【ペットの飼育・看護承継スキーム|信託・負担付遺贈・負担付死因贈与・預託契約】

1 飼い主死亡後のペットの幸せ|確実にする工夫の方向性
2 飼い主死亡後のペットの幸せ|ペットのケア承継スキーム4種類
3 ペットのケア承継|4つのスキームの比較・まとめ
4 ペットのケア承継スキーム|信託|ノーマル
5 ペットのケア承継スキーム|信託|財産管理法人あり
6 ペットのケア承継スキーム|負担付遺贈
7 ペットのケア承継スキーム|負担付死因贈与
8 ペットのケア承継スキーム|預託契約+準委任契約

本記事では飼い主死亡後のペットの飼育・看護の『法的な仕組み』を4種類説明します。
飼い主死亡後のペットの飼育・看護の基本事項は別記事で説明しています。
詳しくはこちら|飼い主死後のペットの幸せ|里親システム=里親+里親管理人+飼い主承継者

1 飼い主死亡後のペットの幸せ|確実にする工夫の方向性

ペットの飼育・看護の役割分担だけでは『しっかりした飼育が行なわれない』リスクがあります。
『飼育・看護がしっかりと行なわれる』ことを確実にする工夫を説明します。
まずは『工夫』の大きな方向性をまとます。

<飼い主死亡後のペットの幸せ×工夫の方向性>

あ 財産承継に『条件』を付ける

『十分な飼育』を条件として,飼育者に財産(遺産)を承継する

い 監督者による確認後に金銭を支給する

監督者が『飼育状況』を確認して,飼育者に『飼育費用』を支給する

2 飼い主死亡後のペットの幸せ|ペットのケア承継スキーム4種類

飼い主が亡くなった後に『ペットがしっかりと飼育・看護される』工夫を具体化して行きます。
『ケア=飼育・看護』の『承継』を行う法的な方法(スキーム)です。

<飼い主死亡後のペットの幸せ|ケア承継基本スキーム4種類>

あ 信託

『受託者』が財産を預かり,状況に応じて『受益者』に資金を支給する

い 負担付遺贈

『遺贈』と『ペットの飼育』をセットにする

う 負担付死因贈与

『死因贈与』と『ペットの飼育』をセットにする

え 預託契約

資金を預け『ペットの飼育』のために使うことを約束する

3 ペットのケア承継|4つのスキームの比較・まとめ

上記のケア承継の4つのスキームはそれぞれに特徴があります。
内容は次に説明しますが,先に全体のまとめを整理しておきます。

<ペットのケア承継スキームの種類|比較・まとめ>

方式 倒産隔離機能 当事者の拘束 法律上の監督者 清算内容の設定 遺留分との抵触 営業規制
信託 (※1) 信託監督人
負担付遺贈 遺言執行者
負担付死因贈与 なし(※2) (※3)
預託契約 なし(※2)

※1 『信託契約』であれば『あり』・『遺言による信託』であれば『なし』;信託法3条2項
※2 個別的に合意(契約)で監督者を設定することは可能
※3 『清算内容』によっては『贈与』の性質ではなくなる可能性がある

4 ペットのケア承継スキーム|信託|ノーマル

ペットのケアを承継するスキームのうち代表的なものが『信託』を利用したものです。

<信託|財産管理法人なし>

あ 役割分担
委託者 飼い主
受託者 里親管理人
受益者 (飼い主→)飼い主承継者(※4)
信託財産 ペット・飼育費用
信託管理人 (必要に応じて設定する)

※4 飼い主死亡時に受益権者が『飼い主承継者』に変更される

い 財産の動きのタイミング

飼い主の生前(信託契約締結時)に資金の移転(信託)が行われる

う 倒産隔離機能

『受託者』の資力不足による差押・破産があった場合でも
→信託財産は影響を受けない

え 遺留分からの隔離機能

『遺留分減殺請求』の対象から除外される

お 『受益者(飼い主承継者)』の具体例

信頼できる身内の方が適切

か 『受託者』×信託業法

『事業として』行う場合
→信託業法の規制を受ける
=免許が必要になる
詳しくはこちら|エスクローの仕組み|出資法・資金決済法・信託業法との抵触

5 ペットのケア承継スキーム|信託|財産管理法人あり

『信託』のスキームのうち『財産管理法人』を組み込む方法もあります。
資金の管理が明確化し,不正・財産混在を予防する効果が高まります。
ただし,手間・コストがある程度アップしてしまいます。

<信託|財産管理法人あり>

あ スキームの準備

『財産管理法人』を設立する
『財産管理法人』に『飼い主』の財産を『信託』として移転(預託)する

い 役割分担

『受託者』=財産管理法人
※これ以外の『役割』は『財産管理法人なし』と同様

6 ペットのケア承継スキーム|負担付遺贈

『ペットの世話を頼む』方法として,古典的・原始的な方法です。
『信頼できる身内だけ』の関係では現在でもポピュラーです。

<負担付遺贈>

あ 方法

遺言の中に次の事項を記載しておく
ア 遺贈する財産=飼育費用イ 負担=ペットの飼育・看護内容

い 役割分担
遺言者 飼い主
受遺者 里親管理人or飼い主承継者
遺贈する財産 ペット・飼育費用
負担内容 ペットの飼育・看護(の監督)
う 財産の動きのタイミング

飼い主死亡時に資金が移転する

え 遺贈の放棄

受遺者が『遺贈の放棄』をすると『ペット飼育・看護』の負担も受けない
『遺贈の放棄』を封じることができない

お 清算の規定

『清算内容』を規定できない

か 遺留分との抵触

『遺留分減殺請求』を受けるリスクがある

詳しくはこちら|負担付遺贈は負担の履行を請求や遺言取消請求申立ができる

7 ペットのケア承継スキーム|負担付死因贈与

『負担付遺贈』と似ている方法として『負担付死因贈与』があります。
『生前に受贈者=ケアを承継する予定者』と『契約』をします。
この部分が『遺贈』とは異なるのです。

<負担付死因贈与>

あ 方法

飼い主の生前に『ケア承継者予定者』と『負担付贈与契約』を締結する
ア 贈与財産=飼育費用イ 負担=ペットの飼育・看護内容

い 役割分担
贈与者 飼い主
受贈者 里親管理人or飼い主承継者
贈与する財産 ペット・飼育費用
負担内容 ペットの飼育・看護(の監督)
う 財産の動きのタイミング

飼い主死亡時に資金が移転する

え 清算の規定

『清算内容』を規定した場合
→『贈与』として認められないリスクが生じる

お 遺留分との抵触

『遺留分減殺請求』を受けるリスクがある

8 ペットのケア承継スキーム|預託契約+準委任契約

ペットのケアを承継する方法として,最も単純な方法が『預託契約』です。
この中には『ペットの飼育・看護』も当然含みます。
法的な性質としては『準委任契約』も含むことになります。

<預託契約+準委任契約>

あ 利用する契約

金銭の預託+監督業務の準委任契約

い 役割分担
預託者(委任者) 飼い主
受託者(受任者) 里親管理人or飼い主承継者
預託する財産 ペット・飼育費用
委任内容・預託の趣旨 ペットの飼育・看護(の監督)+費用支払
う 財産の動きのタイミング

通常は飼い主の生前に資金を『預託』する

え 倒産隔離

受託者の債権者から『預託財産の差押』を受けるリスクがある

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