【夫婦両方が住宅ローンの債務者(ペアローン)であるマイホームの財産分与の方法】

1 住宅ローンの債務者の設定と財産分与
2 ペアローンのマイホームの財産分与
3 負担割合の判断についての裁判所の裁量は大きい

1 住宅ローンの債務者の設定と財産分与

住宅ローンが残っているマイホームは,離婚に伴う財産分与が複雑になります。
詳しくはこちら|住宅ローンが残っている住宅の財産分与の全体像(分与方法の選択肢など)
ところで,住宅ローンでは,債務者が夫(妻)のみ,と,夫婦の両方(ペアローン)の2とおりがあります。
詳しくはこちら|マイホームの所有者や住宅ローンの債務者は夫婦の一方と両方(ペアローン)がある
本記事では,住宅ローンがペアローンとなっているケースでの財産分与の方法について説明します。

2 ペアローンのマイホームの財産分与

住宅ローンがペアローンとなっているケースの財産分与では,債務の負担を夫婦で分ける必要があります。
金融機関(銀行)とは関係なく,夫婦の内部だけで分担を決めるのです。
分担の決め方は主に3つがあるのです。

<ペアローンのマイホームの財産分与>

あ ペアローンの意味(前提事情)

夫・妻の両方が連帯債務を負っている
(両方が債務者となって返済している)
or一方が債務者で,他方が連帯保証人となっている

い 所有名義(共有名義)との関係

ペアローンの場合,通常,夫と妻の両方が所有者(共有者)となっている

う 財産分与の方法

『ア〜ウ』のいずれかによって夫と妻の負担する割合を決定する
→分与対象財産を計算する
ア 内部的負担割合の合意イ 負担割合を均等とするウ 裁判所が個別的な事情から負担割合を定める ※山本拓稿『清算的財産分与に関する実務上の諸問題』/『家庭裁判月報62巻3号』最高裁判所事務総局2010年p25

3 負担割合の判断についての裁判所の裁量は大きい

前記のように,ペアローンのマイホームの財産分与では,夫婦の間の負担割合をどのように決めるかで結果が大きく違ってきます。
この負担割合の判断については,裁判所の裁量が大きいです。
例えば,他の財産や収入の状況によって裁判所が負担割合を決めるのです。
つまり,個別的な事情によって結論が大きく違ってくることがあるということです。

本記事では,ペアローンのマイホームの財産分与について説明しました。
前記のように,実際には,主張や立証のしかた次第で結論が違ってくることがよくあります。
実際にペアローンのマイホームの財産分与に関する問題に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださいますようお勧めします。

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【マイホームの財産分与の方法(選択肢)は裁判(審判・訴訟)と和解で異なる】
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