1 借地の更新料に関するトラブルの解決ガイド
2 更新料の請求(支払義務の有無)
3 借地契約の解除
4 更新料の供託
5 賃料増額・減額請求

1 借地の更新料に関するトラブルの解決ガイド

借地契約において更新料が支払われることは実際に多いです。
詳しくはこちら|借地の更新料の基本(更新料の意味と支払の実情)
いろいろな目的やメリットがあるので更新料を払う実情があるのです。
詳しくはこちら|借地の更新料の趣旨や目的(メリット)
しかし,理論的に更新料の支払義務があるとは限りません(後記)。
実際には,地主と借地人の意見の対立が生じてトラブルになることがよくあります。
本記事では,典型的なトラブルの内容や解決の方法を説明します。

2 更新料の請求(支払義務の有無)

(1)更新料の特約なし

地主が借地人に更新料を請求し,借地人が払わないというケースです。
理論的に更新料の支払義務があるかどうか,という問題が元になっています。
まず,更新料を支払うという約束(合意・特約)がなければ,支払義務はありません。
更新料を支払わなくても法定更新として契約は更新されます。
更新契約書の調印をしなくても契約は継続しています。
詳しくはこちら|借地の更新料の支払義務(全体・更新料特約なし)

(2)更新料の特約あり

実際の借地契約では,更新料を支払うという特約があることが多いです。
詳しくはこちら|更新料支払合意(特約)の基本(種類・法的問題の分類)
更新料の特約がある場合は解釈が難しくなります。
特約の有効性についていろいろな見解があるのです。
特約の言葉やそれまでの地主・借地人の間の状況も含めて有効性が判断されます。
そして,有効性の判断のぶれが大きい傾向があります。
そのため,地主と借地人の間で見解の対立が生じやすいという構造があります。
地主が更新料の支払を求めて提訴することもあります。
裁判所が特約を有効と認めれば,勝訴できます。
しかし裁判所が無効と判断する可能性もあります。
一方,借地人が支払を拒否している時に,地主が契約解除をする方法もあります。
この解除は認められるとは限りません。
しかし解除を認めた最高裁判例もあります(後記)。
最高裁判例が,借地人を譲歩させるという効果を生じています。
詳しくはこちら|更新料の特約の有効性(一般的な更新料支払義務の有無)
 詳しくはこちら|更新料特約の法定更新への適用(更新料支払義務)の有無

3 借地契約の解除

借地人が更新料の支払に応じない場合には,地主としては契約を解除する通知を出すという対抗策があります。
実際に解除,つまり借地契約の終了が認められるかどうかは別問題です。
この点,更新料の合意どおりに借地人が払わなかったケースで,最高裁が借地契約の解除を認めたものがあります。
この事案は借地人が過去に無断での建物増築・無断転貸などの大きな違反行為があったため,最終的に解除を認めたのです。
つまり,そう簡単には解除まで認められるわけではありません。
しかし,借地人としては多少でも解除のリスクがあることは非常に心配です。
実務では借地人側に譲歩する圧力として,この判例が働く構造があります。
詳しくはこちら|更新料支払特約に反する不払による解除の有効性

4 更新料の供託

借地人としては,更新料を払いたいけれど金額について地主と合意に至らないケースも多いです。
つまり,地主としては借地人が提供する金額では納得しない,受け取らないということです。
この時,借地人が『受け取らないなら払わなくていいや』と考えると大変です。
更新料の不払いによって契約の解除が認められることもあるのです(前記)。
このような場合は,借地人は供託を活用するという対策が有用です。
詳しくはこちら|借地の更新料の基本(更新料の意味と支払の実情)

5 賃料増額・減額請求

借地人が更新料を払わない場合,地主としてはまったく別の対抗策もあります。
賃料(地代)増額の請求です。
更新料の不払いによってストレートに賃料の増額が認められるわけではありません。
多くの事情によって賃料の改定は判断されるのです。
その1つの事情として,更新料支払の有無もあるのです。
逆に,更新料を支払った場合は,その後の状況によっては,借地人からの賃料減額請求が認められることもあります。
これも,地価下落や近隣の賃料相場の下落など,本質的な事情変化がないと,単に更新料を払ったという事情だけで賃料減額が認められるわけではありません。
詳しくはこちら|借地の更新料の基本(更新料の意味と支払の実情)