1 売買における欠陥に関する責任の種類(前提)
2 売買における欠陥に関する責任の種類と期間制限
3 追及する責任の種類の選択
4 除斥期間・消滅時効による制限の内容(概要)
5 実務的な瑕疵担保責任追及のハードル

1 売買における欠陥に関する責任の種類(前提)

売買において欠陥や不備があるといろいろな種類の責任が発生します。
詳しくはこちら|不動産売買・建築の欠陥・不備の責任の種類
本記事では,いろいろな責任についての期間制限を説明します。
最初に,責任の種類にどのよなものがあるのか,についてまとめておきます。

<売買における欠陥に関する責任の種類(前提)>

あ 基本的事項

売買契約の目的物に欠陥や不備があった場合
→複数の種類の責任(い)が発生する可能性がある

い 責任の種類(※1)

ア 瑕疵担保責任
内容=解除権・損害賠償請求権など(※2)
解除後に代金返還請求権が生じる(後記※3)
イ 不法行為による損害賠償
ウ 債務不履行による損害賠償
詳しくはこちら|不動産売買・建築の欠陥・不備の責任の種類

2 売買における欠陥に関する責任の種類と期間制限

期間制限は,責任の種類によって異なります。さらに,同じ責任の種類であっても,複数の期間制限が適用されることもあります。
複雑なので間違えやすいところです。

<売買における欠陥に関する責任の種類と期間制限>

あ 各責任の期間制限

各法的責任(前記※1)の消滅時効・除斥期間について
→責任の種類ごとに異なる
詳しくはこちら|瑕疵担保責任の期間制限の規定と特約の制限(まとめ)

い 瑕疵担保責任の内容の消滅時効(概要)

瑕疵担保責任としての解除権・損害賠償権(前記※2)について
→『解除権・損害賠償請求権』自体の消滅時効もある
詳しくはこちら|瑕疵担保の解除権・損害賠償請求権・代金返還請求権の消滅時効

う 解除後の代金返還請求権の期間制限(概要)

瑕疵担保責任としての解除をした場合
→代金返還請求権が生じる(※3)
※民法703条
→代金返還請求権の消滅時効もある
詳しくはこちら|解除権の消滅時効と解除により生じる債権の消滅時効

3 追及する責任の種類の選択

実務では,最適な責任を選択して追及する必要があります。
当然,期間制限についてはしっかりと把握・判断しないと最適な選択ができません。

<追及する責任の種類の選択>

あ 責任の種類による期間制限の違い

追及する責任の種類によって
期間制限に関する『ア〜ウ』の要素が異なる
ア 起算点
イ 期間
ウ 制限の内容(後記※4)

い 期間制限の違いの具体例

瑕疵担保責任の除斥期間が経過している
→瑕疵担保責任の責任追及(請求)はできない
しかし不法行為責任は消滅時効・除斥期間が経過していない
→不法行為責任は追及(請求)できる

4 除斥期間・消滅時効による制限の内容(概要)

除斥期間と消滅時効では,制限の具体的な内容が異なります。

<除斥期間・消滅時効による制限の内容(概要;※4)>

あ 消滅時効の制限の内容

制限期間内に提訴する必要がある(原則)
詳しくはこちら|消滅時効のまとめ|援用・起算点・中断

い 除斥期間の制限の内容

除斥期間内において
訴訟提起・訴訟外での主張のいずれかを行う必要がある
詳しくはこちら|除斥期間の基本(消滅時効との比較・権利行使の内容・救済的判例)

5 実務的な瑕疵担保責任追及のハードル

実際に瑕疵担保責任を追及することについてはいろいろなハードルがあります。
これも含めて考え,追及する責任を選択する必要があります。

<実務的な瑕疵担保責任追及のハードル>

あ 期間制限

ア 民法上の規定
『瑕疵を知ってから1年』である
※民法566条3項
→短いが『瑕疵を知る』まではカウントがスタートしない
→それほど高いハードルではない
イ 特約
瑕疵担保責任に関する特約はとても多い
→制限期間の短縮や瑕疵担保責任自体の免除など
→主張できなくなることがよくある

い 資力リスク

売主の資力が乏しい場合
→瑕疵担保責任の立証が完璧でも賠償金を獲得できない

瑕疵担保責任が期間制限によって使えないケースでは,不法行為責任を活用する方法がよく取られています。
詳しくはこちら|建物の欠陥|瑕疵担保の弱点→不法行為責任でカバー|期間制限・請求相手