【表示規約による特定事項の明示義務】

1 特定事項の明示義務(総論)

公正競争規約として不動産業界の自主的ルールが規定されています。その中に広告・表示を規制する表示規約があります。
詳しくはこちら|不動産の公正競争規約(表示規制と景品規約)(全体)
表示規約の中に『特定事項の明示義務』の規定があります。一定の事項については『書かないこと自体で誤った理解』が生じるリスクがあります。要するに『購入者にとって不利な内容』のことです。セールスする側は隠したいと思うような事情のことです。
そこで、必ず記載すべき事項がリスト化されています。これが『特定事項の明示義務』として表示規約の中に具体化されているのです。
本記事では、特定事項の明示義務の内容について説明します。

2 特定事項の明示義務の基本規定

特定事項の明示義務の全体的な規定があります。

特定事項の明示義務の基本規定

あ 規則による特定事項の指定

次の『ア・イ』に該当する具体的な事情について
→規則で『特定事項』として定める
ア 一般消費者が通常予期することができない事項例;不動産の地勢、形質、立地、環境など
イ 取引の相手方に著しく不利な取引条件

い 特定事項の明示義務

分かりやすい表現で明瞭に表示しなければならない
→『ア〜ウ』のような具体的内容は規則で定める
ア 見やすい場所イ 見やすい大きさウ 見やすい色彩の文字※表示規約13条、施行規則8条

明示義務のある事項、つまり『特定事項』としては、多くのものが規定されています。以下、個々の『特定事項』について紹介します。

3 市街化調整区域

市街化調整区域

市街化調整区域に所在する土地
次のように明示する
『市街化調整区域。宅地の造成及び建物の建築はできません』
※都市計画法29条、43条

4 接道義務違反の土地

接道義務違反の土地

建築基準法上の道路に適法に接していない土地
『建築不可』or『再建築不可』と明示する
詳しくはこちら|接道義務・接道要件|但し書き道路・協定道路

5 路地状敷地を含む土地

路地状敷地を含む土地

あ 明示義務

路地状部分の面積が土地面積の約30%以上である土地
次の『ア・イ』を明示する
ア 『路地状部分を含む』イ 路地状部分の割合or面積詳しくはこちら|建築基準法上の『敷地』|路地状敷地・旗竿地・敷地延長

い 表示の例

土地250㎡ (路地状部分約40%を含む)

6 セットバックを要する土地

セットバックを要する土地

あ 基本的な明示義務

『セットバックを要する』ことを明示する
詳しくはこちら|セットバック・敷地後退|既存不適格×再築

い 対象面積の明示

セットバックを要する部分の面積について
敷地の約10%以上となる場合
→セットバックを要する部分の面積を明示する

う 表示の例

土地250㎡(再建築時はセットバックを要する)

7 古家・廃屋が存在する土地

古家・廃屋が存在する土地

あ 明示義務

古家、廃屋が存在する土地
→この旨を明示する

い 表示の例

土地250㎡(古家あり)

8 沼沢地・湿原・泥炭地など

沼沢地・湿原・泥炭地など

沼沢地・湿原・泥炭地など
→この旨を明示する

9 高圧電線下の土地

高圧電線下の土地

あ 基本的な明示義務

土地の全部or一部が高圧電線路下にある土地
その旨+おおむねの面積を明示する

い 建築制限の明示

建物などの工作物の建築が禁止されている場合
→その旨も明示する

う 表示の例

土地250㎡ (約50㎡は高圧線下にある。高圧線下部分は建物などの建築不可)

10 傾斜地を含む土地

傾斜地を含む土地

あ 基本的な明示義務

傾斜地を含む土地について
次の『ア・イ』のいずれかに該当する場合
→『傾斜地を含む』+傾斜地の割合or面積を明示する
ア 傾斜地の割合が約30%以上を占めるマンション・別荘地などは除外される
イ 有効利用の阻害が著しい傾斜地を含むことによって
土地の有効な利用が著しく阻害される

い 表示の例

土地250㎡(約30%の傾斜地(がけ)を含む。建築可能な範囲はがけの先端から15m後退した位置となる)

11 特異な地勢の土地

特異な地勢の土地

あ 基本的な明示義務

次のような著しく特異な土地
→その旨を明示する
ア 著しい不整形画地イ 区画の地盤面が2段以上に分かれている

い 表示の例

土地250㎡。2段宅地である。(100m部分と150m部分、高低差2m)

12 がけ直近の土地

がけ直近の土地

あ 明示義務

擁壁によっておおわれないがけの上or下にある土地
→その旨を明示する

い 表示の例

土地250㎡(高さ10mのがけ上に位置する)

13 都市計画道路の区域の土地

都市計画道路の区域の土地

あ 明示義務

『ア・イ』による都市計画道路等の区域にかかる土地
→その旨を明示する
ア 道路区域の決定※道路法18条1項
イ 都市計画の告示※都市計画法20条1項

い 表示の例

土地250㎡(約20㎡は都市計画道路区域内である)

14 長期間の建築中断があった建物

長期間の建築中断があった建物

新築住宅or新築分譲マンションについて
建築工事に着手した後において
工事を相当の期間にわたり中断していた場合
→建築工事の着手時期+中断の期間を明示する

本記事は一般的な説明です。個別の事案にそのまま当てはまるとは限らず、一見似ている事案でも、事情が異なれば結論は異なります。個別的事情により、法的判断や主張として活かす方法、最適な対応方法は違ってきます。本記事でご説明したものと同様の問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。

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【表示規約による表示開始時期・建築条件付の表示・表示事項の規制】
【表示規約による表示基準】

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