【筆界特定制度|問題点|境界標設置・未確定状態|無期限・誤認誘発】

1 筆界特定制度|問題点|全体

筆界特定制度は迅速などのメリットがあります。
この『簡易』な性格が問題点にもつながっています。
本記事では筆界特定制度の問題点を説明します。
まずは問題点の全体を整理します。

筆界特定制度|問題点|全体

あ 根本的問題点

筆界特定の手続が終了しても
→紛争の完全・最終的な解決に至らない

い 不完全な事項

ア 境界標の設置筆界特定とは別に『隣地所有者の承諾』が必要である
→境界標設置ができないままになることがある
イ 未確定の状態最終的な『境界確定』ではない
事後的に訴訟に至る可能性が残る
ウ 不完全な特定筆界の位置の『範囲』が示されて終わることがある

2 筆界特定制度|問題点|境界標の設置

筆界特定制度では『境界標を設置する』という時に問題が生じます。
具体的な内容をまとめます。

筆界特定制度|問題点|境界標の設置

境界標を設置するためには『隣地所有者の同意』が必要である
確定判決であれば同意不要である
(別記事『境界標の設置』;リンクは末尾に表示)

3 筆界特定制度|問題点|未確定状態|基本・無期限

筆界特定の手続後も『未確定』という状態にあります。
まずは基本的事項をまとめます。

筆界特定制度|問題点|未確定状態|基本・無期限

あ 根本的問題

筆界特定の終了後に境界確定訴訟提起が可能である
行政の判断は裁判所を拘束しない
→筆界特定の結論は裁判所を拘束しない
詳しくはこちら|行政の肥大化・官僚統治|コスト・ブロック現象|小規模事業・大企業

い 期間無制限

ア 訴訟提起の期間制限訴訟提起には期間制限はない
イ 比較|一般的な訴訟金銭の請求についての確定判決を得た場合ですら
→『10年の消滅時効』がある
※民法174条の2第1項
詳しくはこちら|債権の消滅時効の基本(援用・起算点・中断)

4 筆界特定制度|問題点|未確定状態|誤解・誤認

筆界特定の手続後も『未確定』という状態になります(前述)。
これがさらに波及的に悪影響を生じます。

筆界特定制度|問題点|未確定状態|誤解・誤認

あ 誤解・誤認を生じる状態

『境界が確定したと誤認させる表示・状態』が生じる
ア 土地の登記事項に記載されるイ 地積更正登記・分筆登記の申請が可能であるこれらの登記を見て『隣地所有者の承諾がある』と誤解しやすい
→実際には『隣地所有者の承諾なし』ということがある
ウ 訴訟の期間無制限筆界特定後、長期間が経過していた場合でも
→境界が確定していない可能性がある(前記)

い 誤解・誤認による譲渡

『あ』の誤解・誤信があるまま売買が行われるリスクがある
→売買契約の解消や損害賠償請求に至る
詳しくはこちら|売買契約の説明不備・誤解→契約解消・損害賠償|まとめ

5 筆界特定制度|問題点|フォロー策

筆界特定制度は以上のような問題点があります。
現実的にこの問題を解消する方法もあります。

筆界特定制度|問題点|フォロー策

あ 筆界特定の手続終了時

関係当事者全員で『境界の確認書』に調印を行う
納得していない者が1人でもいる場合はできない

い 土地譲渡の時

譲渡する時には『境界・所有権境未確定』を説明する
売買における説明義務の対象と言える

土地売買における境界未確定・面積不足と数量指示売買の担保責任

問題点は確実に解消できるわけではありません。

6 筆界特定×訴訟|現実的影響

筆界特定の手続は『後から訴訟で覆される』という問題点があります(前述)。
ただし、現実・実務ではこのような理論とは違う傾向があります。

筆界特定×訴訟|現実的影響

あ 理論

筆界特定の結論は裁判所を拘束しない(前記)

い 現実的な影響

実際には裁判所の判断に大きく影響する

う 実務的な心得

筆界特定における主張・立証が非常に重要である
その後の訴訟で覆す、と考えるのは非常にリスキーである

いずれにしても筆界特定制度はプラス・マイナスの面がいくつもあるのです。
すべてを含めて最適な解決手段を選択すべきです。
詳しくはこちら|土地境界のトラブルの解決手続の種類や方法の全体像

本記事は一般的な説明です。個別の事案にそのまま当てはまるとは限らず、一見似ている事案でも、事情が異なれば結論は異なります。個別的事情により、法的判断や主張として活かす方法、最適な対応方法は違ってきます。本記事でご説明したものと同様の問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。

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