【宿泊サービス|ゲストの占有リスク|約款の工夫・誤解に注意】

1 旅館業該当性×占有判断|類似性

部屋を貸すことは『旅館業』に該当することがあります。
一方『部屋の占有』が問題になることがあります。
『旅館業該当性・占有の判断』は基準が似ています。

旅館業該当性×占有判断|類似性

あ 判断類似・結論連動

次の2つの判断は基準がほぼ同じである
結果もほぼ連動する
ア 旅館業該当性イ 占有判断入居者やゲストの占有が『あるorない』の判断

い 類似・連動の理由

判断の枠組みが似通っている
内容は別の記事にまとめてある(※1)
(別記事『賃貸借/宿泊サービス|判断』;リンクは末尾に表示)

う 連動・典型例

ある宿泊サービスが『旅館業』に該当する
ゲストの『部屋の占有』は認められない

2 旅館業該当性×占有判断|非連動・注意

『旅館業・占有』の判断の『連動』には注意が必要です。

旅館業該当性×占有判断|非連動・注意

理論的には『旅館業・占有』の判断は別のものである
結果として連動することが多いというだけである
実際に『結果が連動しない』ことも生じている

3 賃貸借/宿泊サービス|誤解・注意

宿泊サービスにおいて上記の『誤解』が生じがちです。
注意が必要です。

賃貸借/宿泊サービス|誤解・注意

あ 前提事情

次のようなタイトルの契約書に調印した
ア 『賃貸借契約』イ 『定期借家契約』『借家契約』とは『建物賃貸借契約』のことである
※借地借家法1条、26条〜
借地借家法による借家の保護の主な内容と借家の種類

い ありがちな誤解

『賃貸借』だから『旅館業』には該当しない
→営業許可は不要である
※注意 ↑は誤解です

4 宿泊サービス|ゲストの占有リスク

宿泊サービスの運用では『占有』リスクがあります。
その内容をまとめます。

宿泊サービス|ゲストの占有リスク

あ 通常=部屋の占有なし

宿泊サービスでは通常『ゲストの占有』はない
しかし必ず『占有なし』とは限らない

い 部屋の占有あり×リスク

仮に『占有あり』の場合
→明渡のために強制執行が必要となる

う 荷物の占有

ゲストの『荷物』について
→ゲストの『所有権』がある
→無断で廃棄すると違法になる

建物明渡の実力行使は違法となる(自力救済or自救行為の判断基準)

明渡のために大きな時間的・費用的コストがかかる可能性があるのです。
このリスクは、一般の賃貸借では当然のことです。
宿泊サービスでもこれに該当しないとは言い切れないのです。

5 宿泊サービス|ゲストの占有ケア

宿泊サービスでは『ゲストの占有』リスクがあります(前記)。
このリスクを避ける工夫を紹介します。

宿泊サービス|ゲストの占有ケア

あ 契約書・約款の工夫|基本

『占有を否定する事情』を盛り込む(上記※1)

い 契約書・約款の工夫|明渡関連

滞在期間満了時の明渡について明記しておく
ア 立ち入り権限ホストが部屋に立ち入る
イ 荷物の排除ホストがゲストの荷物を部屋から持ち出す
荷物は一定期間保管する
その後は警察に遺失物として届け出る
※観光庁モデル約款16条2項
詳しくはこちら|宿泊約款|国際観光ホテル整備法・モデル約款・一般宿泊施設での流用

本記事は一般的な説明です。個別の事案にそのまま当てはまるとは限らず、一見似ている事案でも、事情が異なれば結論は異なります。個別的事情により、法的判断や主張として活かす方法、最適な対応方法は違ってきます。本記事でご説明したものと同様の問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。

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