に考えられます。
次に説明します。

3 『外部サイト情報表示』×著作権|フレームリンク・キュレーションアプリ

(1)『リンク』による外部サイト情報表示は『複製』ではない

『フレームリンク』とは,表示の一部=『フレーム』に,外部サイトの情報を表示させる方式です。
『フレーム』という区切りがなく,通常の表示エリア内に表示させる『インラインリンク』という概念もあります。
さらに『アプリ上』に第三者のサイト情報を表示させる,というケースもあります。
以下,『フレームリンク』として説明しますが,いずれも同様に考えられます。

<『外部サイト情報表示』・フレームリンク×著作権>

あ 原則

『元のデータ』とは『別個のデータ』を作る,というアクションがない
→著作権法上の『公衆送信』『複製』には該当しない

い 例外

ア 『リンク元のサイトのコンテンツであるという誤解を招く状態』の場合
↓の可能性がある
・著作者人格権侵害(著作権法113条6項)
・同一性保持権侵害・氏名表示権侵害
イ 『フレームリンクの禁止』が明示されている場合
公衆送信権侵害の可能性がある
※宮下佳之『サイバースペースにおける著作権問題について』コピライト97年10月p10

なお,仮に『複製』等に該当する扱いとなった場合でも,『引用』に該当すると適法となります。
『引用』は,判例上要件が定められています。
重要なものは『出典・出所』の表示,です。
『リンク元とリンク先の誤認混同を防ぐ』という意味でも,非常に重要です。
詳しくはこちら|『引用』の要件|『利用制限の例外』

(2)『見た目は複製と同じ』なのに『複製ではない』理由

サイトを閲覧するユーザーにとっては,『フレームリンク』でも『テキストや画像の複製(=コピペ)』でも見た目は同じです。
しかし,法的な解釈としては,『フレームリンク』と『コピペ』は別の扱いです。
疑問が多いところですので,『実質的な違い』をまとめておきます。

<『フレームリンク』と『コンテンツの複製(コピペ)』の違い>

表現手法 『元コンテンツ』創作者のコントロール 『複製』該当性
フレームリンク 可能→削除・変更が可能 『複製』ではない
コンテンツの『コピペ』 不可能→削除・変更をしても『複製したテキスト・画像』は変わらない 『複製』である

この根本的・質的な違いが,法的な扱いに違いが出る実質的理由なのです。

(3)URL貼り付けと同様のSNS機能|公式リツイート・『シェア』

SNSによっては,URL貼り付けと同様の標準機能が存在します。
要するに『元データ自体の複製(複数化)ではない』『間接的に元データを表示させる』というものです。

<『複製』に似ているが『複製』ではない例|まとめ>

あ URLの投稿(貼り付け)
い twitterの『公式リツイート』
う Facebookの『シェア』

法的な扱いも同様と考えられます。
さらに,SNSの利用規約でこのような使い方を認める条項が存在するのが通常です。
詳しくはこちら|投稿サイト・SNSの利用規約|広い『ライセンス』付与|非公開グループ情報の漏洩

(4)ニュースの転載・利用→『評価』を含まない純粋データは著作物ではない

外部サイトの『ニュース』を集約・表示するアプリが普及しています。
『ニュース』に関しては,著作権法上の特別な規定があります。

<報道の『情報』は『著作物』から除外される>

あ 報道に関する『著作物』からの除外

『事実の伝達』にすぎない『雑報・時事の報道』は『著作物』に該当しない
※著作権法10条2項

い 具体例
天気予報・事件・事故のニュース(客観的情報のみ) 著作物ではない
『評価』が混じる報道・記事 著作物である

著作物に該当した場合でも『例外』として使用が許されることもあります(前述)。

4 『外部サイト情報表示』×不法行為責任|民法709条

一般的な『不法行為』に関するルールに,『外部サイト情報表示』が該当することもあります。

<『外部サイト情報表示』×不法行為責任>

あ 不法行為とは

『違法性』のある権利侵害行為

い 効果

ア 損害賠償請求
イ 差止請求

う 『違法性』が認められる主要要件(ポイント)

