1 法改正による調停前置の導入経緯
2 賃料改定事件の調停前置の趣旨

1 法改正による調停前置の導入経緯

賃料改定に関する案件では調停前置というルールが適用されます。
詳しくはこちら|賃料改定事件の裁判手続(調停前置の適用範囲と例外)
調停前置のルールは平成4年の法改正で導入されました。
しかし,導入前から実務の運用では調停を先に行うことが多かったです。

<法改正による調停前置の導入経緯>

あ 法改正による調停前置の新設

賃料改定事件の調停前置について
平成4年の民事調停法改正により新設された
同時期の借地借家法改正に伴う改正である

い 法改正前の状況

『あ』の法改正前について
調停前置は賃料改定事件に適用されなかった
調停前置の制度は家事事件だけが対象であった
詳しくはこちら|調停前置|基本|趣旨・不服申立

う 東京地裁の従前の運用

昭和63年7月から
東京地裁は民事22部を調停専門部としていた
調停委員には不動産鑑定士が多く存在する
賃料改定の訴訟について付調停を積極的に活用していた
実質的に調停前置と同じような運用といえる
※橋本和夫『地代・家賃紛争の調停制度』/『ジュリスト1006号』有斐閣1992年p119,120

え  借地非訟(参考)

借地非訟手続では調停前置の規定(適用)はない
例;譲渡承諾・立替・再築の承諾に変わる裁判所の許可
詳しくはこちら|借地非訟の裁判に共通する手続のルール

2 賃料改定事件の調停前置の趣旨

賃料改定の案件で調停前置が適用される趣旨をまとめます。
家事事件での調停前置とは似ているけど違うところもあります。

<賃料改定事件の調停前置の趣旨>

あ 賃料改定事件の調停前置の趣旨

賃料改定事件について
本来合意で解決するのが望ましい性格(い)の紛争である
家事事件の調停前置の趣旨とは異なる
※寺田逸郎『借地・借家法の改正について』/『民事月報47巻1号』法務省民事局1992年p154

い 賃料改定事件の性格

ア 当事者間の関係
賃貸借の当事者には将来にわたって継続的な契約関係が存続する
→合意により円満な借地関係を形成することが望ましい
イ 紛争の規模
問題の対象が比較的短期間・少額である
→迅速かつ低廉な紛争解決が望ましい
※幾代通ほか『新版 注釈民法(15)債権(6)増補版』有斐閣1996年p868
※橋本和夫『地代・家賃紛争の調停制度』/『ジュリスト1006号』有斐閣1992年p119