【私法上の法形式の認定(実体・実質の重視と処分証書の法理)】
1 私法上の法形式の判断(認定)方法
複数の当事者による契約などは、法形式が曖昧であるケースも多いです。
例えば、後から、売買なのか贈与なのか、について当事者の間で意見の対立が生じるトラブルがあります。
実際には、当事者全員は納得していて、税務署が別の意見を持つ(否認する)というケースも多いです。
この点、当事者間のトラブルでも、課税の前提としての法形式の判断でも、同じ判断方法が用いられます。
詳しくはこちら|私法の法律関係を前提として課税する(私法関係準拠主義)
本記事では、法形式の判断(認定)の方法について説明します。
要するに、民事訴訟で裁判所が法形式(契約の種類)を判断する基準ということです。
2 私法上の法形式の認定の基本方針
当事者の希望や契約書の形式だけによって法形式が決まるとすると、強行法規の適用の回避や課税の回避(脱税)が自由にできてしまいます。
私法上の法形式は、このような形式だけで判断されるわけではありません。
実体・実質を元にして判断します。
私法上の法形式の認定の基本方針
あ 当事者の選択した法形式の扱い
単に当事者が選択した外観・形式によって定まるものではない
例=契約書のタイトル
い 法形式の認定方法
実体・実質をも踏まえて判断する
※大石篤史ほか『企業訴訟実務問題シリーズ 税務訴訟』中央経済社2017年p100
3 処分証書の法理による事実認定
民事訴訟の認定の基本的ルールの1つに処分証書を重視するというものがあります。
契約書などの法律行為そのものが記載されている書面は尊重されるというものです。
ただし、前記のように、契約書の形式的な記載どおりに認定されないこともあります。
処分証書の法理による事実認定
あ 処分証書の意味
意思表示などの法律行為が記載されている文書
※司法研修所『民事訴訟における事実認定』法曹会2007年p18
い 処分証書の法理
民事訴訟における事実認定に関して
真正な処分証書が存在する場合
→原則として記載内容どおりの法律行為の存在を認定する
特段の事情がある場合は別の認定もあり得る
※司法研修所『民事訴訟における事実認定』法曹会2007年p65
本記事は一般的な説明です。個別の事案にそのまま当てはまるとは限らず、一見似ている事案でも、事情が異なれば結論は異なります。個別的事情により、法的判断や主張として活かす方法、最適な対応方法は違ってきます。本記事でご説明したものと同様の問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。


