1 改正前の制度|滌除|買主の主張
2 改正前の制度|滌除|抵当権者の選択
3 改正前の制度|滌除|不合理性→廃止
4 平成15年民法改正|滌除→消滅請求
5 共有持分の第三取得者×滌除
6 共有持分の第三取得者×抵当権消滅請求

1 改正前の制度|滌除|買主の主張

平成15年の民法改正前に『滌除』という制度がありました。
現在は『抵当権消滅請求』という制度に変更されています。
本記事では,法改正前の『滌除』について説明します。
まずは手続の基本・最初のアクションをまとめます。

<改正前の制度|滌除|買主の主張>

抵当不動産の第三取得者について
例;抵当権が付いたままで不動産を購入した者
買主が抵当権者に対して『滌除』を請求できる
『てきじょ』と読む
評価額を主張することである(※1)

2 改正前の制度|滌除|抵当権者の選択

評価額の主張に対する抵当権者の対応についてまとめます。

<改正前の制度|滌除|抵当権者の選択>

あ 抵当権者の選択

抵当権者は次の『い・う』のいずれかを選択する

い 承諾

抵当権者が前記※1の評価額を承諾する
→買主が代価弁済をする
→抵当権は消滅する

う 増加競売の申立

抵当権者が担保権を実行する
=競売を申し立てる
売却の最低額は前記※1の評価額の1割増とする

え 増加競売|買取義務

増加競売において
入札する者がいなかった場合
→抵当権者が買い取る義務がある
金額=前記※1の評価額の1割増

3 改正前の制度|滌除|不合理性→廃止

滌除の制度は廃止されました。
廃止の経緯についてまとめます。

<改正前の制度|滌除|不合理性→廃止>

滌除の制度について
→抵当権者に過酷な負担が生じる
ギャンブル性が強い
→平成15年民法改正によって廃止された
代わって『抵当権消滅請求』の制度が導入された
詳しくはこちら|抵当権消滅請求|対象者・評価額の主張・抵当権者の選択

4 平成15年民法改正|滌除→消滅請求

法改正により滌除から抵当権消滅請求に制度が代わりました。
これについて整理しておきます。

<平成15年民法改正|滌除→消滅請求(※2)>

時期 制度の名称 抵当権者の対抗策
改正前 滌除 増加競売
改正後 抵当権消滅請求 (通常の)競売

5 共有持分の第三取得者×滌除

以上の説明は不動産全体の売買が前提です。
この点,共有持分が売買されることもあります。
この場合の『滌除』の適用に関する判例を紹介します。

<共有持分の第三取得者×滌除(※3)>

あ 共有持分×第三取得者

不動産全体に抵当権が設定されていた
Aが不動産の共有持分を取得した
Aが抵当権者に『滌除』を主張した

い 共有者×滌除

Aは滌除をすることはできない
※最高裁平成9年6月5日

う 比較|共有持分への抵当権設定

共有持分に抵当権が設定されている場合
→共有持分の第三取得者による滌除は可能である
※東京地裁平成3年12月9日

6 共有持分の第三取得者×抵当権消滅請求

前記の判例の理論は抵当権消滅請求でも同様だと考えられます。

<共有持分の第三取得者×抵当権消滅請求>

あ 法改正

現在は滌除の制度は廃止されている
代わりに『抵当権消滅請求』が導入されている(前記※2)

い 滌除に関する判例理論

前記※3の判例の理論について
→抵当権消滅請求について同様の解釈が成り立つ
※民法379条〜
※『論点体系判例民法2物権』第一法規p292