【縁組意思の実務的な立証・認定とリスクやトラブルの予防策】

1 縁組意思の実務的な認定ハードル
2 養子縁組の無効を主張されるリスクと予防策

1 縁組意思の実務的な認定ハードル

理論的には養子縁組は縁組意思が欠けると無効となります。
詳しくはこちら|養子縁組の縁組意思の内容のまとめ(実質的意思の判断基準)
本記事では,養子縁組の無効に関する実務でのハードルやリスクを説明します。
『親子としての人間関係』をつくる目的がないことを証明できれば,訴訟で無効が認められます。実際に無効を認める判決を獲得するケースもあります。
しかし,無効の主張が認められるには高いハードルがあります。

<縁組意思の実務的な認定ハードル>

あ 実務における目的の認定

養親や養子が『財産以外の目的はなかった』と認めること
→通常ありえない
養親や養子の『内心の目的や意図』について
間接的な状況を示す証拠によって立証する必要がある
例;養親と養子のコミュニケーションの状況

い 立証責任の分配

縁組の無効を主張する者が立証責任を負う
実質的意思(う)がないことの証拠が不十分である場合
→無効と認められない(棄却となる)
詳しくはこちら|縁組無効の裁判手続(調停前置・合意に相当する審判・訴訟の立証責任)

う 実質的意思(概要)

『親子と認められるような関係を創設しようとする意思』
※松本博之『人事訴訟法 第3版』弘文堂2012年p411
※最判昭和23年12月23日参照
詳しくはこちら|養子縁組の縁組意思の内容のまとめ(実質的意思の判断基準)

2 養子縁組の無効を主張されるリスクと予防策

養子縁組をした方にとっては,後から『無効であると主張される』ことは大きなリスクです。
交渉や訴訟に応じざるを得なくなり,金銭的・時間的・精神的な負担を強いられるのです。
このようなリスク・コストとこれを回避する方法についてまとめます。

<養子縁組の無効を主張されるリスクと予防策>

あ 無効を主張されるリスク

縁組意思を持って養子縁組をした場合でも
養親の死後,養親の相続人が縁組無効を主張してくることがある

い 無効と判断されるリスク

多くの間接的な状況によって無効と判断される実例がある
例;養親の死亡直後の預貯金の引き出し
詳しくはこちら|相続や財産を目的とする縁組の縁組意思(有効性)の判断事例

う リスク予防策

法的には財産を承継していたとしても
養子が養親の財産に関する手続をすることについて
対立状態が解消するまでは控えた方がベターである

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