1 共有物の使用方法|典型的・種類
2 共有不動産|貸借同様方式|具体例
3 共有不動産|暗黙の合意|基本
4 共有不動産|暗黙の合意|具体例

1 共有物の使用方法|典型的・種類

共有者の間で使用方法を決めるのが通常です。
典型的な使用方法の種類を紹介します。

<共有物の使用方法|典型的・種類>

あ 共同使用

共有者全員が共有物を共同で使用する
例;共有の建物に同居する

い 賃貸借同様方式

共有者の1人Aが単独で使用する
Aは,他の共有者に使用対価を支払う

う 使用貸借同様方式

共有者の1人Aが単独で使用する
一定期間は使用対価は発生しない

え 区分け方式

共有物自体を物理的に区分けする
各エリアを各共有者が単独で使用する

お タイムシェア方式

一定期間ごとに交代して,各共有者が単独で使用する
動産の場合はこの方法が取られることが多い

か 収益分配

第三者に賃貸する
いわゆる収益物件である
賃料収入・経費負担を共有者で分配する
※能見善久ほか編『論点体系 判例民法2物権 第3版』第一法規2019年p334参照

2 共有不動産|貸借同様方式|具体例

上記のうち賃貸借同様方式の具体例を紹介します。

<共有不動産|貸借同様方式|具体例>

あ 協議

建物を兄A・弟Bが共有している
A・Bが話し合い,使用方法を決めた

い 使用方法|内容

Aが建物を使用する=居住する
AはBに対価を支払う
対価=月額10万円

3 共有不動産|暗黙の合意|基本

共有者間で使用方法を話し合って決めるのが理想です。
しかし実際には明確に決定していないことが多いです。
実務における判断の傾向をまとめます。

<共有不動産|暗黙の合意|基本>

あ 共有者間の関係性

通常,共有者の間には特殊事情がある
例;親族関係・入手の経緯・従前の状況など

い 暗黙の合意|傾向

明確な合意がない・合意に達しないことが多い
しかし『暗黙の合意』が認められることが多い
学術的には『黙示の合意』と呼ぶ

4 共有不動産|暗黙の合意|具体例

暗黙の合意として認められる典型例を紹介します。

<共有不動産|暗黙の合意|具体例>

あ 居住=占有

建物を兄A・弟Bが共有している
Aが建物に居住している

い 協議なし

A・Bで『誰が入居するか』をしっかり話し合ったことはない

う トラブルなし

BはAに不満を伝えたことはない
BはAに対価を要求したことはない
BはAに建物からの退去を要求したことはない

え 法的扱い|傾向

次のような合意が認定される可能性が高い
→A・Bは『Aの無償使用』を合意した