【MTGOX破産手続におけるビットコインと返還請求権の法的扱い】
1 MTGOX事件による破産手続
まだ仮想通貨交換業の法規制が作られるよりも前に、MTGOXという仮想通貨交換所(取引所)がありました。
MTGOXがユーザーから預かっていたビットコインが消失し、ユーザーに全額の返金ができなくなりました。
そのため、東京地裁で破産手続の開始決定がなされました。
この破産手続ではビットコイン(仮想通貨)の法的扱いについて一種の先例が作られています。
本記事では、MTGOX破産手続におけるビットコインの法的性質について説明します。
2 MTGOX破産手続におけるビットコインの扱い
まず、大前提として、ビットコインは財産として扱われています。
手続としては、破産管財人が管理しています。
具体的には、Krakenという仮想通貨交換業者に預けている状態です。
Krakenはセキュリティ対策がしっかりしているので保管先として選ばれました。
なお、Krakenは逆に、破産管財人に選ばれたことを明示してセキュリティの強さをアピールしています。
MTGOX破産手続におけるビットコインの扱い
あ ビットコインの財産性
ビットコイン(の残高)は財産として扱う
い 破産手続における具体的扱い
ビットコイン残高を破産財団として扱っている
大雑把にいうと(破産者の)財産という意味である
う 破産財団の処理
破産手続において管財人が換価する(日本円に換える)ことになる
※破産法2条14項
詳しくはこちら|破産債権の額の評価・確定(金銭化)と配当の順位・平等性
え ビットコインの保管
換価(う)するまでは管財人がビットコインを保管(管理)する
具体的にはKraken(仮想通貨交換業者)に預けている
Krakenのアカウントを管財人が管理している
外部サイト|Kraken(仮想通貨交換業者)
なお、仮想通貨の財産性に関する他の見解については、別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|仮想通貨(ビットコイン)の法的性質についての主要な見解(全体)
3 MTGOX破産手続におけるユーザーの権利の扱い
MTGOX破産手続では、交換所にビットコインを預けていたユーザーの権利について法的扱いが示されています。
要するに、ユーザーがビットコイン建ての債権(返還請求権)を持っているという扱いです。
MTGOX破産手続におけるユーザーの権利の扱い
あ 前提事情(秘密キーの管理)
秘密キーをMTGOXが管理していた
=SPVクライアント型ウォレットの機能といえる
い 基本的な法的扱い
MTGOXに対してビットコイン返還請求権が存在する
=ビットコイン建て債権という扱いである
う 破産手続における扱い
ビットコイン返還請求権を破産債権として扱う
え 破産債権の種類(分類)
ビットコイン返還請求権を不特定物or特定物の引渡請求権として扱う
消費寄託と同じ構成として扱っていると思われる
4 情報ソース(管財人の報告書)
本記事で説明したMTGOX破産手続における法的扱いは、管財人が作成した報告書に記載されています。
情報ソース(管財人の報告書)
株式会社MTGOX破産手続における破産管財人作成
『破産法157条報告書』
平成26年7月23日
外部サイト|MTGOX|破産法157条報告書|平成26年7月23日
本記事は一般的な説明です。個別の事案にそのまま当てはまるとは限らず、一見似ている事案でも、事情が異なれば結論は異なります。個別的事情により、法的判断や主張として活かす方法、最適な対応方法は違ってきます。本記事でご説明したものと同様の問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。


