1 レストランの料理の撮影→公表は,原則として適法である
2 店舗運営方針として『撮影禁止』とする要請もある
3 店舗運営者は,店舗内の撮影を禁止できる
4 施設・店舗によっては規約上『撮影禁止』が示されている
5 『撮影禁止』と明示されていなければ撮影OKだが,例外もある
6 レストランでの料理の持ち帰りは自由ではない

1 レストランの料理の撮影→公表は,原則として適法である

<事例設定>

レストランの顧客が,店に無断で,提供された料理を撮影た
この画像をブログに掲載した

一般的には,料理の写真(画像)を公表することは,特に何らかの権利を侵害することにはなりません。
通常の料理は著作物にも該当しないと考えられています。
例外的に,違法となるのは次のようなケースです。

<撮影が違法となる可能性のあるケースの例>

・撮影が禁止されているもの,場所
・芸術的なもの(→著作物に該当)
・見た目自体を,秘密にしている場合
・店員,お客様の顔など,人物が特定できる場合

2 店舗運営方針として『撮影禁止』とする要請もある

店舗の運営者として,店舗内のルール設定をする自由があります。
営業の自由,経済活動の自由の一環です。
具体的な権利としての説明は後述します(後記『3』)。
現実的に,マーケティング方法の一環として,そのような運営方針を取ることも尊重されるべきでしょう。

<運営方針による撮影禁止の一例>

・商品(料理)の秘密感行ってみた人しか分からないという感覚(→高級感)を醸成する
・伝播は口コミだけとする
特異感話題性を醸成する
・現物の撮影は許可したメディアだけにする

3 店舗運営者は,店舗内の撮影を禁止できる

店舗の運営者が『店舗内での撮影を禁止する』ということについては,法的に次の2とおりで考えられます。

(1)施設管理権

飲食店その他の店舗等の管理者には,『施設管理権』があります。

判例においても認められています(判例1)。

なお,この判例は,集会に用いる公共の施設における判断です。
公共性を理由に,国民・住民の自由な利用が原則であるとしつつ,管理者による管理権を示しています。

集会,などとは関係ない民間の施設においては,特に制限のない施設管理権が認められます。
施設管理権の一環として,『施設内での撮影を禁止する』ことは可能です。
一例として,『内装,人物はNG,料理のみ撮影OK』ということも可能です。
これに反して無断で撮影した場合,施設管理権を侵害したことになります。

なお,人物の撮影,については,肖像権として保護されます。
別項目;肖像権・プライバシー権侵害;基準

(2)契約内容

例えばレストランで提供された料理(食品)は『どのように扱っても良いのではないか』という発想があります。
料理を撮影することや持ち帰ることは客の自由,という発想です。
この発想は法的には正しくありません。

レストランで食事をする,ということは,堅苦しく言うと,『契約』です。
内容をまとめます。

<レストランと顧客の契約内容>

店が顧客に対し,料理を提供し,その料理を食事する場所を提供する

詳しく言えば,顧客は提供された料理を自由に扱って良い,というわけではありません。
店舗内の撮影禁止,というのは,この『契約』の内容の1つ,と考えることもできます。

いずれにしても,店舗運営者において,『撮影禁止』とすることは可能です。

4 施設・店舗によっては規約上『撮影禁止』が示されている

施設管理者が『撮影禁止』を設定する方法については特に決まりはありません。

<施設管理者による『撮影禁止』の設定の例>

あ 施設内での表示

壁への掲示・メニューへの記載など
例;飲食店・病院・神社仏閣・宗教施設

い 規約

一定の規模の施設では利用に関して設定したルールを『規約』として明確化しています。
ア ライブ・コンサート会場
外部サイト|ライブ・エンタテインメント約款9条
イ Jリーグ会場
別項目|サッカーの試合の撮影は『Jリーグ規約』で禁止されている

5 『撮影禁止』と明示されていなければ撮影OKだが,例外もある

一般的には,飲食店で提供される料理を撮影し,公表することは,店舗にとって宣伝になります。
人物を撮影する,などがなければ,実質的に,店舗側にマイナス・損害となることはないでしょう。
そこで,撮影が施設管理権を侵害することにはならないと思われます。
ただし,次のような場合は,例外的に撮影が禁止されていると考えられます。

<『撮影禁止』の明記がなくても撮影禁止の趣旨とされる場合の例>

あ 盛付方法が非常に特殊・独創的である

顧客の驚き,新鮮な感覚,を,来客の特典として位置付けている場合です。

い 接客方法が非常に特殊・独創的である

顧客の驚き,隠れ家的なテイストを特典として位置付けている場合です。

う 超高級レストラン

雰囲気が高級であり,撮影すること自体で違和感を生じるような場合です。

6 レストランでの料理の持ち帰りは自由ではない

<発想>

レストランで食事をした
残した料理を容器に入れて持ち帰りたい

レストランと顧客の契約の中に『提供した料理を持ち帰ること』は含まれていないと解釈するのが一般的です。
店側が料理の店外持ち出しを禁止することは可能ということになります。
もちろん,店側が承諾すれば持ち帰りはOKです。
また,雰囲気として承諾している,という状態であれば,黙示の承諾があることになりましょう。

判例・参考情報

(判例1)
[最高裁判所第3小法廷平成元年(オ)第762号損害賠償請求事件平成7年3月7日]
集会の用に供される公共施設の管理者は、当該公共施設の種類に応じ、また、その規模、構造、設備等を勘案し、公共施設としての使命を十分達成せしめるよう適正にその管理権を行使すべきであって、(略)