1 民法上の組合の成立要件の全体像
2 民法上の組合契約の条文規定
3 民法上の組合契約の成立要件の整理(概要)
4 組合契約の当事者
5 組合契約における出資
6 組合契約の出資の具体例
7 組合契約の合意
8 法令による組合関係の当然の成立

1 民法上の組合の成立要件の全体像

民法上の組合が成立すると,その事業に用いる財産(組合財産)は,通常の共有とは大きく違う扱いとなります。
詳しくはこちら|民法上の組合の財産の扱い(所有形態・管理・意思決定・共有の規定との優劣)
そのため,組合が成立するかしないかについて見解の対立が生じることがよくあります。
本記事では,組合の成立要件の全体的なことを説明します。

2 民法上の組合契約の条文規定

組合契約の成立について規定する条文を最初に押さえておきます。条文ではとてもシンプルに規定されています。

<民法上の組合契約の条文規定>

組合契約は、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって、その効力を生ずる。
2 出資は、労務をその目的とすることができる。
※民法667条

3 民法上の組合契約の成立要件の整理(概要)

組合の成立についての条文(前記)はとてもあっさりとしています。実際に該当するかどうかが不明確になる(見解が対立する)項目は大きく4つに分けられます。当事者・出資・共同事業・合意です。

<民法上の組合契約の成立要件の整理(概要)>

あ 当事者

2人以上の当事者が必要である(後記※1)

い 出資

当事者が出資することが必要である(後記※2)

う 共同事業

事業を共同の目的とすることが必要である
詳しくはこちら|民法上の組合の共同事業の基本(目的となりうる事業・事業の共同性)

え 合意

当事者全員が合意(契約)することが必要である(後記※3)

4 組合契約の当事者

組合の成立要件のうち,当事者とは,要するに,2名以上が契約する必要があるということです。
当事者としては,自然人は当然として,法人も含まれます。さらに民法上の組合も含まれる方向性です。

<組合契約の当事者(※1)>

あ 当事者の人数

2人以上の当事者が必要である
※鈴木禄弥編『新版 注釈民法(17)債権(8)』有斐閣1993年p43

い 法人(可能)

ア 可否
法人が組合契約の当事者(組合員)となることはできる
イ 具体例
数銀行間の共同融資団(シンジケートローン)
複数の建設業者間の建設工事共同事業(JV)

う 民法上の組合(可能方向)

民法上の組合(が別の組合の当事者となること)も肯定されると思われる
※鈴木禄弥編『新版 注釈民法(17)債権(8)』有斐閣1993年p43

5 組合契約における出資

組合契約の成立要件の1つに,組合員による出資があります。当事者(組合員)の全員が何らかの出資をすることが必要です。

<組合契約における出資(※2)>

あ 出資の意味

出資とは,組合目的のために当事者によって拠出される経済的手段の総称である
※鈴木禄弥編『新版 注釈民法(17)債権(8)』有斐閣1993年p43

い 各当事者の出資

出資をすることはすべての当事者の義務である
出資をしない者は組合員とならない
出資をしない者を構成員とする団体は民法上の組合ではない
※鈴木禄弥編『新版 注釈民法(17)債権(8)』有斐閣1993年p45

う 出資の時期

出資は当初から明示されたものでなくてもよい
経費分担の特約を出資と評価することもある
※大判大正14年5月23日

6 組合契約の出資の具体例

組合契約における出資の具体的な内容にはいろいろなものがあります。一般的な財産(権利)は広く含まれます。さらに,権利には該当しない利益も一定の範囲で含まれます。労務・信用・不作為(義務)も含まれる方向性です。

<組合契約の出資の具体例>

あ 金銭

金銭

い 動産・不動産

所有権・使用権(使用借権・地上権など)がある

う 物権・債権・無体財産権

物権の例=地上権
債権の例=有価証券
無体財産権の例=特許権

え 権利未満の利益

権利概念に包摂されないものについて
→経済的価値のある限り出資の客体となる
例=『のれん』,『ノウハウ』,特殊技術
※鈴木禄弥編『新版 注釈民法(17)債権(8)』有斐閣1993年p44
※京都地裁昭和33年9月29日(新聞の共同販売人たりうる地位(『構成権』)

お 労務

民法667条2項は『労務』が出資の目的となることを規定する
これは注意的な規定である
※鈴木禄弥編『新版 注釈民法(17)債権(8)』有斐閣1993年p44

か 信用

ア 信用出資の意味
その者の当該事業社会における信用を組合事業のために利用させることを内容とする出資である
イ 信用出資の例
組合債務について人的or物的な担保を提供すること
組合員として名を連ねる(だけ)こと

き 不作為

競業避止義務(を負うこと)を出資と評価できることもある
近隣の土地所有者が建築をしない(義務を負う)ことを出資と評価できることもある
※鈴木禄弥編『新版 注釈民法(17)債権(8)』有斐閣1993年p43〜45

7 組合契約の合意

複数の当事者が契約(合意)をすることで組合契約が成立します。様式は定められておらず,また,出資が必要(要物)ということもありません。

<組合契約の合意(※3)>

あ 様式不要

別段の様式を必要としない
明示,黙示の両方がある

い 諾成契約

諾成契約である
出資の実行が要件となるわけではない

う 合意の内容

一定の目的とそれを当事者全員の共同の事業として営むという2点についての合意が成立しなくてはならない
※鈴木禄弥編『新版 注釈民法(17)債権(8)』有斐閣1993年p50,51

8 法令による組合関係の当然の成立

以上は,組合の成立要件の説明でした。これとは別に,法律の規定により,組合が成立したとみなされるものもあります。
鉱業権の準共有の関係が生じると,鉱業法の明文規定で,当然に(合意がなくても)民法上の組合が成立したものとみなされるのです。

<法令による組合関係の当然の成立>

あ 組合関係の当然の成立

鉱業権の準共有者間では人的信頼関係で結びつく
→共同鉱業権者は組合契約をしたものとみなす
※鉱業法43条5項
※最高裁昭和37年6月22日

い 共同鉱業権者の意味(参考)

鉱業権の設定は登録を効力要件とする
※鉱業法60条
共同鉱業権者とは,登録された複数の鉱業権者である(鉱業権の準共有者)

う 他の法律上の規定

鉱業法以外には,明文で組合の当然の成立を認めるものはない
※鈴木禄弥編『新版 注釈民法(17)債権(8)』有斐閣1993年p55

本記事では,民法上の組合の成立要件の全体像を説明しました。
実際には個別的な事情や主張・立証のやり方次第で結論は違ってきます。
実際に民法上の組合(共有の財産)の問題に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。