1 建築の専門家による建物の瑕疵の鑑定の有用性・必要性
2 住宅の瑕疵の鑑定が必要な状況の典型例
3 瑕疵の判断における建築専門家の意見の有用性
4 建築専門家による建物の調査の種類
5 建物の瑕疵の紛争解決における建築専門家の必要性
6 建物の鑑定・調査の費用の相場と負担(概要)

1 建築の専門家による建物の瑕疵の鑑定の有用性・必要性

建物の瑕疵によるトラブルはとても多いです。
その解決のためには通常,建物の瑕疵自体を,建物の専門家が鑑定(検査・調査)することが必要になります。
本記事では,建物の瑕疵の鑑定(調査)の有用性や必要性について説明します。

2 住宅の瑕疵の鑑定が必要な状況の典型例

まず,住宅の瑕疵について,鑑定が必要となる典型的な状況を紹介します。

<住宅の瑕疵の鑑定が必要な状況の典型例>

建設会社に住宅の建築を頼んだ
完成した後住んでいる
しかし,壁や床に凹みなどの欠陥があると思う
ただ,一見して分かるほどひどい状態でもない
欠陥と言えるのかどうかをきちんと調べたい

まさに,瑕疵(結果)にあたるかどうかという判断が必要となるのです。

3 瑕疵の判断における建築専門家の意見の有用性

瑕疵があるかどうかの判断においては,建築の専門家の意見が大きく影響します。

<瑕疵の判断における建築専門家の意見の有用性>

あ 瑕疵の意味(概要)

瑕疵とは,目的物が通常有すべき品質・性能を有しないこと
いわゆる欠陥とよばれるものである
詳しくはこちら|『瑕疵』の基本(解釈・判断基準・種類)

い 瑕疵の判断が難しい典型例

わずかな床の傾き・柱の接続の状況など
→程度によって瑕疵といえるかどうかが違ってくる

う 建築専門家の判断の有用性

通常の施行レベルに達しているかどうかによって瑕疵の判断をする
→建築に関する情報に詳しい専門家の意見(判断)が大きく影響する
知識・経験が豊富で信頼できる一級建築士や建築業に従事している方が適切である

4 建築専門家による建物の調査の種類

建築の専門家が行う建物の調査する実務での方法にはいくつかのものがあります。

<建築専門家による建物の調査の種類>

あ 私的鑑定

建築の専門家に,直接,検査・調査を依頼するもの
私的鑑定とよぶ

い 鑑定

訴訟において,裁判所に中立な専門家を選任してもらう方法
鑑定とよぶ
選任された専門家を鑑定人とよぶ
※民事訴訟法212条~

う 専門委員・調停委員

裁判所の手続において,鑑定(い)以外の方法で建築専門家が関与する場合もある
例=民事訴訟や調停における専門委員・調停委員

5 建物の瑕疵の紛争解決における建築専門家の必要性

前記のように,建物の瑕疵の判断には建築の専門家の意見が非常に影響します。
そこで,建物の瑕疵の紛争解決の実務では,建物の専門家の協力が必要といえます。
しかも,1回だけ鑑定(調査)を行ってもらうだけでは済まず,その後も継続的に協力(意見)をもらうことが必用になることが多いです。

<建物の瑕疵の紛争解決における建築専門家の必要性>

あ 私的鑑定書の必要性

建物の瑕疵に関する紛争の解決手続において
ほぼすべての案件において私的鑑定書が必要となる

い 継続的な建築専門家の意見の必要性

相手の主張・立証(鑑定)の内容の真偽を判断・反論するために
継続的に建築の専門家の意見を求めることが必要になることが多い
※第二東京弁護士会消費者問題対策委員会ほか編『改訂 欠陥住宅紛争解決のための建築知識』ぎょうせい2011年p296

6 建物の鑑定・調査の費用の相場と負担(概要)

建物の瑕疵の鑑定では,建築の専門家がしっかりと現地を確認して専門的な知識を元に判断することになります。
比較的小規模な個人の住宅でも20〜40万円程度となります。
このような鑑定費用について,建物の取得者(買主・施主)と,その相手(売主・施工業者)のどちらが負担(分担)するか,という問題もあります。
建物の鑑定の費用の相場や負担する者については,別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|建物の瑕疵の鑑定(建築士の検査・調査)費用の相場と誰が負担するか

本記事では,建築の専門家による建物の瑕疵の鑑定の有用性や必要性について説明しました。
実際には,個別的な状況によって適切な種類・内容の鑑定(調査)を選択する必要があります。
実際に建築に関するトラブルに直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。