【認知の効果|全体・相続|認知がない状態の扱い】

1 認知がない×法的扱い|概要
2 認知がない×扶養権利・義務
3 認知の基本的な法的効果
4 死後認知×相続権|金銭賠償
5 認知による扶養義務・請求権の発生(概要)

1 認知がない×法的扱い|概要

本記事では認知により生じる法的効果の全体を説明します。
まずは『認知していない状態』の法的扱いについてまとめます。

<認知がない×法的扱い|概要>

あ 前提事情

認知をまだ行っていない
血縁上の父子関係があることは明らかである

い 法的身分関係|基本

法的な親子関係は否定される
=法律上は『父』と『子』の関係がないことになる
※最高裁昭和44年10月21日

う 法的身分関係|内容

法的身分関係に基づく権利・義務が認められない
ア 相続権イ 扶養権利・義務(後記)

2 認知がない×扶養権利・義務

認知がない状態における『扶養』の解釈・扱いについてまとめます。

<認知がない×扶養権利・義務>

あ 扶養義務・権利|基本的事項

扶養義務・権利はない
※東京地裁昭和54年3月28日

い 税務問題

認知前の子供の生活費について
『血縁上の父』が『母』に渡した場合
→『扶養義務の履行』ではない
→『贈与税の対象』となるリスクがある
詳しくはこちら|扶養料,養育費への贈与税課税;基本,一括払い,認知未了

3 認知の基本的な法的効果

認知により生じる法的効果の基本的事項をまとめます。

<認知の基本的な法的効果>

あ 認知の効果(概要)

法律上の親子関係が生じる

い 親子関係(概要)

ア 相続権イ 扶養請求権

認知により,法律上の親子関係が発生します。逆に,認知するまでは,血縁上は親子であっても法律上は親子ではないという状態なのです。
法律上の親子になるので相続権が生じます。
なお『子』は法律上,嫡出子と非嫡出子に分類されます。
以前は差別的な扱い・規定がありました。
現在はこの差別は撤廃されています。
これについては別に説明しています。
詳しくはこちら|非嫡出子の相続分を半分とする規定→法律婚優遇・子供差別は不合理→違憲・無効

4 死後認知×相続権|金銭賠償

認知の中でも『父の死後』の認知は特殊な扱いがあります。
『相続』について『金銭の清算で済ませる』という制度があるのです。
詳しくはこちら|死後の認知|全体|認知を回避or遅らせる背景事情|相続→金銭賠償

5 認知による扶養義務・請求権の発生(概要)

認知の効果は,法律上の父子関係が発生することです(前記)。
法律上の父子関係によって扶養の権利・義務も生じます。
認知によって生じる扶養義務と請求権に関しては別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|認知による扶養義務・請求権の発生(遡及効・時間制限・相続・家裁の手続)

本記事では,認知による法的効果を全体的に説明しました。
実際には個別的な事情や主張・立証のやり方次第で結論が違ってくることがあります。
実際に認知親子関係の問題に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。

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