【住宅宿泊事業法施行規則案の中のマンション管理規約に関する条項】

1 住宅宿泊事業法施行規則案の管理規約に関する条項
2 住宅宿泊事業法施行規則の案の中の管理規約に関する条項
3 民泊サービスあり方検討会の報告書(参考)
4 管理規約は住宅宿泊事業の届出の要件ではない(概要)
5 住宅宿泊事業法施行規則の案の情報のソース

1 住宅宿泊事業法施行規則案の管理規約に関する条項

住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)は平成29年に公布され,平成30年に施行される予定です。
詳しくはこちら|住宅宿泊事業法(平成29年民泊新法)の条文の全文
住宅宿泊事業法の施行後に,分譲マンション(区分所有建物)で民泊の運営ができるかどうか,という問題があります。
大きく2つの問題に分けられます。
『管理規約で禁止できるのか(有効なのか)』と『管理規約で民泊OKでないと民泊(住宅宿泊事業)の届出ができないか(届出要件なのか)』という2つの問題です。
この2つの問題については別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|マンション管理規約で民泊を禁止できるか(有効性や住宅宿泊事業法との関係)
ところで,平成29年9月に,住宅宿泊事業法施行規則の案が公表されました。
この施行規則の案の中に,前記の2つ目の問題(管理規約と届出の関係)に関する条項がありました。
本記事では,施行規則の案の中の『マンション管理規約』に関する条項を紹介して説明します。

2 住宅宿泊事業法施行規則の案の中の管理規約に関する条項

施行規則の案の中の『マンション管理規約』に関する条項を紹介します。
なお,マンション管理規約とともに,賃貸物件についての賃貸借契約の内容についても記載されています。

<住宅宿泊事業法施行規則の案の中の管理規約に関する条項>

II.概要
1.住宅宿泊事業法施行規則(仮称)【国土交通省令・厚生労働省令】
(略)
(4)届出(法第3条第2項及び第3項関係)
1 届出書の様式等を定める。
2 届出書の記載事項は、
・届出住宅の規模等・住宅宿泊管理業務を委託する場合には、住宅宿泊管理業者の商号、名称等
・住宅が賃借物件である場合の転貸の承諾の旨・住宅が区分所有建物である場合には規約で住宅宿泊事業が禁止されていない旨(規約に住宅宿泊事業に関して定めがない場合は管理組合に禁止する意思がない(※)旨) 等とする。
3 届出書に添付する書類は、
・住宅の図面、登記事項証明書・住宅が賃借物件である場合の転貸の承諾書・住宅が区分所有建物である場合には規約の写し(規約に住宅宿泊事業に関して定めがない場合は管理組合に禁止する意思がない(※)ことを確認したことを証する書類)等とする。
※『管理組合に禁止する意思がない』ことは、管理組合の理事会や総会における住宅宿泊事業を禁止する方針の決議の有無により確認する予定。
※施行規則案概要『Ⅱ-1-(4)-2』(p1〜2)

届出書の記載事項として管理規約で住宅宿泊事業が禁止されていないことが記載されています。
マンション管理規約で『民泊可能』というルールがないと,住宅宿泊事業の届出ができないかのような誤解が生じます(後記)。

3 民泊サービスあり方検討会の報告書(参考)

前記の施行規則の案は,実はそれよりも前から想定されていたものといえます。
平成28年の民泊サービスのありかた検討会の最終報告書に,同じ内容が記載されていたのです(民泊・検討会・平成28年6月『民泊サービス』のあり方に関する検討会最終報告書『Ⅲ 2・p4〜』)。
詳しくはこちら|平成28年6月|民泊・検討会・最終報告書|全体

4 管理規約は住宅宿泊事業の届出の要件ではない(概要)

以上のような施行規則を前提にすると,管理規約に民泊が可能というルールがないと住宅宿泊事業の届出ができない,つまり民泊サービスの提供ができないという誤解を招きます。
しかし,すでに決まった住宅宿泊事業法の規定からは,そのような解釈をすることはできないと思います。
つまり,管理規約の内容を理由として届出を拒否することができるようには読めないのです。
詳しくはこちら|マンション管理規約で民泊を禁止できるか(有効性や住宅宿泊事業法との関係)
なお,これは純粋な法律解釈です。現実に迷惑がかかるかどうか,民泊を阻止すべきかどうか,ということの議論とはまったく異なりますのでご注意ください。

5 住宅宿泊事業法施行規則の案の情報のソース

本記事で紹介した住宅宿泊事業法施行規則の案の情報のソースは,パブコメ募集の説明の中にあります。

<住宅宿泊事業法施行規則の案の情報のソース>

あ パブコメ募集のウェブサイト

住宅宿泊事業法施行令(仮称)の案及び住宅宿泊事業法施行規則(仮称)等の案に関する意見の募集について
案の公示日=平成29年9月21日
外部サイト|e-Gov|住宅宿泊事業法施行令・施行規則・パブコメ

い 施行規則(仮称)の案

『あ』の中の『別添2』
住宅宿泊事業法施行規則(仮称)等の案について(概要)
平成29年9月21日
国土交通省,厚生労働省
外部サイト|e-Gov|住宅宿泊事業法施行規則(仮称)の案

本記事では,住宅宿泊事業法施行規則の案の中のマンション管理規約に関する部分について紹介・説明しました。
実際に民泊サービスを運営するためには,いろいろな法令との抵触(適法性)を確認する必要があります。
実際に住宅宿泊事業法による届出・登録や民泊サービスの提供を予定(検討)されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださいますようお願いします。

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