離婚ガイド|離婚した時に子供はどちらが引き取ることができるの?

1 『子供をどちらが引き取るか』については4つの原則を使って判断する
2 4つの原則それぞれの内容
3 トータルでは,子供の年齢を元におおまかな判断できる
4 裁判所の基準は交渉でも使われる
5 主張,立証を尽くすことが子供を引き取ることにつながる

1 『子供をどちらが引き取るか』については4つの原則を使って判断する

離婚の時に子供をどちらが引き取るか,ということは良く争いになる問題です。
正確には親権者の指定と言います。
いろいろな考え方が蓄積されています。
大きな枠組みとして,4つの原則が使われます。

<親権者指定の4つの原則>

ア 継続性の原則 実際にそれまでに子を監護してきた者を優先する,という原則です。
イ 子の意思の尊重ウ 兄弟姉妹不分離の原則エ 母親優先の基準 特に子供の年齢が低い場合は,母親が育てることが望ましい,という考え方です。

詳しくはこちら|親権者・監護権者の指定の判断要素や判断基準の全体像(子の利益と4原則)

2 4つの原則それぞれの内容

(1)継続性の原則

継続性の原則とは,現状維持,現状の尊重ということです。
それまでの子供の生活環境(監護状況)が安定している場合は,この実績は重要です。
また,別居中に,相手が子供と面会を希望してくることがあります。
この面会に応じることが,却って別居状態が安定しているという考えにつながることもあります。

(2)子の意思の尊重

子供の年齢によって,子供に意向を聴取するかどうか,またどの程度重視するか,は違います。
10〜15歳より上では大きく重視します。

家庭裁判所の審判や訴訟では,調査官という方が子供と面会して聴取する,ということもあります。
その場所も,裁判所に子供を連れて行くという方法だけでなく家庭訪問というものもあります。
別居中に,試験的に子供が今居る親ではない方と同居させてみるという方法を取る場合もあります。
詳しくはこちら|子供の意思の調査のための試行的面会交流の意義や実例

(3)兄弟姉妹不分離の原則

文字どおり,兄弟は分離しない方が良いというものです。
兄弟が一緒に暮らすことにより,お互いに得る経験は人格形成上非常に貴重であるという考えが元になっています。
これについて,幼児期はともかく,それ以上では必ずしも当てはまらないという考えが主流になってきています。
実際に,結果的に兄弟で父,母の引取先が違うということになった裁判例もあります。

(4)母親優先の基準

乳幼児であれば,授乳という身体的な問題から,原則として,母親が親権者としてふさわしいです。
逆に,年齢が上がってくると,母親優先を通すのは不公平であるという考えが強くなっています。
実際に,実際の養育環境から父親がふさわしいと判断されるケースも増えつつあります。

以上の4つの原則の内容については,別の記事で詳しく説明しています。
詳しくはこちら|親権者指定での『子の利益』では4つの原則が基準となる

3 トータルでは,子供の年齢を元におおまかな判断できる

実際には,子供の年齢でどちらが引き取るかが結果的に予想できることが多いです。
次にまとめます。

<親権者・監護権者の簡易判断方法>

子供の年齢 判断の目安
0~10歳 母が多い
10~15歳 父・母に優劣が付けられない場合は母となる
15~20歳 子供自身の意見が尊重される

なお,個別的な事情によって,違う結果となることも少なくないです。
これはあくまでも簡易な判定の目安です。
ご注意ください。
詳しくはこちら|親権者・監護権者の指定の判断要素や判断基準の全体像(子の利益と4原則)

4 裁判所の基準は交渉でも使われる

以上の基準は,家庭裁判所の審判や訴訟の判断で使われるものです。
だからと言って裁判所の手続以外では関係ない,というわけではありません。
実際に,弁護士同士が代理人として交渉する場合,裁判所の基準を使うのが通常です。
両方が『裁判となった場合にどうなるか』ということを予測しながら交渉する,ということです。

5 主張,立証を尽くすことが子供を引き取ることにつながる

基準自体は上記の説明のとおりですが,この基準で考慮される事情は多いです。
親権者が自分と判定されるために有利な事情と不利な事情があるはずです。
簡単に言えば,『相手が子育てにふさわしくない』という事情や,逆に『自分が子育てにふさわしい』というような事情のことです。
交渉でも裁判でも,的確にそのような事情をピックアップして,その上,その証拠,記録をしっかりと確保することが重要です。

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