【試用期間・本採用拒否|基本|法的性質・有効性・基準】
1 試用期間|法的性質=解約留保権付労働契約
2 試用期間|本採用拒否×法的性質|自由裁量ではない
3 試用期間・本採用拒否|有効性判断基準|基本
4 試用期間・本採用拒否|一般の解雇との比較
5 試用期間・本採用拒否|合理的理由・相当性
6 試用期間・本採用拒否|事例・判例
1 試用期間|法的性質=解約留保権付労働契約
本記事では『試用期間』について説明します。
<試用期間|法的性質>
法律上に明記されているわけではない
『解約留保権付労働契約』と解釈されている
→『解約される可能性のある労働契約』という意味である
※最高裁昭和48年12月12日三菱樹脂本採用拒否上告事件
『労働契約に該当する』というところがポイントです。
専門的にはと解釈されています。
2 試用期間|本採用拒否×法的性質|自由裁量ではない
試用期間の『本採用拒否』の法的性質をまとめます。
<試用期間|本採用拒否×法的性質>
あ 本採用拒否×法的性質
試用期間中も『労働契約』が締結された状態である(前述)
→試用期間の後に『本採用しない』こと
→『解雇』に該当する
い 解雇制限|一般論
『解雇』については,法律上や判例上,一定の制限がある
雇用主の『自由裁量』で判断できない
※労働契約法16条
詳しくはこちら|解雇権濫用の法理;まとめ
う 解雇制限×試用期間|概要
試用期間は『労働契約』の中では『軽い』ものである
→『解雇=本採用拒否』のハードルも低めである
3 試用期間・本採用拒否|有効性判断基準|基本
試用期間満了時の本採用拒否の有効性の判断基準をまとめます。
<試用期間・本採用拒否|有効性判断基準|基本>
あ 基本的事項
解約権留保の趣旨,目的に照らして判断する
次の2つの要件の両方に該当する場合のみ有効である
い 有効要件
ア 客観的に合理的な理由が存するイ 社会通念上相当として是認される ※最高裁昭和48年12月12日三菱樹脂本採用拒否上告事件
4 試用期間・本採用拒否|一般の解雇との比較
使用における『本採用拒否』と『一般の解雇』の比較をまとめます。
<試用期間・本採用拒否|一般の解雇との比較>
あ 有効基準|一般的基準との比較
本採用拒否の本採用拒否の有効要件(上記『ア・イ』)
→一般的な解雇の有効性判断と同一のキーワードである
※労働契約法16条;その他多くの判例
い 実質的判断|比較
本採用拒否の判断には『解約権留保の趣旨,目的に照らして』がある
→一般的な解雇よりも試用期間後の本採用拒否の方が有効とされやすい
5 試用期間・本採用拒否|合理的理由・相当性
本採用拒否では合理的理由・相当性がないと無効となります(前述)。
『合理的理由』『相当性』については別に説明しています。
(試用期間・本採用拒否|合理的理由・相当性』;リンクは末尾に表示)
6 試用期間・本採用拒否|事例・判例
試用期間満了時の本採用拒否に関しては多くの事例があります。
判例については別に説明しています。
(別記事『試用期間・本採用拒否|判例』;リンクは末尾に表示)