【平成30年前半の仮想通貨交換業者の規制(登録審査)の厳格化】
1 仮想通貨交換業者の規制(登録審査)の厳格化
平成30年は年明けにコインチェックから大量のNEMが流出する事件が発生し、とても大きな衝撃が拡がりました。そして、監督する金融庁は、コインチェックだけでなくすべての仮想通貨交換業者を調査しました。その結果、多くの業務改善命令や業務停止の行政処分が出されました。
その後、金融庁は新規の仮想通貨交換業者登録の申請を中止し、審査を厳格化することになりました。
本記事では、平成30年の前半に仮想通貨交換業者の規制が厳格化されたことについて説明します。
2 仮想通貨交換業の規制の検討事項
仮想通貨交換業の規制強化が進められた内容にはいろいろなものがあります。それまでは表面化していなかったことも、仮想通貨の取引の普及に伴って、問題として表面化しました。
ユーザーの資産の保護の強化や従来の金融商品としての(金商法などによる)規制を適用が検討されるようになっています。
仮想通貨交換業の規制の検討事項
あ セキュリティ・ガバナンスの強化
セキュリティ強化や内部管理・ガバナンス体制の構築
い レバレッジ規制の導入
う 情報開示・自己資本比率の導入
情報開示の強化、自己資本比率規制の導入
開示内容の例=BS・PLや顧客数や預かり資産規模など
え 不公正取引防止規制の導入
不公正取引防止のための直接的な規制
例=相場操縦やインサイダー取引
お 損失をカバーする基金の創設
か 本人確認の強化
き ICO(Initial Coin Offering)への規制の整備
金融商品取引法の対象とするかどうかの問題も含む
※三菱UFJ経済レポート(後記※1)p1
3 三菱UFJ経済レポートのソース
前記の検討事項が指摘されたレポートのソースをまとめておきます。
三菱UFJ経済レポートのソース(※1)
あ 作成者・日付
三菱UFJリサーチ&コンサルティング
平成30年4月25日
い タイトル
経済レポート
日本の仮想通貨交換業の規制強化のポイント
う 公開サイト
4 金融庁の育成路線から審査厳格化への変化
仮想通貨交換業者の監督機関である金融庁(財務省)としても、登録審査の厳格化の方針を示しています。逆にそれまでは手探りで審査をしていたということもコメントしています。
審査内容を整理した上で、平成30年夏頃、登録審査を再開するということもコメントしています。
金融庁の育成路線から審査厳格化への変化
あ 従前の登録審査の実情
今までの審査は、個別の項目をどこまで細かくチェックするか、ノウハウも足りず手探りだった
※金融庁担当官コメント
い 仮想通貨交換業者の登録審査方針
登録審査のうち重点な5項目の方針を設定した(後記※2)
書面だけでなく事前に訪問して運営体制を詳しく調べることにする
う 登録審査中断からの再開
平成30年夏をめどに新規業者の登録審査を再開する
※日本経済新聞電子版平成30年5月5日
5 登録審査の新たな重点5項目
金融庁は、仮想通貨交換業者の登録審査で重点を置く5項目をコメントしています。
コインチェックからNEMが流出した原因を意識した内容となっています。
登録審査の新たな重点5項目(※2)
あ 顧客と業者の資産の分別管理の徹底
1日1回ではなく時間単位で顧客の資産残高をチェックして外部に流れた痕跡がないかを調べる
顧客からの預かり資産の流用を防止する対策を求める
い 内部管理体制の強化
株主と経営を分けて企業統治が利くようにする
システム開発部門と管理部門を分離させる
う ホットウォレットの禁止
インターネットにつないだまま仮想通貨を保管することを禁止する
え マルチシグの使用
マルチシグ(送金時に必要なパスワードを複数用意する)の使用を求める
お 匿名性の高いコインの扱い禁止
匿名性が高く、マネーロンダリング(資金洗浄)に使われやすい仮想通貨の取り扱いは原則認めない
※日本経済新聞電子版平成30年5月5日
本記事では、平成30年の前半の仮想通貨交換業の規制の強化について説明しました。
実際の登録審査では個別的な内容によって扱いが大きく異なります。
本記事は一般的な説明です。個別の事案にそのまま当てはまるとは限らず、一見似ている事案でも、事情が異なれば結論は異なります。個別的事情により、法的判断や主張として活かす方法、最適な対応方法は違ってきます。本記事でご説明したものと同様の問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。


