1 祭祀主宰者の指定|遺言でも手紙・口頭でも良い
2 祭祀財産の生前贈与・遺贈→『祭祀主宰者指定』に該当する
3 『祭祀財産』承継×別人を『祭祀主宰者』指定|具体的結果
4 祭祀主宰者の指定|相続権とは無関係→内縁の妻でも良い
5 祭祀主宰者の指定→拒否・辞退はできない

1 祭祀主宰者の指定|遺言でも手紙・口頭でも良い

『祭祀主宰者』を決める上で再優先となるのは『被相続人による指定』です。
詳しくはこちら|祭祀供養物の承継・祭祀主宰者の指定|基本|法的効果|所有権移転・葬儀履行義務

<祭祀主宰者の指定>

あ 方式に限定はない

次のいずれでも指定できる
ア 遺言
イ 手紙
ウ 口頭
エ オンライン系
例;メール・メッセンジャー・SNS

い 意思が読み取れれば良い

記載のフォーマットは特に限定がない
被相続人の『意思』が読み取れれば良い

う 具体的内容|例

ア 『墓守は太郎に任せる』というメッセージ
イ 生前贈与・遺贈(後記)

2 祭祀財産の生前贈与・遺贈→『祭祀主宰者指定』に該当する

被相続人による『祭祀主宰者の指定』は明確な意思表示ではないことが多いです(前述)。
明確ではない場合の典型例をまとめます。

<『祭祀財産』承継×祭祀主宰者指定>

あ 被相続人による祭祀財産の承継

ア 生前贈与
イ 遺贈

い 効果|所有権の移転

有効である

う 効果|祭祀主宰者

ア 原則
被相続人による『祭祀主宰者』指定と言えることが多い
イ 例外
被相続人が『祭祀主宰者』として希望したと言えない場合
→裁判所が判断・指定する(後記)
→別人を指定するケースもある

『祭祀主宰者の指定』として明確ではないところで問題が生じることもあります。
次に詳しくまとめます。

3 『祭祀財産』承継×別人を『祭祀主宰者』指定|具体的結果

裁判所が『祭祀主宰者』として『祭祀財産を承継した者』以外を指定した実例を紹介します。

<『祭祀財産』承継×別人を『祭祀主宰者』指定|具体的結果>

あ 基本的な状況

『祭祀財産』の生前贈与・遺言作成の後に『事情が変化』した
主に『氏』の変更である
詳しくはこちら|祭祀主宰者の指定|家裁の判断基準|内縁・家業後継者・苗字|人数

い 裁判所の指定

『祭祀財産承継者=所有者』とは別の人を『祭祀主宰者』に指定する

う 現実的な効果・結果

『祭祀財産』の引き渡しが強制される

4 祭祀主宰者の指定|相続権とは無関係→内縁の妻でも良い

『祭祀主宰者』は『相続』つまり『遺産の承継』とは別問題です。
指定する者は『相続人』に限定されません。
例えば『内縁の妻』を指定することも可能です。
『相続』とは関係がない,という内容は別記事で説明しています。
詳しくはこちら|祭祀供養物の承継・祭祀主宰者の指定|基本|法的効果|所有権移転・葬儀履行義務

5 祭祀主宰者の指定→拒否・辞退はできない

祭祀主宰者として指定された者が『指定を望まない』こともあり得ます。
拒否・辞退する,という発想についてまとめます。

<祭祀主宰者の指定×『拒否・辞退』>

あ 被相続人の指定or慣習による指定

『祭祀主宰者の指定』を放棄・辞退することはできない

い 裁判所の指定

審判の審理において,拒絶・反対する者を指定していない
※『判例民法10』第一法規p59

このように『指定された者は拒否できない』という解釈が一般的です。
拒否する規定がないというのが主な理由です。
一方,祭祀主宰者は『葬儀履行などの積極的義務』はありません。
詳しくはこちら|祭祀供養物の承継・祭祀主宰者の指定|基本|法的効果|所有権移転・葬儀履行義務
加重な負担を負わない,ということも『拒否を認めない』解釈につながっています。