1 離婚の要因を作ったこと親権者の判断は関係しない
2 離婚の要因養育環境に影響を及ぼすと親権者の判断に関係する
3 他の要因で判断がつかない場合,有責が親権の判断に影響する

1 離婚の要因を作ったこと親権者の判断は関係しない

例えば,妻の浮気が原因となって,離婚するに至った場合,妻に子供を渡すべきではないという発想もあります。

確かに,妻さえ浮気しなければ,夫婦・親子は一緒に暮らせていたはずです。
妻の浮気により,夫(父)が子供を奪われる,というのは腑に落ちないと感じられることでしょう。

しかし,親権者(監護権者)指定の判断はあくまでも子の利益(福祉)が基準です。
別項目;親権者・監護権者の判断基準として,4つの原則がある
子供を獲得する,奪われる,というような父・母の目線,ではないのです。
離婚の原因についての責任は,慰謝料として法的な責任となります。
ペナルティとして子供を奪うという理論はないのです。
基本的に,離婚原因・責任,と,親権者の指定,は無関係ということになります。

2 離婚の要因養育環境に影響を及ぼすと親権者の判断に関係する

不貞その他の離婚の原因の責任が間接的に親権や監護権の判断に影響することはあります。
子供の養育環境の評価の一環となる,というような場合です。

<離婚原因が子供の養育環境に影響を及ぼす例>

ア 母親が交際相手との交際に夢中になっていて,外泊が多い
イ 母親が交際相手との交際にお金を使い過ぎている→家計が苦しい
ウ 母親の交際相手と子供の仲が悪い。暴力などもある。

以上のような場合は,当然ですが,子供の養育環境が非常に悪いです。
客観的には,養育環境が不十分,不安定ということになります。
主観的にも,親子の情緒的結びつきが弱い,ということになります。
いずれにしましても,親権者指定の審理においては大きなマイナスポイントとなります。
逆に,以上のように直接的に離婚の要因を作ったという非難として考慮しているわけではないのです。

3 他の要因で判断がつかない場合,有責が親権の判断に影響する

親権,監護権の指定の判断において,離婚原因,責任は考慮されないのが原則です。
しかし,例外的に考慮されることもあります。

<親権者(監護権者)指定の際に離婚原因,責任が考慮される場面>

ア 子供の養育環境に影響を及ぼしている場合
イ 他の事情では,父・母のどちらが親権者として適切か,甲乙付け難い場合

最終手段として,夫婦関係破綻の責任によって親権者を決めた裁判例があります(後掲裁判例1)。
例外的な判断方法です。広く一般化できないと思われます。

判例・参考情報

(判例1)
[横浜地方裁判所川崎支部昭和44年(タ)第28号,昭和45年(タ)第2号離婚,慰藉料請求事件昭和46年6月7日(抜粋)]
最後に子の親権者の指定について考えるに,原被告いずれも共に親権者を望むところ,原被告の各本人訊問により認められる原被告の子に対する愛情,生活教育環境等において特に甲乙をつけ難く,いずれも子の福祉上親権者として欠けるところはないから,結局離婚責任の大少によって決するのが最も公正,妥当な措置と思料される,そうして前認定の如く本件離婚責任は主として被告にあるのであるから,原告をして子の親権者たらしめるべきものとする。