【仮想通貨や取引の『適切性』の判断方法(事務ガイドライン)】
1 仮想通貨や取引の適切性の判断方法
資金決済法が改正され、平成29年から、仮想通貨交換業の登録制度が始まっています。
詳しくはこちら|仮想通貨交換所の規制(平成28年改正資金決済法)の全体像
仮想通貨交換業の登録の審査の中では、申請者(仮想通貨交換業者)の業務遂行体制の適切性(適正)も判断されます。
詳しくはこちら|仮想通貨交換業者の体制の整備の登録審査と業務監督の着眼点
仮想通貨交換業ガイドライン(事務ガイドライン)では、仮想通貨やその取引についての適切性の判断の方法が示されています。
本記事では、仮想通貨やその取引の適切性の判断について説明します。
2 仮想通貨や取引の多様性と適切性の判断の必要性
仮想通貨自体は容易に新たなものを発行することが可能です。実際にICO(Initial Coin Offering)が急速に普及しつつあります。新規の仮想通貨を発行し、多くの投資家から既存の仮想通貨の出資を受けるものです。
仮想通貨自体だけではなく、仮想通貨の取引の方法も多くのものが登場しつつあります。
そこで、仮想通貨交換業の登録の審査では、適切性の判断が必要とされています。
仮想通貨や取引の多様性と適切性の判断の必要性
あ 急速な変動
情報通信技術は急速に進展しており、日々、様々な仮想通貨が出現することが想定される
また、仮想通貨交換業に係る取引の形態についても、様々な態様が考えられる
い 不適切な仮想通貨の取扱いの可能性
このため、取り扱おうとするものが仮想通貨に該当し、又は当該仮想通貨の取扱いが仮想通貨交換業に係る取引に形式的に該当するとしても、利用者保護ないし公益性の観点から、仮想通貨交換業者が取り扱うことが必ずしも適切でないものもあり得る
う 仮想通貨の適切性の判断方法
したがって、当局は、仮想通貨交換業に係る取引の適切性及び取り扱う仮想通貨の適切性等について、申請者に対して詳細に説明を求めるとともに、認定資金決済事業者協会の公表する情報等を参考としつつ、登録の申請の審査等を実施するものとする
※仮想通貨交換業ガイドライン『Ⅰ−1−2』・p4、5
3 仮想通貨の適切性の判断要素
仮想通貨自体の適切性は、広く普及した時に利用者が損失を受けることがないかという視点で判断します。
仮想通貨の適切性の判断要素
あ 仮想通貨の適切性の判断
取り扱う仮想通貨の適切性について
『い』の事情を考慮して判断する
い 判断要素の例
ア 仮想通貨の仕組みイ 想定される用途ウ 流通状況エ 内在するリスク例=プログラムのバグ
う 事情の調査方法
ア 申請者からの情報申請者から詳細な説明を求める
イ 外部情報・利用者からの苦情
・認定資金決済事業者協会の意見など
※仮想通貨交換業ガイドライン『Ⅰ−1−2(注3)』・p5
4 仮想通貨の流動性の判断
仮想通貨を購入した者は、その後取引するマーケットがあることを前提としています。
つまり、流動性があるということが前提条件なのです。
そこで、仮想通貨の流動性は、取引の適切性を判断する上で重要な考慮事項です。
仮想通貨の流動性の判断
あ 想定する事例
新規に発行する仮想通貨の売り出しを行う
発行段階で流動性に欠ける
い 流動性の判断の方法
仮想通貨を取り扱うことが適切でないと直ちに判断しない
申請者からの説明や外部情報を十分考慮し、総合的に判断する
※仮想通貨交換業ガイドライン『Ⅰ−1−2(注4)』・p5
資金決済法、内閣府令、事務ガイドラインの情報ソースは別の記事で紹介しています。
詳しくはこちら|仮想通貨交換所の規制(平成28年改正資金決済法)の全体像
5 登録後の扱いコインの追加(上場)の審査(概要)
以上の説明は新規の仮想通貨交換業の登録における審査の内容の一環でした。
この点、既に登録が完了している仮想通貨交換業者が新たな仮想通貨を追加することもあります。いわゆるコインの上場です。この場合、資金決済法の手続としては金融庁の審査は不要です。しかし実際には、ホワイトリストにない新たなコインの上場には認可と呼ばれる審査が必要です。
これについては別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|仮想通貨の上場(金融庁への届出・実質的な審査・ホワイトリスト)
本記事では、仮想通貨や取引の適切性について説明しました。
これ以外にも、仮想通貨交換業の登録には多くの細かいルールや運用上の慣行があります。
みずほ中央法律事務所では、仮想通貨交換業の登録やその準備段階のサポートを行っています。
実際に仮想通貨交換業登録をお考えの方は法律相談をご利用くださることをお勧めします。
本記事は一般的な説明です。個別の事案にそのまま当てはまるとは限らず、一見似ている事案でも、事情が異なれば結論は異なります。個別的事情により、法的判断や主張として活かす方法、最適な対応方法は違ってきます。本記事でご説明したものと同様の問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。


