【オプション取引・仕組債|賭博罪の成否|解釈論・判例】

1 オプション取引|内容
2 オプション取引×賭博罪|見解の整理
3 オプション取引×賭博罪|有罪判例
4 オプション取引×賭博罪|不成立判例
5 仕組債×賭博罪

1 オプション取引|内容

『オプション取引』という種類の取引があります。
『デリバティブ取引』の1つとして分類されています。
本記事では,オプション取引の適法性について説明します。
まずは,オプション取引の内容についてまとめます。

<オプション取引|内容>

あ 基本的構造

次の取引を行う権利を売買する取引

い 売買対象の権利

原資産を『満期日or期間内』に権利行使価格で『購入or売却』する権利

う 原資産の典型例

株式

2 オプション取引×賭博罪|見解の整理

オプション取引と賭博罪の抵触についてはいくつかの見解があります。
見解を整理します。

<オプション取引×賭博罪|見解の整理>

あ 主要な見解=賭博罪成立

賭博罪の成立が認められる
※大判昭和11年4月2日(※1)

い 少数の見解=賭博罪不成立

理由=双方的対価性がない
※佐久間修『最先端法領域の刑事規制』現代法律出版2003年p256

3 オプション取引×賭博罪|有罪判例

オプション取引について賭博罪が成立すると判断した判例があります(前記)。
この判例の内容をまとめます。

<オプション取引×賭博罪|有罪判例(上記※1)>

あ エントリー

顧客を集める
書い方が一定の手数料を支払う

い 勝負の準備

約定の相場価格を標準とする
その後の価格変動によって次のように処理する

う 勝敗|結果

ア 変動がわずかである時 任意解約とする
双方損益がないものとする
イ 一定額以上の騰貴(上昇)があった時 差益金を買い方に支払う
=買い方の勝ち
ウ 一定額以上の下落があった場合 手付金を放棄して決済する
売り方に対しては逆の方法で決済する
『解合』と称する差金取引である
=売り方の勝ち

え 裁判所の判断

常習賭博罪の成立を認めた
※大判昭和11年4月2日

4 オプション取引×賭博罪|不成立判例

オプション取引について,賭博罪を否定すると判断した判例もあります。

<オプション取引×賭博罪|不成立判例>

契約自体は有効であることを前提とした判断がなされている
→違法・賭博罪成立という判断をしていない
※東京地裁平成6年6月30日
※最高裁平成17年7月14日

5 仕組債×賭博罪

『仕組債』という金融商品があります。
内容はちょっと複雑です。
いずれにしても,デリバティブ取引が含まれることがあります。
そこで,適法性の問題があります。
これについてまとめます。

<仕組債×賭博罪>

あ 仕組債×デリバティブ取引

仕組債にはデリバティブ取引が組み込まれている

い 適法性判断

契約自体は有効であることを前提とした判断がなされている
=違法・賭博罪成立とはならないことが前提である
※大阪高裁平成19年11月16日
※東京地裁平成22年9月30日
※大阪地裁平成22年3月26日
※大阪高裁平成22年10月12日

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