不正に自らの利益を図る目的orリンク先に損害を加える目的
※知財高裁平成17年10月6日

<『外部サイト情報表示』が不法行為と認められた判例>

あ 事例

新聞社に無断でニュース記事のリンク見出しを作成した
約2万サイト管理者に『リンク見出し』を配信した→各サイトに表示された

い 裁判所の判断結果

損害賠償請求・差止請求を認めた

う 裁判所の判断・評価のポイント

ア 事業性(営利目的)
営利目的+反復継続
イ 表示・配信の時期
情報の鮮度が高い時期であった
ウ フリーライド
他社ニュース報道を実質的にコピーして見出しを作成した
他社の労力に依存し,自らは特段の労力を要していない
エ 影響の大きさ|サイト数・競合発生
自社サイトでの表示だけではなく,『設置登録ユーザー』に配信した
配信先は約2万サイトであり,非常に多い
→新聞社の見出しに関するプロダクトと競合が生じる
オ まとめ
社会的に許容される限度を超える

違法性あり
※知財高裁平成17年10月6日

5 『外部サイト情報表示』×氏名権侵害

状況によっては,『氏名権侵害』となることもあります。
『なりすまし』が典型的なものですが,『意図に反して誤認された』場合も含みます。

<『外部サイト情報表示』(リンク)×氏名権侵害>

あ 対象

リンク先とリンク元の関係が誤認された
→リンク先サイト管理者の名誉や信用が毀損された

い 効果

ア 損害賠償請求
イ 差止請求

<『氏名権』を認めた判例>

あ 『氏名権』の定義

『氏名を他人に冒用(正確に呼称)されない権利』

い 効果

損害賠償請求・差止請求
※最高裁昭和63年2月16日
※最高裁平成18年1月20日;天理教事件

6 『外部サイト情報表示』×不正競争防止法違反

<『外部サイト情報表示』×不正競争防止法>

あ 原則

『外部サイトの表示』は,『他人の商品等表示の使用』には該当しない

い 例外

ア 『リンク元』と『リンク先』の誤認(混同)が生じる状態
→『他人の評品等表示の使用』に該当する→不正競争防止法違反
イ リンク先の『営業上の信用を害する虚偽の事実を表示』
→不正競争行為に該当する
※大阪地裁平成19年7月26日

7 『外部サイト情報表示』×商標法違反

<『外部サイト情報表示』×商標法違反>

あ 原則

『他人の商標を出所表示として使用した』には該当しない

い 例外

『リンク元』と『リンク先』の誤認(混同)が生じる状態
→『商標の使用』に該当→商標法違反

参考コンテンツ|商標権|登録すればトレードマークが保護される

8 『外部サイト情報表示』×児童ポルノ法違反

児童ポルノが表示(記録)されているURLをウェブサイトに掲載した場合,『児童ポルノ公然わいせつ罪』にあたります。
この解釈論の妥当性についてはいろいろな見解がありますが,最高裁の判例では『犯罪成立』とされているのです。

<URL判決|最高裁平成24年7月9日>

あ 事案

『児童ポルノ』のURLをウェブサイトに掲載した
URLは多少改変してあったが,修復・再現できるものであった

い 判断

URLの提供・公表→児童ポルノを『多数の者に提供した』に該当する
→児童ポルノ公然陳列罪が成立する

う 理由の概要

閲覧者が『クリック』をする必要はあるが,『クリックさえすれば』閲覧できる状態
これを別の『わいせつ物陳列罪』の最高裁判例の基準に当てはめた

<URL判決の判断の元となった判例|わいせつ物公然陳列罪>

あ 対象となった犯罪

わいせつ物公然陳列罪(刑法175条)

い 『公然陳列』の解釈

『不特定or多数の者が認識できる』状態をいう
『閲覧者が一定の行為をしなくても直ちに認識できる』ことまでは不要
※最高裁平成13年7月16日

URLだけの表示では,著作権法の『複製』には当たらない,ということと対照的です(前記『3』)。
保護する利益(保護法益)が,『創作』か『社会の良俗』か,という違いが現れているのです。

9 キュレーションアプリ・バイラルメディアの普及×法規制(まとめ)

『外部サイト情報表示』の適法性について説明しましたが,最後に重要なことを指摘しておきます。

<『外部サイト情報表示』の適法性の理解の根本>

現時点では,統一的な見解・解釈はない
※著作権法の権利制限規定をめぐる諸問題権利制限委員会 著作権研究所研究叢書No12p42

いわゆる『グレーゾーンはベンチャー(スタートアップ)の聖域』という格言に当てはまります。
大手が参入バリアがある,という意味です。
ベンチャー企業がこの分野を切り開き,社会に有用なサービスの普及を実現して欲しいと思います。
また,行政・立法サイドには,サービス発展を阻害せず,促進するような,スピーディーな法整備がされることが望まれます。